カーテンに囲まれた、小さな空間で日がな一日ひとりきり。
飽きたなあ…。入院して、今日でひと月経ちました。

結局産後まで一時退院も許されない見通し。
32週で突然入院して、まだ赤ちゃんを迎える準備が整っていない自宅に、7週間ぶりに赤ちゃんを連れて帰宅することになる。
大丈夫かな。まあ大丈夫だろう。



入院してすぐは辛かったな、と思いだす。
息子のこと、家のこと、まだ済んでもいない準備。24時間点滴の生活、副作用、早産への不安。
入院がいつまで続くがわからなくて、先が見えなくて苦しかった。

二週間目、少しずつ、安静にすることの意味が理解できてきて、心が落ち着き始めた。まだ早めに退院する希望は捨てていなかったけど、焦ってもしかたないと思えるようになってきた。家族が頑張ってくれて、義母の協力もあってなんとか家が回っていき安心できた。
点滴は痛みが強く出て憂鬱ではあったが慣れてきていた。

三、四週間目、点滴に血管が慣れたのか、刺した場所が良かったのか、漏れたり痛みが出たりしなくなり、随分楽になった。読みたい本や、必要なものをネットで購入し、面会時に夫に持ってきてもらうサイクルができてきた。
一方で帝王切開の可能性が高くなり、新たな不安が募って眠れない日々が続いた。
帰宅したい気持ちは、波のように高まったり引いたりする。高ぶる時は辛かったが、医師やナースが何を恐れているか、周りの妊婦たちの実例を目の当たりにして理解でき、次第に凪いで行った。

いま現在は、点滴が外れて内服に切り替わり、出産や産後、退院したあとへと気持ちが向かう。
帝王切開への恐怖がもうないとは言えないけど、パニックになるような強い不安感はない。
経験談をたくさん聞いたり読んだりして、流れやパターンが大体わかった。私のいる病院で帝王切開された経験者ブロガーさんにコメントで質問して回答してもらったりもした。
温かく回答して励ましてくださり、気持ちが前を向いた。

ほとんどの母体が亡くなることなく出産できることは、世界の常識ではないらしい。昔の日本もそうだったが、いまなお、お産でたくさんの命が失われる国もある。それでも女性は妊娠し、出産に挑むから命が繋がっていく。

世界一安全なお産ができる現代のこの日本で出産できること。私は母子の安全に対し最善を尽くしてもらえる環境下でお産ができる。それは感謝すべきことだと思った。

入院にはすっかり飽きたし、病院の御飯口に合わないし、帝王切開は相変わらず怖いけど、まあ大体たいしたことではないかな、といまは思っている。

出産(予定)まで、あと8日だ。


スマホに画像が残っていた、随分前の夫の手料理。タコライス。美味しかった。
2日に一度くらい食べ物の夢を見る。ひもじい。サルサ〜。