そこから清水さんと意気投合して、一緒にご飯食べにいったり、清水さんがNGK出番の時はずっと一緒に喋ったりするようになり、いつの間にかNGK館内で
「清水と高木は親友」
と言われるようになりました。
もちろん芸人仲間の皆さんは、僕なんかより清水さんとめちゃくちゃ仲良くて親身なんですが、僕が一般人なのもあり、イジリの意味も込めて
「親友」
と言われていて、清水さんも
「親友」
と言ってくれていました。
一緒にボクシングを見に行ったりするようにもなり、清水さんは僕のボクシングの試合も、新喜劇の作家さんと一緒に応援に来てくれました。
新喜劇の中田はじめさんに
「清水さんにはよく怒られてるんですよ」
という話をしたら
「え!?
あの清水兄(にい)に怒られてるの!?」
と驚かれるぐらい、清水さんはトラブルメーカーで、よく揉め事をおこしていました。
清水さんにメール送った後に清水さんから電話がかかってきて
「お前のせいで怒られたやないか!」
て言われたから何かなと思ったら、新喜劇の何十周年かの記念の舞台の最中に、僕からメールが入ってきてめっちゃ怒られたらしいんですが、何でマナーモードにしとけへんねんってか、舞台中に携帯持つなって話ですよね(笑)
てか、知らんとはいえ清水さん出番少ないのにその短い出番中にメールする僕も悪いか(笑)
清水さんの大事な舞台を知っとけて話ですもんね(;_;)
後は、清水さんから数日間全く連絡がつかなくなったので、不安になって実家に電話してもいないと言われ…
しばらくしてから清水さんから連絡きて
「ヤクザに監禁されとったんや…」
と言われました(笑)
何があったんや(笑)
「心配になって実家に電話しましたよ!」
と言ったら
「親も歳なんやから心配かけるな!」
て怒られました。
いや、こっちのセリフやわ(笑)
一回、清水さんと一緒に西成の方にある保育園に行って、ボランティアで子供達と餅つきをした事があるんですが、そういう謎の活動もやられてたり…
そもそも僕誰やって話ですしね(笑)
それでも僕からしたら凄い人で、真面目な人なんですが、芸人仲間の皆さんにはよく駄目人間としてテレビでもイジられてましたね。
もともと一本気で、融通のきかない性格の上に、天才と言われながらも、病気によって全てを失った不遇な人生の為に、人間不信になり、被害妄想が激しくなり、よく人と揉めていました。
先輩芸人やスタッフさんと喧嘩になったり嫌われすぎて物を隠されたりしてるとよく相談を受けてました。
天才芸人と言われてて、イジられるのも嫌いなのに、だんだん駄目人間とイジられてたのも嫌だったみたいですね。
よく
「芸人は笑われたらアカン、笑わせるんや」
て言ってました。
そんな格好いい事言ってるのに
「高木ぃ、めっちゃお世話になってる先輩のファンに手ぇ出してもうた…」
と、めちゃくちゃゲスかったり(笑)
真面目な顔で相談してくるから笑ってまうんですよね(笑)
プライド高いのにゲス人間だったりと、僕と似てる所多いですが、僕と違う所は元々の才能と実力と、出してた結果が違ったので、余計耐えれなかったんだと思います。
僕は、最初はNGKの駐車場管理の仕事をしていたのですが、シフトがバラバラな駐車場管理の仕事だとボクシングをする上でキツかったので、比較的シフトが統一されているNGK内の床のワックスがけをしたりする特別清掃に変えて頂きました。
よく掃除の仕事中に清水さんと楽屋のロビーとかで出会って、そのまま話し込んでしまう事が多かったのですが、そんな時清水さんは、巨人師匠に話しかけられようが、カウス師匠に話しかけられようが
「今、高木と話してますんで」
と、僕との話を優先させてしまうぐらい一本気で友達想いな方でした。
清水さんにとって、師匠も掃除のおじさんも関係なかったんですね。
ただ生き方が不器用なだけだというのもあるんですが、俺は権力より友情を選ぶんだという、清水さんの中の正義というか、心意気を貫きたかったんだと思います。
確かにクズな一面もあったかもですが、とにかく生真面目な方でした。
そのアンバランスさが面白かったですね。
「高木ぃ、芸人は真面目が1番やぞ」
と、口癖のように言ってました。
今考えたら自分に言い聞かせてる部分もあったのかもしれません。
その当時は
「何言ってんのこの人?
芸人はめちゃくちゃやってなんぼやろ」
と思ってましたが、今なら何となく言ってる意味はわかります。
そんな清水さんが、僕みたいな胡散臭い一般人と仲良くしているのを心配した芸人仲間が、清水さんに
「兄さん、何であんなホームレスみたいな奴と仲良くしてるんですか?」
と言ってきたので
「何やと!?
取り消せ!」
と、掴み合いの大喧嘩になった事もあるそうです。
仲間の為には、どんな人間にもつっかかっていく男気もある方でした。
ある日、ボクサー仲間と、清水さんと一緒に、ジムの仲間の試合を応援しに、後楽園まで車で行く事になったのですが、いつまでたっても清水さんが来ない…
心配して電話したら、清水さんが
「ハァハァ…」
と言いながら出てきて
「すまん、高木…
人殴ってもうた…」
と言ってきました…
朝から何しとんねん!(笑)
どうしようかと途方にくれてたら、清水さんが遅れてやってきて
「遅れてすまんかったな…
じゃあ行こか…」
と言いました。
「行こかって…
相手の方どうなったんですか!?」
と聞いたら
「大丈夫や…」
と答えるのみ…
何回聞いても
「大丈夫や…」
の一点張り…
怖っ!(笑)
めっちゃ怖いし、この気まずい空気どないしてくれんねん(笑)
何か怖かったけど時間がなかったので東京に向かいました。
能天気な2人は、そんな事があったのも忘れて、途中のパーキングで見た富士山にテンションが上がりました。
「高木ぃ、俺はお笑いで日本一になるから、お前はボクシングで日本一になれ!
日本一の富士山に日本一になるって誓うんや!」
清水さんはお笑い、僕はボクシングの日本一を誓いあいました。
そのあと後楽園につき、清水さんと一緒に、声がかれるまでジム仲間の応援をし、その後のタイトルマッチの選手の応援を、声がかれるまでしました。
全然知らん人らやったんですけど(笑)
「気持ちや!
気持ち!」
「辛かった練習を思い出せ!」
と、全然知らない、会った事もない、僕らなんかよりもはるかに気持ちが強いであろう人達の応援を一生懸命しました。