Liebesträume(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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「中学生になると、大人の身体になっていくし。 心と体がうまくつりあっていかなくて。 でも、相手の子が本当に真剣にひなたちゃんのことを思ってくれている人なら・・つきあうことだって全然悪いことじゃないし、むしろいいことだと思うよ、」

 

叔母の優香子は以前非常勤で中学校の養護教諭をしていた。

 

 

両親とはいつも少し違った観点でいろいろ意見を言ってくれる。

 

 

 

「大人になるまではいろいろあるわよ。 今は今で楽しい恋愛をすればいいじゃない。」

 

 

 

優香子は笑顔でぽんとひなたの背中を叩いた。

 

 

 

いろいろ。

 

 

 

かあ・・

 

 

 

ひなたは若くして結婚して子供を産んで、3年後に離婚してシングルマザーになり

 

 

 

地元に帰って、中学時代に自分に片思いしていた男の人と結婚して。

 

 

というこれまでの叔母の『人生いろいろ』について思いを馳せた。

 




そして。

 

その日はやってきた。

 

 

神田にある小さなワインバー・Saisonに招待された人々が集まり始めた。

 

 

「わあ・・・」

 

 

北都の両親や真太郎とやってきた南はその店の佇まいに思わず声を上げた。

 

 

「あのピアノバーにイメージ重なるなあ、」

 

 

ウイーンで一度だけ訪れたBallad。

 

 

一瞬にしてあのころにタイムスリップしたようだった。

 

 

 

「ほんと。 探したんです。 あの時の真尋に戻れるような場所を、」

 

 

 

絵梨沙は子供たちの手を引いて、やっぱり胸がいっぱいになってつぶやくように言った。

 

 

「すごく懐かしい。 楽しみ、」

 

 

南と顔を合わせて微笑んだ。

 

 

 

マスターが頑張ってくれて狭い店内だったが何とか立ち見を入れれば30人は入れるようにしてくれた。

 

 

 

 

 

いつもより歩く速度が遅い彼に何となく気づいていた。

 

 

 

 

「・・気が、すすまないの?」

 

 

ひなたは奏に言った。

 

 

「え?」

 

 

少し驚いたように言う彼に

 

 

「なんか。 さっきっからずーっと黙ってるし。」

 

 

そう言いながらも

 

 

果たして設楽啓輔がやってくるのか

 

 

一番彼が気にしていることは、ひなたにもわかっていたので

 

 

元気のない奏にどう切り込んでいいのかもわからなかった。

 

 

 

「・・いや。 うん・・ま、気が進まなくはないけど。」

 

 

 

少し

 

 

こわい。

 

 

そう顔に書いてあった。

 

 

 

「でも。 真尋さんのピアノを聴くの、楽しみ。 それはほんと。」

 

 

 

ひなたを安心させるようににっこり笑った。

 

 

 

もうすぐ店につく手前の道の歩行者用信号が点滅しはじめた。

 

 

 

「あ、走ろ、」

 

 

奏はひなたに言って駆け出そうとしたとき、同じく早足でそこを駆け抜けようとした男とぶつかった。

 

 

「わ!」

 

 

手に持っていたスマホを落としてしまった。

 

 

 

「ああ、ごめん。 だいじょうぶ?」

 

 

 

その男は吹っ飛んだスマホを拾ってすっと奏に差し出した。

 

 

「いえ・・すみませ・・」

 

 

奏はその人の顔を見て驚いた。

 

 

 

まぎれもなく。

 

 

 

設楽啓輔

 

 

その人だったから。

 

 

 

そして真尋のライヴ当日。 奏は思わぬところで設楽と会ってしまいますが…

 

 

 


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