「らんまん」 第123回
第25週「ムラサキカタバミ」
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大正12年（1923）9月1日、
空は厚い雲に覆われ、
朝から蒸し暑い一日でした。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（制服姿の少年が草を捨てる）
万太郎） あっ・・・虎太郎。
虎太郎） おじいちゃん！
万太郎） ああ・・・こんなに、
かわいい植物を・・・。
もったいない。あ・・・。
これ、おじいちゃんが、
標本にしてえいか？
お～・・・。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
万太郎） 標本はただ、植物を死なせち
ゅうわけじゃない。根っこから丁寧に
採集し、手早く乾燥させ、保管しちょく。
ほんで、それを、お湯の中につけると、
水分を吸うて、お湯の中で、花が開く。
虎太郎） 本当に？
万太郎） うん。
こうしておけば、季節外れでも、
生えちゅう場所まで行かんでも、
観察もできるし、外国と交換もできる。
標本は、世界中で、役に立つことが
できる。
虎太郎） おじいちゃん、
なかなか偉いね。
万太郎） ハハッ、ありがとう。フフ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
寿恵子） いよいよ明日ですか・・・。
（回想）
徹） 図鑑発刊のための出版費用、
この永守家が、ご支援申し上げた
いと思っています。
万太郎） いや～印刷所に版元・・・
もう全て、ご手配してくださって。
寿恵子） うん・・・。
やっと、図鑑が完成するんですね。
まだ夢みたい。
原稿重たいでしょ？
送ってしまえばよかったのに。
万太郎） いや・・・大事なもんじゃ。
手放せん。自分で持っていく。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（床から天井まで標本に
埋め尽くされた部屋）
（植物図に、文章を添えた原稿）
（束ねて積み上げた、
原稿に触れる万太郎）
（原稿の束を風呂敷で包む）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
地震発生からすぐ、
東京市内各所で、一斉に
火の手が上がりました。
突風による大火災で、
本所や浅草では、避難民
４万人が、命を落としました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（人がごった返す根津の通り）
万太郎） 大学は無理じゃ！
ハァ・・・ハァ・・・。
寿恵子） 万太郎さん、渋谷です。
渋谷に逃げましょう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ごめん、万太郎！ 標本って、干からびた草
だと思ってたよ。枯れてもなんとな～くどん
な草か分かるようにしたものだと思ってた。
お湯につけて戻す・・・そんな技があったと
は！ てか・・・なるほど、フリーズドライみた
いなもの？（たぶん違うｗ） きっと最新の標
本は、すごいことになってるんだろなあ・・・。
そしていよいよ、関東大震災。長屋といい、
標本といい、ぜんぶ焼ける気しかしないよ。
モデルの人の史実では、標本は大丈夫だ
ったみたいだけど・・・。ドラマの設定のまま
ならば、全部持って逃げるのは無理だよね。
それでも、万太郎＆寿恵子なら、諦めない。
・・・はず。諦めない物語を見せておくれ～。
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