前回に引き続き中国の遺伝子改変ベイビーの誕生に関して書いていきます。

中国で遺伝子を改変しHIV耐性となったベイビーが誕生しました。


<いいことじゃないの?>
エイズは死をもたらす病→この原因がHIVというウイルスである→HIVに感染しないことが大切→HIVはCCR5という入り口から身体に入る→CCR5がなければよい
という流れで今回の研究に至りました。
これっていいことでしょって思った人も少なくないと思います。

<賀准教授は死刑?>
賀准教授の今回の研究は世界中にとてつもないインパクトを与えました。
賀准教授は世界中の科学者から批判を受けました。
中国国内でも、批判されました。現在は、死刑になるとか、中国から逃げたとか様々なことが報道されています。
科学者からは賀准教授は「マッドサイエンティスト」とされてしまいました。    
なぜ、こんなに批判されるのでしょう?

<人体実験ではないか?>    
賀准教授がこれほど批判されるのには、理由があります。
一番は、倫理面です。
医療倫理の話は医学系の小論文では最頻出です。
出生前診断の是非、安楽死や尊厳死の是非、ES細胞の是非、終末期医療の在り方、脳死について
など人の命について意見を述べることが求められます。
受験生の死生観がどのようなものであるかを見たいのです。正解はありませんが、死生観が異常であると大学が判断すれば、不合格になることがあります。
遺伝子改変ベイビーも倫理的な問題がとても多いです。
まず、今回の研究は人体実験だと思われてもおかしくないです。
例えば、新しい薬ができた時は、段階をふんで安全性をきちんと確保したうえで新薬を試します。ただ、今回の賀准教授の研究では安全が確保できているとは言えないものでした。
中途半端な安全性で実験が行われました。そもそも、遺伝子改変を行わなくてもHIVに感染しない可能性もあります。また、HIVに感染しても、エイズ発症を抑える薬の開発が進み、エイズが発症しない可能性もあります。本当にHIV感染を防げるかもはっきりとはわかりません。
これは、この子供たちを用いて、この手法が有効かを確認しているともいえます。人体実験はヘルシンキ宣言で禁止されています。
また、ネズミなど人間以外を用いた先行している遺伝子改変実験などでは、遺伝子を改変したことにより、内臓に損害が見つかったり、腫瘍化(がんになる)が報告されており、生まれたきたベイビーに異常がみられる大いに可能性もあります。遺伝子改変を行ったことで寿命を縮めてしまっているかもしれません。この責任をとることはだれもできません。

<お金の問題>
この研究で、問題となっていることにコストの問題があります。
最新の技術を使うので、遺伝子改変にはお金がかかります。お金により、改良された遺伝子を手に入れられて人とそうでない人に差が生じます。

命の価値がお金によってはかられることを助長します。
 

<生態系に与えるインパクト>

遺伝子の改変を行うと、生態系には今までに存在しなかったものをリリースする事になります。

その事で、生態系に変化がもたらされるとも考えられています。

 

たとえば、外来種が在来種を駆逐してしまうように、いままで、ある生態系には存在していなかった生物がやってきた場合、生態系が大きく変わります。

それが人間でも起こる可能性は多いにあります。

いままで存在していなかったものを生態系にリリースすることは大変危険なことであり、一度壊れた生態系を元に戻す事は困難です。

元に戻せない場合もすくなくありません。

 

<だれかがいずれ行っていた>

今回の賀准教授の研究は、だれかがいずれは行っていたと思います。

人間以外の生物では遺伝子改変はすでに行われていました。そして、人間対して行うことも技術的には可能でした。

ただ、人間に対して行われなかった理由は、上記のような倫理的な問題、安全性の問題などがあったからです。

 

エイズはいまでも多くの人を苦しめています。それを防ぐ手がわかっていたとしたら、やってみたい、そうすることで苦しむ人を助けたいと思うのは気持ちはとてもすばらしい事です。

賀准教授もそのような思いがあったからなのではないでしょうか?

 

賀准教授がやった事は、決して許される事ではありませんが、すべてを否定することも出来ない気がします。

 

<小論文として>

入試において小論文が課せられた場合、基本的にはその内容で不利益をこうむる事はないとされています。

たとえば、遺伝子改変についての意見を求められた場合、賛成しても、反対しても、そのことで評価が変わる事は表向きないとされています。

大切な事は論理的な文章か?また、多角的な視野で書けているか(メリットとデメリットの両方を考察できているか)という点です。

小論文は練習すればうまくなります。練習してない場合は0点に近くなります。

しっかりと対策することが重要です。

 

2回にわたり中国のデザイナーズベイビーにかんして書きました。

さまざまな意見があると思います。わかりにくいところなどがあれば、コメントください。

 

長い文章お読みいただきありがとうございました。では、また!