私の指は、マリファナ柄のパッケージのタバコのボタンを押していた。
買ってしまったものは
しょうがない。
しょうがない。
何がしょうがないのかはわからないが、
とりあえず吸ってみよう。
その怪しいタバコに火を付けて、
ひとくち吸ってみた。
ただの不味いタバコ。
パッケージの裏には成分が書いてあった。
タールがたしか12、3mg。
ニコチン0mg
キャットニップだか、ワイルドレタスだかという、
ハーブがはいっているようだった。
これらのハーブは、今問題になっている、
科学的な薬品を染み込ませた、
脱法ハーブなんかではなく、
自然なハーブだが、
ごくわずかな意識を変える作用を持っているというものだった。
ただ、悪化していく体調を、
なんとかごまかせないかと、
立て続けに3本くらい吸ってみたが、
あいかわらず、ただの不味いタバコに過ぎなかった。
薬のトリプルカクテルに加えて、
謎のハーブタバコのせいで、
体調は本当に限界を迎えていた。
そんなふらふらの状態ながらも夜になり、
リッツカールトンの前に停められた、
帰りの夜行バスに乗り込むことができた。
大阪に来る時は、浦安のディズニーランドを経由したので、
乗客はディズニー帰りの関西人が多かった。
だが帰りの夜行バスは、他の交通機関より格安だからか、
学生や貧乏そうな若者が多かった。
だが、その中で一人だけ出川哲郎に良く似た、
とっちゃん坊やみたいなやつがいた。
スポーツ刈りに高そうなブレザーと、
白いつま先の尖った革靴。
手には、コロコロ引くタイプのスーツケース。
今ならキャリーケースとか言うのだろうか。
そいつは、みんなでバスを待ってる間から、
俺は別格だぜ
みたいな雰囲気をかもしだしてやがった。
だったら夜行バスなんかに乗ってないで、
飛行機でも乗って帰れよ
と言ってやりたい気分だった。
まさか、その10分後、
その男が体調の悪化が急ピッチで進行する私に、
トドメを喰らわせてくるとは
まだ知る由もなかったのだが…
つづく
