同僚の旦那様が、50歳目前にして脳梗塞になり、手術とリハビリ入院ののち、自宅療養になった。
後遺症として高次脳機能障害があり、話を聞くと、かつての、脳出血発症後の、私の父や私たち家族と状況がよく似ている。
言語障害、片麻痺。感情コントロールの困難。被害妄想。
私は、いま、同僚の置かれた苦境、苦悩、混乱、困難、悲しみや痛み、不安が少しはわかる気がするのだけれど、口には出せないと思う。ほんとにわかるわけじゃないから。体験することがどんなに似ていても感じることは人それぞれ。
加えて、同僚から見て、20年以上も続いている私の父の介護が、どう映るか。介護は、最初のうちはとくに、先が見えなくて不安だから。似た状況の私の実家の、介護20年以上という事実はいい意味でも悪い意味でも重たいことだと思う。
大切な人が、生きていてくれるありがたさ。
永く永い、日々の自由を制限され続ける介護者としての日々。
会社に、介護と育児のピアサポートというものが発足して、わたしにも是非体験談をと事務局の方にいわれたけれど、二の足を踏んでいるのはそういう気持ちから。
母は、父を20年も介護して来て、父の平均寿命から考えたら、まだ、半分。まだあと20年近く続くのかもしれない。近頃長い時間連続して寝なくなった父に、毎夜1時間ごと起こされてトイレ介助をしている母のことをわたしは同僚に言えない。
早い段階で施設入所を検討する家庭もあるし、うちのように母が自分の手で介護したいと決して手を離さないケースもある。どちらが正しいとかはない。それぞれの事情があるだけ。
育児介護については、見ず知らずの他人の、嫌になったら一方的に関係を断ち切れるネットの向こう側にいる誰かの情報のほうが助けになるかもしれないなあなんて思う。お互い他人事のほうが、気楽かもしれないと。