よくあるんです。

「1ヶ月に遅刻3回で、欠勤に1日に振り替える」

という会社。

これって、いいの？悪いの？どう思われますか。

まず、押さえておきたいのが「ノーワークノーペイの原則」です。

仕事してもらってない分は、給料を支払わなくてもいいのです。ですから、遅刻した分の時給は遠慮なく引いてください。ちなみに、電車が遅れてもその分は引いていいです。「遅延理由書があれば、遅刻扱いにしない」というのは、よく聞きますが、そうしなければならないわけではありません。働いてない分は、払わなくてOK。

さて、遅刻3回で欠勤1日をどうとらえるか。

たとえば、3分程度の遅刻を1ヶ月に3回してしまったら、働かなかったのは通算9分ですが、これを欠勤1日にするとしましょうか。

働かなかった分以上に給与を差し引くということになりますね。こういうのを「減給の制裁」といいます。つまり、罰を与えるということです。罰を与える＝懲戒については、予め就業規則に定めておく必要があります。

制裁の程度は、社長が適当に決めていいわけではなく、労働基準法第91条には、1回の減給額は1日の賃金（平均賃金）の半額まで、月給の10%までと上限が設定されています。遅刻1回を1事案とすると制裁の上限は日給0.5日×3事案＝日給1.5日までが制裁可能ということです。これが月給の10％までなら法律上は問題ない、ということになります。

ちゃんと就業規則に規定して、制裁が法律の決める範囲内なら、

「1ヶ月に遅刻3回で欠勤1日に振り替える」

は合法となります。

合法・・・・なんですけどね。松井は思うのです。

合法というのと、いいか悪いかは別。

もともとの話は「遅刻するな！」っていう話ですよね。

この制裁が目的に合うのかなって思うわけです。

既に2回遅刻して、3回目に遅刻しそうなとき、松井なら「今日は休もう」って思います。だって、どうせ行っても欠勤にされるんでしょ。「だったら、損」と考える社員が必ず出てきます。要するに「重過ぎる制裁は逆効果」ということです。

どうしても、就業規則に書きたい、なんかあったら制裁したい、社長の気持ちがおさまらない。ならば、「遅刻3回で欠勤1回にすることがある。ただし、差し引く賃金の上限は労働基準法第91条に定める額の範囲内とする」ぐらいにしておき、含みを持たせます。その上でふだんから「情状によっては、欠勤にしないから、急いで会社に来なさいよ」というアナウンスをしておきます。それでも、どうしたって遅れ癖のある社員っているんですよね。観察してるとわかります。

遅刻が目についたら、上長を入れて面談指導。もちろん、面談は録音します。今後、遅刻しないためにどうするかを本人に決めさせて、足りなければこちらから提案して、「向こう3ヶ月、起きたら毎日課長にLINE入れる」「課長はLINEがなければ、電話する」ぐらいのことをします。ここまですると、遅刻社員も恥ずかしくなり、直るケースが多いです。

もう、とことん面倒みましょうよ！

「遅刻3回で欠勤1日」は正しいのか？