October 2008

パーク・ライフ (文春文庫)/吉田 修一
¥440
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外回りの仕事っていいなーと思ってしまった。
ぴもーも平日の昼間、仕事の合間に公園のベンチでぼーっとしたい。
都会にはきっとそういう人いっぱいいて、お互いに全然知らないけど、「あ、あの人また来てる」みたいな妙な安心感があったり、遠目に観察することで他人の生活を想像してみたり。。。
または思わぬ出会いがあったりするわけだ。たぶん。

パーク・ライフの文章はすごく読みやすくって景色も目に浮かんで、おとなしいけどテンポのよさがある。
最後の終わり方は気になる終わり方だけど、ぐっと顔を上げたくなるような爽快なストーリーだった。


September 2008

メリーゴーランド/荻原 浩
¥1,785
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知人が読んでいたのでタイトルだけは知っていたが、図書館で目にとまったから借りてみることにした。デザインが優しくて気に入ったというのもある。(本は表紙のデザインとか紙の質感とかも大事だよなぁ。)
でも、読み終わってから見ると、ぴもーの本のイメージとは合わないような気もした。

主人公は市役所勤めなので、公務員や公的機関に勤める方にはお勧め。結構コミカルにオーバーに書いてはあるが、肯けるシチュエーションは盛りだくさん。「前例がないから却下」そんな判断理由で自信のあるアイディアが却下されたら、自分はどうする?嘘だと思うことが日常的にまかり通ってるのがお役所です。。。いろんな葛藤があっても結局は、長いものにまかれるのが楽でいいやぁ~ってなってない?基本的に、役所に入る人ってのは最初は優秀でやる気がある人が多いと思うんだよね。倍率の厳しい試験があるし。それがきっと、やる気が空回ったり、まわりのトロさに嫌気が差したり、いつの間にか少しずつ目が曇ってっちゃうんじゃないかなぁ。

役所に勤めている人にはホントに身近にありそうなテーマでストーリーが展開する。軽いタッチながら、地方政治や学校教育についても疑問が投げかけられている。

いろんな困難があるんだけど、主人公はいろんな人とのコネに頼ってなんとか乗り越えていく。こういうときにはやっぱり人とのつながりって大事なんだなぁ。ストーリー展開的には、ちょっとうまく行きすぎって感はあるけど、すごくさわやかに読める。読み終わったら、仕事にちょっとやる気が出ました。(もともとやる気ないってわけじゃないけど笑)

August 2008

金閣寺 (新潮文庫)/三島 由紀夫
¥580
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VillegeVanguardで三島由紀夫コーナーがあって立ち読みしておもしろかったのがきっかけ。あらすじはなんとなく知っていたけど、暗そうだなぁと思いながら読んだらやっぱり暗かった。。。
でもいろんな事件があって、かなりドラマチックだし、ラストは印象的。

主人公が幼いころの、「有為子」という人の記憶がストーリーの中でかなり重要みたいで、この人の表情の描写も何度も出てくるけど、ぴもー的にはうまく想像できない。ある決定的な瞬間があるんだけど、そのとき「有為子」っていう人がその時どういう表情をしていたんだろう。ずっと気になっている。

金閣寺の描写はさすがに美しい。中でも、鳳凰の描き方がおもしろいなぁと思った。鳳凰が固まっているのは、飛び方を忘れてしまったのではなく、ほかの鳥とは違って、空間を飛ぶのではなく、永遠に時間の中を飛んでいる、ということらしい。そんな風に考えたことないけど、うまいこと言うなー。

「人の苦悶や血を見ることは人間を謙虚に人の心を明るく和やかにする。一方で人が残虐になったり殺伐とした気持ちになるのはうららかな春の午後だったりする」という柏木の言葉。・・・それは一理あるかもしれない。前者については事実だと思う。その瞬間は暗澹たる気持ちになるかもしれないけど、後になれば逆に自分が生きていることに気がつくし、そういう場面への恐怖によって人生の明るい面に気持ちが向くような気がする。後者についても、木漏れ日のゆったりした時間の中で、平和ボケしてる雰囲気をぶち壊したいという気持ちがわいてくるときも一瞬ある。リアリティがなくなるというか。
なんでだろう。してみると、少年犯罪者たちの傾向としてよく指摘される、ホラーやサイコ映画をよく見ていた、というのとの関連はどうなるんだろ。まぁ彼らが見てたのは所詮映画であってリアリティがないからかな。
とにかく、のどかな日にはちょっとしたきっかけで誰でも残虐になることができると思う。というか、基本的に人間は残虐で、今の社会がそれを必死に押し隠そうとしているといったほうが正しい?

「生あるものはすべて金閣寺のような厳密な一回性を持っていない。殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の誤算。」という言葉には目からウロコ?人間こそ、たった一つのかけがえのないもの、と言われているけど、それは人間から見た勝手な妄想かもしれない。人は繁殖し、少しずつ形を変えて伝播する。地球上で見れば、確かに金閣寺の方がよっぽど一回性を持っている。

世界を変えるのは行為ではなく認識。認識によって世界は永久に不変で、永久に変貌する。認識は生の耐え難さのための武器であり、それでいて耐え難さは少しも軽減されない」
なんとも重みのある柏木の言葉。
つまり、世界の中心は自分ってことだよね。世界は自分にとっての世界でしかない。
このセンテンスの部分だけで十分に、「金閣寺」は読んでよかったと思う。
June 2008

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉/ダン・ブラウン
¥1,890
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ダ・ヴィンチ・コード〈下〉/ダン・ブラウン
¥1,890
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だいぶブームも去ってしまったけど、やっと読めた。「モナ・リザ」も「最後の晩餐」も本物を見たことがあったので興味はあったんだけど、流行のものを読むのがなんとなく嫌な天邪鬼な性格ゆえ。。。

象徴学というものはすごくおもしろいなーと思った。暗号やパズルも。純粋な知的好奇心をそそる。
いろんなものがいろんな意味を持っている、と書かれていて、語源や地名の由縁なんかも本当かはわかんないけど、そういわれればそうかなーとも思ってしまう。
「そんなん誰も正解はわかんないんだから、想像力膨らました者勝ちやん」とも思うけど、その想像力の膨らまし方はそれはそれで凡人にはできないことだよなぁ。
それに、誰もが知っている絵画、建造物、歴史上の人物に、それを当てはめてしまうところがこの作品のスゴイところ。
この本の主張が嘘か本当かっていうのはぴもー的にはどうでもよくて、純粋におもしろかった。
あと、最後のニュートンの謎解きは、主人公より先に答えがわかったからめちゃうれしかった笑

何にでもdouble meaningの可能性が隠れている。
それを想像したり、自分の言葉にもdouble meaningを持たせられたらわくわくするなぁ。
詩や短歌だって、明喩よりも暗喩が使えた方がかっこいい。そのためには、自分の幅広い知識も必要だし、物事をいろんな方向から見ることも必要。度がすぎると疑り深い人間になってしまいそうだけど。

この本のせいで寝不足になった人はたくさんいるんじゃないかなぁ。
それに、おそらくたくさんの人が、美術や歴史、宗教に興味を持つことになったと思う。
そういう意味でもこの本の果たした役割は大きいのでは。
May 2008

すべてがFになる (講談社ノベルス)/森 博嗣
¥1,029
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この作者はぴもーの母校の先生だということは知っていたけど読んだことがなかった。卒業してやっと手に取ることとなった。森博嗣のたくさんの作品の中でこれを選んだのは、「F」のキーワードが気になったから。大学の先輩で「F」と呼ばれている人がいた。苗字がFで始まる上に、ことごとく落第している(成績のA,B,C,Fで「F」)。だからこのタイトルに興味をひかれた。

久しぶりに次が気になる本だった。
完全な密室。異様な死体。たくさんの天才たち。外界とはかけ離れた近未来的世界。14年前の事件の謎。金持ちで美しく若い女性。それに、厭世的な主人公。
ちょっとだけ恋愛っぽい要素が入っていて、そちらも興味をそそる。
うまいなぁ、と思える推理小説。

手放しで称えられないのは、自分の思想を無理やりストーリーの中でひけらかすようなところがあって、ちょっと辟易。しかもおいしいところを全部持っていくんだからね。著者と同じような立場の人物を主人公にするフィクションはちょっと食傷ぎみ。。。まぁそれは才能ある人への妬みかもね。

他の作品を読んだらまた違うかも。ストーリーはよく練ってあって、複雑怪奇でほんとにおもしろいと思う。