「『哲哉』っていう名前はどういう理由で付けたの。」
と小学校の時に母に尋ねた。宿題で自分の名前の
理由を調べるという課題が出たからだ。
「哲学者になって欲しいからよ。」
と母は言った。
物心ついたときに気づいた。
母の答えがデタラメだったことを。
おそらく私の名前『哲哉』は響き
だけで付けた名前だ。
小学生の私にそうは言えないと思った
母がとっさに言った言葉だったのだろう。
自分の子供に”哲学者になって欲しい”
と願う親はおそらく居ない。
素直だった私は哲学に興味を
持つようになった。小学生でも読めるような
哲学の本をよく読んだ。
大人になっても難しくなさそうな哲学書を
よく読んだし、読んでいる。
哲学はけっこう面白い。
でもわたしはいい哲学者にはなれないだろう。
なぜなら私の妻は”いい妻”だからだ。