ワクチンの話をする前に、免疫作用の話を少しします。

 

ウイルスは体の細胞にとっては異物、つまり”侵入者”です。

ウイルスが体内に侵入すると、体の細胞はウイルス退治に乗り出します。

 

具体的には

 ■(キラー)T細胞:ウイルスに冒された細胞を攻撃、細胞ごとウイルスを退治する

            ウイルスに感染した細胞は死んでしまう

 ■B細胞:抗体を作ってウイルスを攻撃してくれる

 ■食細胞:ウイルスを食べて掃除してくれる

 

ここで大事なのは「B細胞」の働きです。

抗体は、例えばコロナワクチンでは「Sタンパク(ウイルスの突起の部分)」に対し

抗体が速やかに結合することで、ウイルスがACE受容体に結合するのを防ぐことで

感染を予防してくれます。

 

 

 

これを踏まえて、ワクチンの話になります。

コロナワクチンはちょっと特殊なので、インフルエンザなどの一般的なワクチンを例にします。

普通はウイルスを不活性化(感染しないように処置)したものを人に投与します。

すると体内では”異物=侵入者発見!”となり

体内でB細胞が不活性化ウイルスに合わせた抗体を体内で作ってくれます。

 

抗体が体内でできることで、実際に本物のウイルスが侵入してきたときに

ウイルスが細胞に感染することを防いでくれるので

病気にならないというメカニズムです。

 

 

 

 

ただ、コロナのワクチンはちょっと特殊で

ウイルスそのものを不活性化して培養し投与しているわけではありません。

 

コロナワクチンは

  ■コロナウイルス中にある「Sタンパク(突起)」を作るための遺伝情報のみ採取

  ■その遺伝情報を科学的に合成

  ■合成したものを人に投与する

   (ただしこの合成物はとても壊れやすいので、グリコールという脂で包んでいる)

  ■体内に入った遺伝情報物質に対し人の体内でウイルスの「Sタンパク」のみ生成

  ■Sタンパクに対して、B細胞が抗体を作る

これにより、実際に本物のウイルスが体内に侵入した時に抗体が働いて

感染を防いでくれるということになります。

(mRNAと言われるタイプのワクチンの話)

 

 

 

よく考えると、「遺伝情報」を科学的に合成して体内に投与するってすごいですね。

科学の進歩はすごいなぁ、と思うと同時に

怖いことをやっているような気がしないでもないです。