July 2013

ジーン・ワルツ (新潮文庫)/新潮社
¥546
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同僚に借りて読んだ。最後の怒涛の結末がすごい。ちょっとできすぎていて、いかにも小説、ドラマだな、と鼻白む感はあるが、よくできた小説だし、作者はかなり勉強していることだろう。現代のいろんな問題をよく包含している。

主人公がちょっと特殊すぎて、あまり共感はできないので、あまりのめりこめないのが残念。妊娠・出産経験がある人が読んだらまた違うのかも。
それに、ちょっと産婦人科医や役所について、善悪の仕分けが単純すぎる。現実はそんな単純な対立構図ではないと思う。

しかし、一般の人にこれだけ日本の医療現場や人工生殖や法律などについて、いろんな疑問を投げかけるという意味では非常に成功している本だと思う。これをきっかけに、医療、特に産科医療について多角的な見方ができるようになった、という人も多いと思う。

そして私は人口受精や代理出産をもっと推進すべきという思いを強くした。それらが可能な技術を手にした今、それらを抑える手は無い。法律や倫理観というのは時代とともに大きく変わっていくものだし、変えて行けばいいと思う。自分の子孫を残したいと思う人がいたら、その願いを叶えることが人間の本能にも叶うことだと思うし。逆にいったら、子孫を残したくないと思う人の分までがんばってほしい。