前方限界は

 

「失速速度近くの低速時に、フラップ着陸位置、エンジンをアイドル出力で地面効果を受けた状態で、操縦桿を最大に引くか、またはエレベータを最大舵角まで上げて、最大揚力係数が得られる限界」

 

です。この条件は「着陸時の状況で、揚力最大かつ引き起こし十分」を満たすために設定されています。つまりは安全に(ソフトにメインギアから)着陸できるようにということです。

 

一つ一つ見ていきましょう。

失速速度近くの低速時に → 着陸するときは失速速度近くですよね。

フラップ着陸位置 → 着陸時を考えているのでそりゃそうですよね。

エンジンアイドル → アイドルにしない方もいるかもしれませんが、NO WINDなら接地の瞬間にちょうどアイドル、という状況を考えているのでしょう。

地面効果を受けて → 着陸時なので地面効果は受けてますね。

操縦桿を最大に引くか、エレベーターを最大舵角まで上げて → 普通は着陸時にこんな操作はしませんが、安全のため最悪の状況を考えています。つまり、操縦桿を最大に引くかエレベーターを最大舵角まで上げないとノーズの引き起こしができない状態です。今考えているのは前方限界、「限界」です。飛行機が引き起こしをするためにパイロットができる「限界」は操縦桿を最大に引いてエレベーターを最大舵角にすることです。それ故このパイロットのできる限界が前方限界の条件で考慮されています。

最大揚力係数が得られる → これの目的はソフトに着陸するためです。揚力係数が多い方が降下率(ft/min)を減らせますよね。揚力係数が最大になっても着陸時で速度が小さいので上昇していくことはありません。