(Fluhalp 2616m- Blauherd-Sunnegga- Zermatt1620m- Zmutt1936m-Shonbielhutte 2694m )
*Blauherd-Zermatt 間はずる。ケーブルカー、ロープーウエィ利用である。
今日は、とうとう、シェーンビューンヒュッテである。
この山小屋は、数年前から何度か予約は試みたものの、なんだか日程があわずにずっと行くことができなかった小屋だ。
まずFLUALPから町までまたずるをして下りて、それからとことこ歩いて、本日の小屋まで行く。
ちなみにFLUHALPは今月の25日まで営業するということだった。
ZERMATTの標識によると小屋まで4時間半。
だがしかし、これはスイス人の足の場合である。
ツールドモンブランの経験によると私の足の場合には約1.5倍ぐらいかかるのだ。
ZERMATTを出発したのは結局11時すぎくらいとなる。というのもあいつが会社とかに電話をしているのだ。そしていつも通り平気で私のことを待たせる。あいつの電話の間に、私はあいつの水を買いに行ってあげたり、ランチのサンドイッチ購入にも走る。
私はなんてえらいんだろう。
私がサンドイッチを買って帰ってきても、まだ話している。
そろそろ堪忍袋の緒が切れそうだ。
そしてとうとう11時すぎぐらいにZERMATTの街を出た。
ゆるい上りで、ZMUTTという町までだ。
あいつとここは以前歩いているのだが、あいつはほとんど記憶にないらしい。
本当に山歩きに連れてきても全く意味のない男である。
けど断片的に、変なものだけの記憶が残っている。
あいつの記憶には、ZMUTT近くの廃墟に近い変なビルは残っていたらしい。
そんなものよりもZMUTTのかわいい町並みとか、まわりの山並を覚えていてくれ。
ZMUTTには約1時間ぐらいで到着だ。本当は、ZMITTでランチと思っていたのだが、サンドイッチを買ってしまったので、ZMUTTでは飲み物だけを飲むこととした。
そこのレストランがこれまためちゃくちゃ素敵なのだ。
9月だというのに、まだまだ花がめちゃくちゃきれいに咲いている。
うちのベランダなんて、もうほとんど枯草なのに、なぜここら辺の花はまだきれいなのか。
おそらく手入れがきちんとされているのだ。
新たな課題である。
ZMUTTでコーラ飲んだり、もう山歩きとかではなく、すっかりらくらくハイキング気分である。
ZMUTTからまたのこのこ歩きだす。ここらは開けた場所をゆるかやかに登ることとなる。
小屋に向かうに連れて、マッターホルンがどんどん変な形になっていく。
あり得ないのだが、カメラのレンズが歪んだのかと何度か思った。
そして緩やかな道だからであるが、標高がほとんど上がっていない。2200mぐらいでうろうろしている。
ちなみにあいつも最近は高度計を持ち出したので、ちょくちょく高度の報告をするようになる。新しいおもちゃをあいつなりに楽しんでいるらしい。
それにしてもこんな調子で、2694mの山小屋に到着できるのだろうか。
今日も本当にいい天気だ。こんな天気にハイキングができるなんて、うれしすぎる。これもぼろぼろになりながら、働いたご褒美だと勝手に、思いこむ。
途中で、ZERMATTの街のパン屋さんで購入したサンドイッチを食べる。
このサンドイッチが、意外と絶品だった♡
トマトとチキンがはさんであるだけなのだが、本当においしかった。
それからとことこ歩いているととてもきれいな水が流れている川を渡ることとなる。
そして、向こうからきた女の子が川の水を汲んで飲み始めたのだ。
あいつがマネをした。
確かにとてもきれいだし、冷たいし、私も飲んでみたが、おいしかった。
あとで、山小屋で会った人に聞くと、動物が何をしたかわからないから、やめた方がいいと言われた。
うーーん。確かにそうだ。
けど私もあいつもこの水を飲んでもぴんぴんしていた。
しばらく行くと道が二手に分かれている。山小屋の矢印は下の道を指している。
だがしかしあいつは上の道の方がおもしろそう、絶対に道は後で一緒になっていると断言し、上の道を歩き始めた。
確かに上の方がおもしろそうだったので、私もあとに続いてしまった。
数十メートル歩いたところで、なんだか道が非常に細くなってきた。
右側には本来の道が見え、左側は数十メートルの切り立った崖である。
道が細くなり、靴1足ぐらいの細さになってきたところで、手に変な汗を感じた。
これで、私はすっかりあきらめ、右下の安全道目指して下ることにした。
けどあいつはあの細い道を歩き、かなり楽しんでいる。
やはり頭おかしい。高度を感じる感覚がひとの数十倍鈍いのだろう。
そしてあいつの断言通り、この2つの道は一応つながっており、やっと山小屋らしきものが見えてきた。
だが不思議である。歩いても歩いても山小屋に近づかないのだ。
そしていきなりジグザグのきつい登りとなった。
ここは、最後だけがきつい道だったのだ。
最後だけこれは、結構堪えた。あいつも結構きているらしく、最後のジグザグ道となった時は、
”あと1本だ”
と言って彼なりに喜んでいる感じだった。
あと1本ジギザグのはずなのに、長かった。だがしかし、足を動かせば、時間はかかってもいつかは到着するのだ。
5時半くらいだったか。とうとうSchonbielhutteに到着した。
石でできており、見た目は、新しく、丈夫そうな山小屋である。
入って受付をして、部屋を教えてもらった。
ここは、FLUHALPと異なり、いわゆる普通の山小屋である。
大部屋で、みんなが川の字になって寝るところで、私たちの川の番号を教えてくれる。
私たちの他にももうすでに何人かの荷物が置いてある。
あいつは少々ショックを受けているようではある。そう、よーく考えてみるとツールドモンブランの山小屋では、なぜか個室が使えたり、1人1ベットだったりしたので、こんなタイプはあいつには意外と初めてだったのだ。
まあ別にそんなことはどうでもいい。
そして、ここはトイレが外にあり、ツールドモンブランで見慣れた水洗トイレではなかった。
おお、こんな感じのトイレは久しぶりだ。
実は、私は今回の山歩きは、キリマンジャロの後でもあるので、たかがスイスと少々なめた感じできてしまったのだ。
その少々気を抜いたことが今回のいろんな敗因であったと思われる。
私の中では今回の山歩きはなんだか、散々たるものだった。
まず思うように体が動かずに、何度も何度も休んだ。そしてあいつから
”なんでこんなに遅いんだ”
といつもより多く言われた。
そして荷物が重く感じた。
荷物をそれほど厳選しなかったからだ。
やはり、気を抜くとそれなりになってしまうのだ。
今回はよい教訓となった。
ディナーは6時半からであった。
ここはディナーというよりも給食的な感じだった。
本日の宿泊客は、総勢10名くらい。その10名が広い食堂の1つのテーブルに集められてのディナーである。
まずスープ。これは残念ながら、、、インスタントだった。(
と思われる。)昨日の絶品かぼちゃスープとは程遠い・・・・・・。
しかし仕方ない。
山中だ。ご飯をいただけるだけでもありがたい。ご飯いただけなかったら、力もでなくて帰れない。
ここでおもしろかったのは、1つのお皿ですべてをいただくのだ。
スープを飲んだあとのお皿にサラダをいただき、その後にメインをいただく。
全然平気である。
メインは、シチューのようなお肉の煮込みとトウモロコシの粉でつくったマッシュポテトもどきであった。まあまあおいしい。
最近私の薄味にならせてきたあいつが、なんだか味が濃いとか言っている。
夕食の時間には、チューリッヒから今日やってきたというスイス人のおじさんが前に座っていた。
このいい天気は絶対に見逃せないということで、今日思い立ってやってきたという。
おそらく歳は私たちより2,3歳上といったところであろう。
まず、、天気がいいから来た。という発想が私は大好きだ。
そう、山は天気で七変化するのだ。天気が違うだけで同じ場所なのに、全然違う場所になる。
天気で行動を決める人、とっても好きだ。
そして明日は別の山道を通ってZERMATTまで帰るという。
このおじさんとは、イギリスの暴動のこととか日本のエネルギーの問題とか、温暖化のこととか、なんだかとりとめもなく楽しくお話した。
とっても身軽で、さわやかな感じだった。
そしておじさんが飲んでいたビール。私たちもつられて飲んでみるとこれがまた絶品であった。おじさん曰く白ビールということだが、今まで見たことがないものだった。
本当においしいビールだった。そのビールの写真も撮ってないし、銘柄を控えるのも忘れた。一生の不覚になるかもしれない。
おじさんは2本目のビールを飲んでいたが、私たちは水をいただいた。
この水もなんだかとてもおいしかった。私は普段水分補給をほとんどしないのだが、この日は異様にのどが渇いていたのだ。
おじさんは次の日は朝5時ぐらいに一人でたったったーと出発していった。
朝早い貴重な時間に歩く楽しみを知っているかたなのだろう。
あいつも言っていたが、身軽なおじさんだった。
この山小屋からは、寝る時のためにシーツを持ってこいと事前に言われていたので、寝袋用のシーツを持ってきていた。
寝袋用のシーツに芋虫のように入り、枕に自分のハンカチをしいて小屋の布団(しばらくそのまんまって感じ)をかぶってお休みだ。
そうか日本の小屋でもこの寝袋用シーツは使えるなあなんてなんとなく思う。
あいつは、こんな9時とかに寝るのがとても嫌らしく、数時間ずっとウォークマンを聞いていたらしい。
翌日あるバンドのコンサートの演奏を全部聞いたと自慢していた。
この高度のためか、何回かは起きたてしまった。しかしながら疲れた状態で、思う存分眠ることも山歩きの重要な楽しみの1つなのだ。