「ケアマネージャーはらはら日記」岸山真理子著

ー当年68歳 介護の困りごと おののきながら駆けつけます

 

地域包括支援センターで働く岸山真理子さんの日記風手記。

 

岸山さんは紆余曲折を経て2000年の介護福祉法開始と同時期にケアマネージャーとなり

70歳を目前にした現在も奮闘中の女性。

地域包括支援センターは市区町村の下請けで介護や医療、福祉に関する困りごとの相談に応じている。

所属する看護師、保健師、社会福祉士、ケアマネージャーそれぞれ専門職なのだが、

お困りごとの種類も質も様々で、よほど機械的に物事を処理する機能的な性格を備え、かつ

想像力と共感力が備わったスーパー人間でないと務まらないのではないかと思われる。

 

ではあるが、福祉の仕事は給与は安く、つまりは労働のわりに恵まれない仕事なのは事実。

なので、他に仕事を見つけられないか、よほどこの仕事に生きがい、やりがいを見いだせないと

長続きしない職場なのだ。

岸山さんは本当にこの仕事が好きで、人の面倒を見るのが億劫でないけれど‥・・・

仕事というのはメインの仕事だけが仕事でない、好きなコトをやるために全く向いてない、つまりは苦手な仕事も

出来なくてはならない、それが“プロフェッショナル” の必要条件、と言ってもよい。

ところが、嗚呼、岸山さんは、何を隠そう、基本性格、というか、基本欠陥が私にそっくりなのだ。

ADHD、まさにADHDそのもの!

こう言う人間は、特別な能力があって、他の雑務を引き受けてくれる人が全面的にバックアップしてくれるとか、

つまりはよほどの幸運に恵まれないと、組織の中できちんと業務をこなすのは大変に難しい。

私には岸山さんの苦悩が痛いほど良くわかる。自分と同じ欠陥を持っている岸山さんのことが理解できる。

猪突猛進、利用者さん、相談者さんの側にほぼ完全に寄り添ってしまう、組織の業務に大幅に支障をきたして

他のスタッフを困惑させ、迷惑をかけ続けても、全く気付かず、一直線に進んでしまう。

そして、彼女がやるべき事務作業や連絡、雑務のほとんどをほかのスタッフに担わせ、彼らが我慢の限界を超えて

パワハラ的な叱責を加えるに至るまで、あるいはそこまで行ってもまだ本質的欠陥に気づかず、

「えっ!なんで、どうして私が悪いの? 一生懸命、相談者に寄り添って、自分のプライベートな時間も仕事に捧げているのに!」

となってしまうのです。

岸山さんは組織業務に向かない性格、というか障碍者なのだけれど、いかにせん、社会では、よほどの特殊能力、それも社会に役に立つ能力がない限り

組織や人間関係にかかわらずに、自分のやりたい仕事をやり遂げるのは困難だ。ジレンマだ、苦悩だ、この障害を持った者にとって、自立して生きることは・・・。

 

岸山さんがこの手記を書いたのは、主に、ケアマネージャーや福祉業務の実態をつぶさに読者に知ってもらいたかったことが大きいのだろう。

だが、岸山さんが私とそっくりの障碍者であることが読み進めるうちに分かってしまい、本当に辛い読書体験となってしまった。

どうか岸山さんが上手くいきますように、より成長できますように、祈るような気持ちで本を閉じた。