エルフロート、I.D.And Fly LooM解散へ | ♪ぴこにゃんの真向勝負♪ ~鋼鉄篇~

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ロックとアイドルについて語ります

 

 

アイドル事務所「myblueforest」でセルフプロデュース活動を行うエルフロートは9月3日、I.D.And Fly looM(アイフラ)は4日に、10月下旬の解散を発表した。

 

新型コロナウイルスの影響で音楽業界が壊滅的な打撃を受ける中、両グループはまだ体力が残っている状態での引き際を選択した。エルフロート公式ツイッターは「6年と半年のエルフロートの活動を守る形で幕を閉じることができる」、アイフラ公式はここで完結させることが「私たちの美学に沿う」との声明を発表。アイフラの活動期間が実質2年で終了することを考慮すると、それぞれの立ち位置と持ち味を客観的に把握した声明であり、悲壮なコメントでもある。メンバーらの未来にエールを送りたい。

 

(※エルフロート近影。グループ公式より。以下同じ)

 

(※エルフロートの声明)

 

 

 

 

(※I.D.And Fly LooM近影)

 

 

(※I.D.And Fly LooMの声明)

 

 

 

 

改めて指摘するまでもなく、コロナ禍は世界を飲み込み、収束の見通しは立っていない。ポピュラーミュージックや演劇など公演系の舞台はすべて、従来の在り方を根底から覆され、感染拡大防止のためにステージにアクリル板を設置したり、動員を数分の一に減らすなどすることでしか成り立たなくなってしまった。インディーズのライブハウスシーンは基本コンセプトが「密」であり、大きな音響を密閉空間で鳴らし、演者と観客が飛沫を飛ばし合う。それをなくすということは、コンサート本来の魅力を大きく削ぐ結果につながった。さらに、チェキ会や握手会といった物販は濃厚接触そのもの。これも感染対策のテコ入れがあった。バットを持たずに打席に入り、徒手空拳でホームランを打つのは土台無理というもの。軸が根元から折れた状態に陥ってから、既に半年近くが経過している。

 

エルフロートもアイフラも、コロナがもたらす人間社会の地殻変動によるしわ寄せが最大限に寄せられた存在だった。3月25日の小池百合子都知事による外出自粛要請、4月7日の安倍晋三首相による緊急事態宣言で公演を完全に停止。上記の感染症対策を施した上で7月から徐々に音楽活動を再開するも、ホームとする秋葉原の「あきちか」での自主企画公演以外は感染防止の観点から極端に少なくなり、年に300本のライブをこなした往年のエルフロートなどの姿からはかけ離れたものに。折悪しくコロナの「第2波」があっという間に訪れ、主戦場であるはずの夏季にも思うような活動ができなかったことから、メンバーらの心境に影響が生じ、解散を決意したとみられる。

 

エルフロートは2014年5月にデビューし、17年にはZepp Tokyo単独公演「奇跡の旗」で1200人(主催者発表)を動員するなど、界隈ではかなりの成功を収め、その豊富な運動量を誇るステージングは現在まで一目置かれる存在だった。アイフラは前身グループ「ダイヤモンドルフィー」の頃にアイドルの聖地とされる中野サンプラザ単独公演を18年に挙行し、同年10月に現在のグループへ移行。曲折を経て、19年12月にはEX THEATER ROPPONGIで自らのビターな文芸性を生かした大規模公演を挙行した。

 

地下アイドルとしてはキャリアが長いエルフロート。強靭なライブが売りのグループで、その屋号は界隈では一定の存在感を放っていた。その分、昨今の社会情勢から受けるダメージが甚大だったことも想像に難くない。先月、まだ解散が決まっていない状態でミオが卒業を発表した際に、筆者も「わかる」と思った。曲がりなりにもヘタクソなロックバンドで歌っていた自分も、アクリル板越しのライブしかない状態がいつまで続くか……とイメージするに、ミオが苦悩したであろう要因はよくわかるのである。その中において、緊急事態宣言発令後に初めてライブに向かった8月26日の秋葉原公演で、ミオは5カ月ぶりに私の顔を見るなり「さよ~なら~!さよ~なら~!!/(^o^)\」などとおどけて来やがったのである(笑)。こういうタフさがミオの専売特許であり、安心した。就職してもうまくいく人だと思う。一方の最高指導者リカは感謝を述べる一方、今後についてはどうも歯切れが悪く、この時点で解散が決まっていた可能性が高い。4月加入予定で、コロナ禍により7月に新メンバーとして加入したユヅキがかなりのポテンシャルを感じさせるだけあって、3日のミオ卒業ライブ(SHIBUYA CLUB QUATTRO)での解散宣言は悔しかった。でも、仕方ない。

 

アイフラは実働期間が2年と短かったが、前身のドルフィーを受け継ぎつつ、新メンバーらの強烈なキャラクターもあって破壊的創造に成功。欧州型ヘヴィメタル由来の猛然とした音楽性と、個性バラバラのメンバーが織り成す雑多な感覚を、ダークな表現に総動員する新しい手法で独自の存在感を放った。長らく引っ張ってきた「長老」のnatsukiはアイドルを引退するとツイッターで発表。4日の渋谷クアトロ単独公演で最高指導者のhinakoも解散後はシーンから身を引くとのコメントがあったと伝え聞く。心中察するに余りある。事実上のエースだったmichelleは今後、身の振り方を考えるという。asuna、meiに関しては人間的にやたら面白い(笑)タイプなので、きっとどう転んでも面白いだろう。

 

両グループの解散宣言はインディーズアイドルシーンに少なくない衝撃を与えた。ツイッター上の反応を見ても、岩盤支持層以外の言及が非常に多い。これはブルフォレを主現場としてきた身として誇らしくもあるが、同時に寂しい。個人的な話になるが、15年5月にマアヤ(のちのエルフロート最高指導者。19年8月卒業)から偶然フライヤーをもらった日から5年余りが経過した。ライブに足繁く通うようになった18年3月からは2年半。打たれ弱い私は、日々前に進むために精神的な杖を必要としている。エルフロートとアイフラは、人生の支えだった。感謝したい。

 

新型コロナウイルスの影響で、このようなピリオドが打たれることは遺憾である。強く、そう思う。