交通事故により、
被害者の受ける衝撃は、心にも身体にも 残る場合があります。
これは、平成5年の最高裁判決の事例です。
「 昭和59年7月28日、Aさんと奥さん、こどもさんの家族三人で乗車中の車に、前方不注意のためセンターラインからはみ出した乗用車が衝突。運転していたAさんは、頭部打撲・左膝蓋骨骨折・頸部ねんざなどの傷害を負い、奥さんと子供さんも負傷しました。Aさんは、40日ほど入院し、その後も通院治療により、身体の機能はほぼ回復し、昭和61年10月8日に症状固定の診断がなされ、頭痛・頭重・頸部痛・めまい・眼精疲労などの後遺症が残った。
この間、Aさんにとっては、
本件事故が相手方の一方的過失に起因する突発的なもので、
それによる精神的衝撃が重大であったこと、
加害者側との補償の交渉が順調に進展しないこと、
Aさんの勤務先との間で復職の話合いがうまくいかなかったこと
などの事情が重なり、昭和61年9月30日に勤務先を退職したが、その後の再就職がうまくいかないこと、事故により傷害を負った家族との暗い家庭生活などの要因が重なり、うつ病となり、不眠・食欲不振を訴えつつ、昭和63年2月10日にAさんは、自宅にて自殺されました。」
そこで、奥さんと子供さんは、この自殺と事故との間には、因果関係があり、自殺に対する事故の寄与率を50%とした損害賠償の請求と、もし因果関係がなくても、Aさんの稼働可能な年齢まで生存していた場合の逸失利益の賠償を請求されました。
なお、本件では、相手加害者側には補助参加人として、自賠責保険会社が加わっています。
一審及び原審判決
本件事故と自殺との相当因果関係を認めた上で、民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、
自殺に対するAさんの心因的要因の寄与を8割として、これを損害額から減額した。
最高裁判決
事故によりAが被った傷害は、身体に重大な器質的障害を伴う後遺症を残すようなものではなかったとは言うものの、本件事故の態様が、Aに大きな精神的衝撃を与え、しかもその衝撃が長い年月にわたって残るようなものであったこと、その後の補償交渉が円滑に進行しなかったことなどが原因となって、Aが災害神経症状態に陥り、さらにその状態から抜け出せないまま鬱病になり、その改善を見ないまま自殺に到ったこと、自らに責任のない事故で障害を受けた場合には災害神経状態を経て鬱病に発展しやすく、鬱病にり患した者の自殺率は全人口の自殺率と比較して遙かに高いなど原審の適法に確定した事実関係を総合すると、本件事故とAの自殺との間に相当因果関係があるとした上、自殺には同人の心因的要因も寄与しているとして相応の減額をして死亡に対する損害額を定めた原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
( 最高裁平成5年9月9日第一小法廷 )
この判決は、交通事故により障害を受けた被害者が、事故から3年6ヶ月後に自殺した場合に、事故と自殺との間に因果関係を認めるものです。
後遺障害の等級認定について、被害者側から請求することで、
保険金を直接被害者側が受け取ることができます。
その後、その資金をもとに裁判に向かわれる方もいらっしゃいます。
まずは被害者請求 をして、手元に保険金を受け取ることが、
大切です。。