February 2006

こちらは先輩の紹介。「読んだらぴもー」内では初のファンタジー(?)もの。ファンタジーと言っていいのかジャンル分けがよくわからんが、宗教的かつエキゾチックでやけに艶かしい。。。そんなジャンル


これが渋澤さんの遺作ってこともなんか感慨深かった。死の予告であるさまざまなサイン。死への想い。夢。虎にみずから喰われる死。


この話は夢がたくさん出てくる。てか、全部夢なのかな。史実みたいなリアルさと同時に、全部が夢物語のような倒錯した感じがおもしろい。すごく映像的でもある。その状況が、画面が、ぴもーの頭の中で、鮮やかな色で登場してくるときもあれば、セピア色だったり、白黒だったりする。こんな感じは初めてっす。だけど特に情緒的な表現ではないんですよ。語り口はむしろめちゃ淡々としてる。最初読み始めたとき、「あ、これは歴史ものか」と思ったくらい。


そしてエロティックでもある。リアルに性的な描写があるわけではないけど、幼い皇子と天皇の妾、美しい王女と夢を食べる獏のシーンなんかは、なぜか想像力を掻き立てられる。そしてこの天皇の妾ってのがまたどうしようもなく妖しい魅力を持ってるんだなー。優しく美しいけど残酷。これって女の本性なのかも(笑)そういう見方は本来は好きじゃないけど、こーゆー女が歴史を動かしてきた気もしますな。。。


すごく好きになる本ではないけど、もっとこの世界を知りたくなる。仏教が題材の1つってのは好きかなー。漢字が難読なのが薄学のぴもーには痛いところですが(×_×)


渋澤 龍彦
高丘親王航海記