いまさらですが、私の経験した帝王切開 手術 を記録しておきます。
私にとって帝王切開手術そのものは、痛みではなく恐怖との戦いでした。
そのことが原因となる、予想外のショックなこともありました。
私の経験が、帝王切開で出産される方の参考になれば幸いです。



手術当日は、夫と息子、実母と義母が来てくれた。三階のエレベーター前でしばしお別れ。息子の「かあたんがんばってねえ」の声に手を振る。
車椅子で一階下の手術室まで移動。手術室前では、二人組の美女ナースが待っていた。
病棟ナースが、「頑張ってくださいね、上で待ってます!」と去っていく。

まだこの時点では冷静。
そこそこ冷静だったつもり。
でも、開始したのが10時40分くらいだったのを確認した位で、そのあとは時間の流れがかなり曖昧。
いろいろな方のブログで、時間まで記録を残してるのを参考にさせていただいたから、私もと思ったけど無理でした。ヘタレで残念!

で、その、スタートした10時40分。

昨日の麻酔科医が「大事な手術なのに、こんな殺風景な部屋で…ねえ?」と笑う。私もつられて笑った。少し緊張がほぐれた。いいひとだ。

手術台に移り手術着を脱がされ布をかけられる。
先のオペ室ナース二人に、もう一人男性ナース、麻酔科医、助産師が名乗り、テキパキと準備を始める。

・点滴用の針を手の甲に刺す(結構痛い!)
・剃毛する(恥ずかしいとかはもはやない)
・心電図をとるやつを付ける
・頭にシャワーキャップみたいなのを被せる

横になった姿勢で見渡すと、なんらかの機械を覗きこむ主治医の背中が見えた。その背中が小さく見えてふいに不安が湧く。

麻酔開始。
背中を丸めて、まずは局所麻酔。
身体が動いてしまうから、と自分でお願いして、ナースに抑えてもらう。でも動いちゃう。笑い事じゃないけど、思い返すと恥ずかしくて苦笑い。痛みはたいしたことないけど、もう、なんだか怖さで痛みが強く感じられてしまう。
本当、たいした痛みじゃない。私にはとにかく怖さが問題だった。

で、腰椎麻酔。これまた凄くイヤな感じ。麻酔科医医師が、冷たさチェックで効きを確認する。
私は効きづらい体質なのか、胸あたりまで効いていないといけないはずが、なかなか効いてこない。
足の感覚はなくなっても、胸あたりはまだ冷たさを感じる。

麻酔が追加されると、今度は耳鳴りのようなワンワン響く感じと胸苦しさが起き、軽くパニックに。
もう、ですますでしゃべれずタメ口。麻酔科医と
「なんか耳鳴りする…なんか苦しいかも…意識飛びそう…」
「頭少し上げるよ、どう?」
「少しまし…あ、耳鳴り治った…大丈夫かも…」みたいな会話をしてると、主治医が大きな声で、
「麻酔ちゃんと効いてるからね、始めるよ!頑張りましょう!」
「はい、切ってるよー、痛くないね?すぐ終わるからね」
私はただただ
「はい…」「はい…」とのみ答える。

しばらくして、
「赤ちゃん出ました!」の声、数秒ののち、「フギャアッ」と赤ちゃんの声。
ああ、産まれた…。良かった…。
麻酔科医が私にメガネをかけてくれて助産師が顔の横に赤ちゃんを連れて来てくれる。

無事に産まれてこれて良かったね…お疲れさま、ありがとう。って何故か他人事みたいに思った。

お腹を閉じる間は麻酔で眠っていたらしいけど、うっすら意識があり、医師の「この血管は…」とかの会話がなんとなく頭に残っている。
術衣から、入院着に変わっていたが
それがいつ誰にやってもらったかは覚えていない。

もう時間の感覚は全くないけれど、全部が終わり、病室に戻るともうお昼を過ぎていた。
病院では、看護師が足に血栓予防の装置を付けたり、酸素マスクを付けたり、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
少し落ちついてから、家族が病室に来た。息子はなんだかわからないままに何か不安そう。少しだけ会話して、早めに引き取ってもらった。

手術当日は、麻酔であまり痛まずにぐっすり寝り、未明近くに痛みで目が覚めたときは、筋肉注射をしてもらいまたぐっすり寝た。
筋肉注射も痛いですよね?とトコトン痛みに弱い私に、若いナースは細い針で打ちますよ大丈夫!と優しい。

翌日は、朝から歩行練習をして、トイレまで自力で行き、導尿の管を抜いて、ひたすら鎮痛剤を飲み痛みに耐えつつ、頑張って歩いてみる、そんな手術と術後でした。

まとめとして。
一人目を無痛分娩で、二人目を帝王切開で出産してみて、同じ麻酔を使うお産でも、帝王切開の怖さはハンパではなかったです。
お腹を切るって怖いです。
正直なところ、出産のその瞬間、考えていたのは怖いということばかりで、子を産む喜びを感じる余裕を、私は持てませんでした。
私にとって、このことはかなりショックなことでした。
さらに産後も2日は授乳をしないし、痛みと戦うだけの時間が長くて、精神的な落ち込みがありました。痛みだけはあるのに、産んだ実感がどんどん乏しくなっていくのが辛かった。

いま、痛みもなくなり、赤ちゃんとの暮らしの中で泉のように湧き出る愛しさを楽しんでいます。
出産も、育児も、実際には大変なことだらけだからこそ、自動的に湧いてくる愛情が必要なのだと思います。

帝王切開の手術そのものには、たいした痛みはないし、基本的には安全なお産です。産後も痛いとはいえ、薬で随分コントロールできますし、回復も意外なくらい早いものです。
主治医を信頼してまかせ、また、可能なら、早い段階で赤ちゃんと触れ合う時間をたくさん持つことが、恐怖や痛みとの上手な付き合い方と感じました。
私にはできなかったけど、あまり怖がらずに赤ちゃんと自分と医師を信じて、痛みや苦しみを期待と喜びに変えることが帝王切開を楽にしのぐ1番の方法と思います。

たいして参考にならない記録でゴメンなさい。一つ付け加えるなら、こうして記録するつもりでいることも、冷静さを保つには役立つようです。