Serenade(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

その彼の反応に萌香は少し首をかしげた。



「・・栗栖さん、ですか。」


津村が萌香の名を確かめるように言ったので


「え・・・ハイ、」


戸惑いながら頷いた。



彼は萌香の顔をジッと見ていた。



この異様な空気に志藤は



「え・・えっと・・・。 ここのホテルの和食の店を予約してあります。 どうぞ、」



津村をエスコートした。



「あ・・はい・・。 すみません、」


我に返って歩き始めた。






「そうですか。 ロンドンに留学のご経験が、」


志藤は津村にビールを注いだ。



「学生の頃です。 和菓子屋の息子にロンドンもないんですが・・・。 その時にたくさんクラシックコンサートに行きました。 もともとピアノをやっていて、クラシックにはずっと興味がありましたから。 北都マサヒロさんのコンサートにも何度か伺いました。 もう、本当に素晴らしくて・・いつも涙してしまいます。」


津村はそう言ってビールグラスに口をつけた。



「本人は今、ウイーンを拠点に活動しているもんですから。 再度スケジュールを確認してみます、」


志藤は笑顔を見せたが、


津村の視線がなんとなく萌香の方にさりげなくいっているのが気になっていた。



「志藤さんは嵐山なんですよね、」


津村が今度は志藤のグラスにビールを注いでくれた。


「ええ。 休みになると急に人が増えて。 夜になると急にさびしくなって。 子供心に異様やなあ、と思ったことを覚えています。」



そして



「栗栖も京都の出身なんです、」


と会話の端に添えた言葉に



「えっ・・・・」


津村はまた言葉を失ってしまった。



「私は市街地の方ですが、」



萌香が彼に笑いかけると



慌てて視線をそらした。



「・・・そう・・ですか、」



つぶやくように低い声でそう言った。




なんやろ。


さっきから栗栖のことをチラチラ見ては


視線が合うと慌ててそらしたり。



志藤はその『異変』に少し気づいていた。



しかし


萌香を仕事で連れて歩くと、このようなことは珍しくなかった。


話をしている自分よりも先方の社長なんか


彼女ばかりを見てデレデレと相好を崩して。



ま。


わかるけど。



なんて思っていたけれど、彼の様子ははそういうのとは少し違うような気もしていた。



萌香にあからさまな反応を示すこの津村という男は・・・




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