外来をやって患者さんに言われて嫌な言葉は
「抗生物質ください」
これです。
抗生物質って、抗菌薬とも呼ばれますが、基本細菌感染にしか効果はなく、我々がよくかかる風邪(感冒)には基本なんの効果もありません。
ですが、正直細菌感染かどうかは見た目だけでは判断できず、血液検査、尿検査、痰検査などが有効です。しかもこの場合の血液検査は40ml程度必要です。この検査をしてから細菌感染が疑われる場合に抗生物質の投与が正しい手順です。
抗生物質アレルギー反応も起きやすく、なによりも大変なのは薬剤耐性菌です。
細菌も抗生物質に負けないようにどんどん進化します。そして今ある抗生物質が効かない細菌が出現します。実際に今の医療でもとても問題になっていますし、厚生労働省も注意喚起をしています。抗生物質を乱用していたことにより、治るはずの肺炎などで死に至ることも生じます。
私自身も患者さんから「抗生物質ください」と言われた場合は、説明し、抗生物質は必要ないことを話しますが、だいたいが納得いただけず、クレームなども怖いために患者希望強いというカルテの記載をして抗生物質を処方してしまうことが多いです。
医療がサービス業になっている弊害ですね。
テレビなどでもこういった話題は扱われてる気がしますが、そういった知識がない人は一定数います。
正しい知識をつけることも大切ですね。