チューベローズの花言葉 最終話 | ぴっくんの気まぐれブログときどきAKBグループ・坂道シリーズ小説

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主にプロ野球やAKBグループ・坂道シリーズについて思ったことを主観的に書きます。思いついたら小説も載せます!

 取り調べ室で対峙した時、渕上は驚いていた。あまりにも、立花が冷静だったのだ。

 

「じゃあ、取り調べを始めるね。あなたには黙秘権があります。話したいこと以外は、話さなくて結構です。では、あなたの氏名・生年月日・住所を教えてください。」

 

「立花祐樹。1982年11月19日。東京都目黒区青葉台8丁目2-1、コーポレート瀬戸6階33号室です。」

 

「あなたには、徳永渚ちゃんを殺害し遺体を代々木公園に遺棄した疑いがかかっています。あなたは、これをやりましたか?」

 

「やりましたよ。」

 

立花は素直に調べに応じていた。

 

「なぜ、渚ちゃんを殺したんだ?」

 

「だって、素手で殺すには、あのくらい子なら楽にできるでしょ。」

 

その言葉を聞いたとき、渕上と衛藤は言葉を失った。

 

「あなた、まさか素手で殺したいって理由だけで渚ちゃんを殺したの?」

 

「ええ、そうですよ。だって、死に際の苦しんでる顔が見たかったんだ。刑事さん、知ってます?あの、死に際の苦しんでる顔って興奮するんですよ。小学校低学年くらいの子なら、きちんと感情がある。だから、美しい顔ができるんだ。」

 

立花は嬉しそうに渚ちゃんを殺した理由を語る、まるで自分の作品について語っているようだった。こりゃ、とんでもないホシだ。渕上は大変な取り調べを請け負ったと思っていた。

 

「なんで渚ちゃんだったの?」

 

「刑事さん、そんなのたまたまですよ。たまたま、僕の前に現れたのが彼女だった。」

 

「そんな、ふざけたこと言ってるんじゃないわよ!」

 

「ちょ、衛藤さん!?」

 

衛藤が立花に向かっていこうとしたので、慌てて渕上は止めに入った。

 

「あんたね、そんな身勝手な理由で人を殺していいと思ってるの!?」

 

「でも、刑事さんも見たでしょ、彼女の顔。きれいだったでしょ。」

 

「ふざけないで!彼女はたった7年で命を絶たれたのよ。」

 

衛藤を落ち着かせるために渕上は取り調べを一旦、休憩することにした。

取り調べを再開した後も、立花は素直に話していた。この殺人事件のきっかけは、やはり貴子ちゃん事件が絡んでいた。聡子の供述では、立花は聡子の殺気で制止できなかったと述べていたが、事実は違った。立花は止められなかったのではなくて、わざと止めなかったのだ。その時の貴子の表情、苦しみもがいて助けを求めてきた表情を美しいと思って鑑賞していた、と供述した。立花の供述から、立花は渚ちゃん事件の殺人及び死体遺棄の容疑で、芳村聡子は貴子ちゃん事件の殺人及び渚ちゃん事件の死体遺棄の容疑で送検することが決まった。これで渚ちゃん事件の幕が下りた。