ボクシングへのモチベーションも落ちて、お笑いやりたいけど活動するまでには至らないという、宙ぶらりんな日が続き、またR-1の時期がやってきました




清水さんが怖いけど、めちゃくちゃ出たい



清水さんとも会ってないし、ボクシングもプロで試合してる訳やないし、清水さんにとやかく言われる筋合いはないやろ



と思ってエントリーしたものの、いざ出番の日になったら、やはり怖くなってきました



そして、その日のMCが誰か見たら

「シンクタンク」さん

でした



シンクタンクのタンクさんは笑顔の似合うめちゃくちゃ良い人なんですが、身体がめっちゃゴツい方で、清水さんと仲良く、更に昔、清水さんに

「タンクは、今でこそニコニコしてるけど、昔は学校何個も締めてたぐらい相当悪かったから、怒らさん方がええぞ」

と言われていたのと、僕のイメージとして清水さんの周りの人は清水さんと同じで仲間想いな人が多く、そしてこの頃清水さんに

「お前はクズや!

「お前は最低や!

と常に言われていたので、仲間の人達にも僕の悪口を言っていないはずがない


「兄さんにようも恥をかかしたな」

と、絶対シバかれると思って怖くなってきました。


タンクさんにバレないようにコッソリ楽屋に入ろうとしたら、目の前にタンクさんがいて、ボソッと

「清水兄(にぃ)から話は聞いてますよ」 

と言われました





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



後で絶対ボコボコにされる






 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしてるうちに僕の出番がやってきました



ネタは思いのほかウケたものの、タンクさんの事が気になってしょうがなかったので、舞台袖を見たら




















タンクさんが他の誰よりも笑ってくれていました




















その当時R-1はネタが終わってから会場で結果発表だったのですが、客席で見ていた僕に気付いていてくれたタンクさんが、僕の名前が合格者で呼ばれた時に

「良かったなぁ!

って感じでニコニコと僕を見てくれていました



















その時に僕は気付いたんです。


















清水さんは僕の悪口なんて言ってなかったんです


 


 





 



 





 




悪口どころか、おそらく僕の良い所を面白おかしく、いつも言ってくれていたんだと思いました。

 

 

 

清水さんは、僕の前では僕をボロクソに言ってたけど、僕のいない所では、僕の事を良く言ってくれてたんです。



 

 

僕は今までの人生、馬鹿にされて、裏切られて生きてきたので、その人の僕に対する言葉や行動だけじゃなく、些細な表情や仕草を見て、その人が僕をどう思ってるか読み取る癖がついていました。


 

そして、その人の周りの人間を見て、人間の裏の顔を見るようなっていました。





どういう事かと言うと、その人がどれだけ僕に笑顔で取り繕っていても、その人の周りの人が僕に冷たかったりと、その人の周りの態度を見る事によって、その人が僕に陰口を言ってたりするのがわかるんです。



タンクさんのその行動と表情は、清水さんが僕の事を面白おかしく伝えてくれていたんだろうなと解るのに充分でした。





僕は、途端に清水さんを避けていた事が申し訳なくなり

「清水さんに会いたい

と思うようになりました。



そして、ある時チャンスがやってきました。



新喜劇の若手の方がご結婚されるという事で、そこに呼んで頂ける事になったんです。



案の定、そこに清水さんも来ていました。



僕はおもいきって清水さんに話しかけました。



「すみません!

僕、清水さんの事が怖くなって、気まずくなって避けてました!


と正直に言ったら、清水さんが

「実は俺もや

気まずくてよう声かけんかった

高木ぃ

お笑い頑張ってるらしいやん!

良かったらこれからまた仲良くしようや」


と言ってくれて、和解する事が出来ました。



しかし、今までずっと避けてきたのと、また同じ事になるんじゃないかという恐怖で、元の関係に戻るのには時間がかかりました。



仲直りしたと言っても、清水さんがNGK出番の時にたまたま会ったら少し喋ったり、ごくたまにメールする程度の関係でした。

  

もともと、友達と言っても、清水さんの家も行った事もないですしね


僕の家族と清水さんとで一緒にご飯を食べに行った事はありますが、僕は清水さんの家族とは会った事も無かったです。



清水さんは結局、僕にとって

「タレント」

だったので、あまりプライベートな事を踏み込めないでいました。


一緒に写真を撮って貰った事も無かったです。

 

 

そして、今回の件で清水さんに対して

「先輩」

というのをより強く意識するようになり、僕からはメール出来ないでいました。



そんなある日、清水さんが僕の出ているライブを見に来てくれました。



勝ち上がり方式のライブで、一番下が1分組、その上が2分組、その上が4分のレギュラー組というライブで、僕はずっと1分組でした。


後に、R藤本さんとコンビを組んだ時だけレギュラー組になりましたお(笑)



清水さんは変装して見に来てくれたのですが、清水さんが見てると思うと緊張して、1分しかないネタを半分飛ばしてしまい、そのテンパッてる様子がめちゃくちゃウケて、今まで上がった事のない2分組に上がりました()



清水さんに

「高木は、ほんまにしょうもないやっちゃなぁ~」

と、笑いながら言われました。