サンデーモーニング インタビューを受けたコメンテーターの発言が物議
2021年1月10日日曜に放送された、TBSのワイドショー番組「サンデーモーニング」において、番組終盤の出演者の発言が、ツイッターなどで物議を醸している。
争点となっている発言があったのは、1月10日の朝7時30分から9時54分にかけてのおよそ2時間半にわたり、TBSで放送されたワイドショー番組「サンデーモーニング新春スペシャル」だ。番組は「"コロナ"からのメッセージ」と題するサブタイトルを付け、同番組を宣伝するTBSの公式ユーチューブでも、「混乱が、現代社会に突きつけたものとは」とうたい、コロナについて考えることをこの番組の争点の前面に、演出を構成している。
同番組の終盤、9時50分頃に放送された、新型コロナに関する世界各国のVTRと、それに対する出演者のコメントが、ツイッターで波紋を呼んだ。議論の争点となったのは、韓国でJNN取材班がコロナに関して、該当でインタビューを求めた際の発言。インタビューに対して、「温暖化が進み、氷が溶けてコロナが悪化するのでは」と答えた。それに反応し、同番組にコメンテーターとして出演していた涌井雅之・東京都市大学特別教授が「世界史を俯瞰してみると、その転換点には必ずパンデミックがあった」と語り、環境政策の見直しを提言した。
環境問題とコロナの関係は?
気象庁は2017年、地球温暖化の影響によって、気温などが西暦2100年頃にどう変化しているかの予測を出した。その報告によれば、「年平均気温は、全国平均で 4.5℃上昇するなど、全国的に有意に上昇する。」とし、西暦2100年には、東京が現在の屋久島と同じ高温地帯になるとの警鐘を鳴らした。しかし、これはあくまでコロナが発生した2019年12月の遥か以前の報告であり、この地球温暖化とコロナに明確な因果関係があるとするには、別の科学的な証明が必要となる。
またサンデーモーニングの主張する「温暖化が進み、氷が溶けてコロナが悪化するのでは」とする主張は、特に温暖化の影響が大きく現れる夏の季節に、コロナの新規感染者数が最大に近づかねばならない。ここで厚労省の週別陽性者数の推移を見てみよう。
<図>週別のコロナ陽性者数
厚労省 国内の発生状況 「陽性者数」より
上の図は、厚労省が公式ホームページで公表している、週ごとの新規陽性者数の推移である。「緊急事態宣言」、「12月以降」の表記は、筆者が加えたものである。
上の図を見てみると、第1波は緊急事態宣言に少し遅れて減少傾向にある。
また第2波は、8月7日頃にピークを迎えている。なお東京の猛暑日(一部前日の予報を含む)の日数は、8月1日から15日の月前半にかけては7日、8月16日から31日の月後半にかけては7日確認できた。陽性者数を見てみると、8月7日に第2波はピークを迎え、月末24日頃には既に減少の兆しが見て取れる。
しかし、第3波と化した12月以降の感染者は、猛暑日を14日記録した8月をさらに上回る。8月の全国の陽性者数が最大で約1500人なのに対し、12月以降の陽性者数は、8月の最大値1500人の2倍である、1日3000人という日が珍しくないことは、このグラフから明確である。
つまり温暖化の影響を直接的に受けるであろう8月より、そうではない12月の方が、陽性者数は多いことになり、サンデーモーニングの主張とは、むしろ逆の事実が、このグラフからは証明されるのである。
コロナ禍の報道 メディアはライフラインとしての自覚と責任を
新型コロナウイスはまだまだ研究途上の感染症だけに、国民が適切な医学的知識に基づく判断できる材料が非常に少ないのが実情だ。それゆえ、何の医学的根拠を伴わない感染症対策などが、ネット上には公然と流布されている。また地域の医療資源や子供を持つ家庭の家庭内隔離など、緊急にそうした専門的知識に対するニーズも高まりを増している。特にコロナ拡大に伴う高齢者に対する重症化・死亡リスクが連日マスコミから訴えられている。であるならば、まずマスコミがきちんと医学的根拠に基づく報道に努めるべきであろう。
私は昨年4月、このブログ「ソーシャル・ディスタンス」でマスコミ各社に対して、スタジオに入れる人数を最小限にし、率先して感染症対策を行動で示すように促した。それはマスコミ自身の行動が、国民に大きな面セージを与えるからである。一方で、4月の「ソーシャル・ディスタンス」執筆の動機として、こうした「温暖化とコロナ」などに代表されるような何の医学的知識も持たないコメンテーターにより、ただいたずらにあおられることに対する恐怖と不安が裏腹にあったのも事実である。
なぜ、マスコミがコロナを報じるのか。それは「コロナ」というトレンドワードを利用して、いたずらに国民感情をあおり、ましてや不安に陥れることが目的ではないはずだ(そうあってほしいが、現状の報道からはとてもそう感じられない)。国民が、自身の生命や健康を守るために、メディアの報道は資するべきであり、やみくもに一つの極端かつ非合理な主張のみに国民をさらすべきではない。あえて今回の争点となった涌井氏の発言に題を借りるとすれば、こうした災害や感染症拡大などの生命に対する非常時においては、その科学的根拠を明確にし、迅速かつ的確に国民がその生命を守るための行動に資する情報を、公益的かつ中立的視点から提供し、生命的利益提供の責任を果たすべきである。
ましてコロナが、いたずらに一つの極端な主張に向かわせるような半ば”脅しの報道”として利用されてはならない。そしてそれは、メディアがこれまで警鐘を鳴らし続けてきた、”恐怖政治”の報道版に値する事実を、主張するメディア自身が深く自覚してほしい。
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出典等
「週別のコロナ陽性者数」
厚労省 国内の発生状況など
2020年4月6日「ソーシャル・ディスタンス」pillo-rinのブログより

