「カムカムエヴリバディ」
第111回 第22週「２００３－２０２５」
Ｉ love you
※無断転載対策のため、不本意ですが、
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（「テーマ音楽です。よろしくお願いします。
大月ひなた」と書かれた付箋付きのＣＤ）
（副調節室から見守っている小川）
（ラジオスタジオで、マイクを前に
向かい合った、ひなたと外国人男性）
ｳｨﾘｱﾑ） Don't be nervous.
（緊張しないで）
I'll help you. （お手伝いしますから）
ひなた） Thank you.
（ありがとうございます）
ｳｨﾘｱﾑ） Yeah.
（テーマ曲の演奏は、錠一郎）
男性） キュー。
ひなた） Hello, everybody. Welcome to
"Hinata's Sunny Side English".
（みなさんこんにちは。ひなたのサニー
サイドイングリッシュへようこそ）
I'm Otsuki Hinata and here with me is・・・.
(講師の大月ひなたです。そして・・・）
ｳｨﾘｱﾑ） Wiliam Lawrence.
ひなた） それでは早速、今日の
レッスンを始めましょう。
（テキストを読む、ウィリアム・ローレンス）
ｳｨﾘｱﾑ） A long time ago・・・.
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（回想）
（赤ん坊のるいを背に、
焼け跡の街を歩いている安子）
ひなた） ♪「Come, come, everybody
How do you do, and how are you？
Won't you have some candy？
One and two and three, four, five？」
（岡山の商店街を歩くひなた）
（背中に赤いコートのアニー）
ひなた） ♪「Let's all sing a happy
song Sing tra la la la la」。
おばあちゃん。もう逃がさへんで。
ｱﾆｰ） 下ろして。
ひなた） Grandma. （おばあちゃん）
Choose the path with least regrets.
（後悔のない道を選んでよ）
Choose the sunny side of the street.
（日向の道を歩いてよ）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜偕行社・ステージ＞
（拍手）
トミー） え～ほなここで、
もう一人のメンバーを紹介します。
ジョーの、糟糠の妻、
るい・サッチモ・大月！
（拍手）
一子） 何ちゅうネーミングや。
（ステージに立つ、ロングスカートのるい）
（前髪をサイドに流した額に、傷痕）
（拍手）
（トミーが慎一に合図をする）
（再生ボタンを押す音）
ｽﾋﾟｰｶｰ） ♪「テークオン テークオン」。
ｽﾋﾟｰｶｰ・ﾄﾗﾝﾍﾟｯﾄ） ♪（「On the
Sunny Side of the Street」）
木暮） ジョーの音や。
（トミーを見るるい）
るい） これ・・・。
トミー） ササプロで録った音源、
奈々に探してもろた。
（自分のトランペットに、
ピアノを重ねる錠一郎）
（ピンクのシャツに赤いジャケットで
演奏した、あの日の錠一郎が、
るいの脳裏によみがえる）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（安子を背負ったひなたが、
偕行社の前までやって来る）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（トミーのトランペットが重なり、
くしゃくしゃの顔で木暮が号泣する）
（見守る一子）
るい） ♪「Grab your coat,
grab your hat, Leave your
worries on the doorstep
Just direct your feet
On the sunny side of the street
Can't you hear that pitter - pat？
That happy tune is your step」
（アニーをおぶったひなたが、
会場に入ってくる）
るい） ♪「Life can be so sweet」
（るいが、ひなたを見る）
（錠一郎も気付く）
（るいの異変に気付く会場の人々）
（マイクを握り直し、
アニーを見つめるるい）
るい） ♪「I used to walk in the shade
With those blues on parade
（泣きそうな顔で見ているアニー）
（泣きそうな顔で見ているひなた）
るい） ♪「But I'm not afraid,
My rover crossed over
If I never have a cent,
I'd be rich as Rockefeller
With gold dust at my feet
On the sunny side of the street」
（マイクを置き、
ステージを駆け下りるるい）
（るいを抱きとめるアニー）
（しがみつくように、
アニーを抱きしめるるい）
（二人を見つめるひなた）
（るいの背中をさするアニー）
（二人を見つめる勇）
（二人を見つめ、微笑む和子）
（木暮）
（涙をぬぐう一子）
（見つめる桃太郎）
（笑顔で頷く健一）
（トランペットを吹き続けるトミー）
（二人を見つめ、ピアノを弾く錠一郎）
（見つめるひなた）
（るいの額に手を伸ばすアニー）
（その手を握るるい）
るい） お母さん。
安子） るい。
るい） I love you.
（るいを抱きしめるアニー）
るい） お母さん・・・。
（閉ざされた戸が開けられ、
幼いるいが、安子を見つめる）
（安子に近づくるい）
（るいを抱きしめる安子）
安子） るい・・・。
るい） お母さん。お母さん・・・。
（二人のすすり泣き）
（涙まみれの顔で、微笑むひなた）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜ライブの後＞
（るいが安子の足に湿布を貼っている）
安子） あっ、痛たた・・・。
るい） 動かんといてえ。
何もう、情けない声出して。
安子） そねえなこと言うても、
痛えもんは痛えんじゃあ。
ひなた） お父ちゃん。
おばあちゃん。
お父ちゃんと、弟の桃太郎や。
錠一郎） ああ・・・いや。
あの、そのままで。
初めまして。錠一郎といいます。
安子） るいの、旦那さん？
るい） （頷く）
錠一郎） あの・・・お義母さん。
るいを、産んでくださって、
ありがとうございます。
安子） （すすり泣き）
ひなた） ああもう
泣きやんだとこやのに。
泣かせるようなこと言わんとき。
錠一郎） いや・・・
いつか言いたいなと思てたんや、
桃太郎） 初めましておばあちゃん。
桃太郎です。
安子） 初めまして。
桃太郎） 今は雉真繊維の
野球部にいます。
安子） あ・・・。
るい） 勇叔父さんは？
桃太郎） あっ、先帰らはった。
錠一郎） 近いうちに、ゆっくりって
言うてはりました。健一さんも。
（会場を眺める錠一郎）
錠一郎） いっつも特別になるなあ・・・。
このステージの、クリスマスライブは。
僕、ここで出会ったんです。
「On the Sunny Side of the Street」に。
安子） 昭和23年の、クリスマスですか？
定一さんが、「サニーサイド」を歌うた。
錠一郎） そうです。
安子） あの日、錠一郎さんも、ここに・・・。
アニー・ヒラカワ、
本名、安子・ローズウッドは、
その日、るい、そして、
るいの築いた家族と、
夜遅くまで語り合いました。
安子とるいの間にあった誤解も、
わだかまりも、クリスマスの夜空に、
とけてゆきました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
2004年 1月
年が明け、「サムライ・ベースボール
が大ヒットとなった頃、安子は再び、
日本に戻ってきました。
＜朝丘神社＞
勇） せえで、どねんしとったんなら。
アメリカ行ってから。
何であんころ屋のあんこが、
ハリウッドのアニー・ヒラカワに
なったんじゃ？
安子） ボビーは・・・ボビーいうなあ、
ロバートのことじゃけど・・・。
アメリカに行くいうて決めたあの日
から、ずっと、支えてくりょうった。
シアトルので暮らしは、大変なこと
も、もちろんあったけど、ボビーの
ご家族は、異邦人の私を、温こう、
受け入れてくれた。本当に、
木漏れ日みてえな人じゃった。
勇） アニー・ヒラカワいう名前は？
安子） 名字はヒラカワ先生に
あやかって。名前は・・・。
勇） あんこ？
安子） アッハハッ、そうじゃ。
あんこの、アニーじゃ。
（笑い声）
（回想）
勇） みんな入れ入れ。
わしのおごりじゃ！
一同） わ～い！
安子） 勇ちゃん。
勇） おうあんこ。
安子） やすこじゃ！
安子） 「サムライ・ベースボール」は、
もう、見てくれたん？
勇） 当たりめえじゃ。
封切り日の朝一番に見たで。
安子） そう。
勇） アメリカでも、
日本でも大ヒット御礼じゃ。
おめえもうれしかろう。
安子） 勇ちゃん。
勇） 何なら。
安子） 私が、一番、
うれしいなあなあ・・・。
勇） うん？
安子） この映画で、
稔さんの夢が、かのうたことじゃ。
（回想）
稔） どこの国とも自由に行き来できる。
どこの国の音楽でも、自由に聴ける。
自由に、演奏できる。
僕らの子供にゃあ・・・
そんな世界を生きてほしい。
ひなたの道を、歩いてほしい。
安子） はい。
（手を合わせる安子と勇）
安子・稔） 聞こえる？ あの楽しげな音。
あれは幸せな君の足音。
ひなたの道を歩けば、
きっと、人生は輝くよ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ひなたの英会話番組に錠一郎のテーマ音楽。
そこに城田優。名前はウィリアム・ローレンス。
でも多分・・・ビリー。ロバートの愛称がボビー
なら、ウィリアムの愛称はビリーらしい。あと
１話しかないのに。２人の出会い、プリーズ！
A long time ago・・・.
カムカムの第一話。始まりのナレーションへ。
そういうことなのか？ そういう仕掛けなの？
捨てた故郷の街を走り走って、あの神社で
倒れ込むアニー。アニメなら、アニーの姿を
脱ぎ捨てながら安子に戻っていく心象風景
が目に浮かぶところ。走り過ぎだけど、ある
意味「みそぎ」の走りは必要だったのかもね。
おばあちゃんを背負い、カムカムを子守歌
のように歌うひなた。「もう逃がさへんで」と
いうひなたにしびれたよ。グッジョブひなた。
Grandma. （おばあちゃん）
Choose the path with least regrets.
（後悔のない道を選んでよ）
Choose the sunny side of the street.
（日向の道を歩いてよ）
トミーが用意したサプライズは、トラペットの
昔の音源。予想はしていたけど、実現すると
やっぱりうれしい。ジョーもるいも、友に人に、
恵まれたよね。その縁をつないできた。昔の
音に、ジョーのピアノとトミーのトランペット。
あのステージで奇跡の音の共演プラスるい。
すべてが揃ったその場所にやって来る安子。
るい） お母さん。
安子） るい。
るい） I love you.
お母さん・・・。
あの日の「I hate you」に苦しんだのは、安子
以上にるいだったのだと思う。まさか、まさか、
あのまま、アメリカへ行ってしまうなんて・・・。
あのまま、逃げてしまうなんて。帰ってきても
簡単には許さないぞと思っても、それっきり、
自分を置いて出て行くなんて・・・思わないよ。
「I hate you」を「I love you」に変えるしかない。
狂った歯車を、間違い続けた運命を、変えら
れる言葉は、「I love you」しか思いつかない。
嬉しい想定外は、小さいるいと安子が、あの
日を、やり直した映像が見られたこと。閉めら
れた扉が開いて、雨は上がり、光が差し込む
中で、若き日の安子とるいが抱き合えたこと。
安子を、森山さんが演じた理由がやっと分か
った。安子を、キラキラしたまま、視聴者の記
憶の中で生き続けさせるには、再会した安子
の「老い」はリアルでなければいけなかった。
あの日のやり直しの映像を入れるならば・・・
特殊メイクした上白石萌音安子を見せるより、
若き日の安子はそのまま温存した方がいい。
るいの背中をさする森山安子の指のシワが
いい。勇ちゃんとも、老いのバランスがいい。
稔さんと安子、若いままの２人で、いいのだ。
安子に関しては、ツッコミたいところはたくさ
んあるのだけれど・・・それは最終回の後で。
気になっていることはたくさんあるけれど・・・
種明かしはどこまでしてくれるのか。気には
なるけど、それより何より、離れがたい想い。
毎度のこととはいえ、なかなか慣れないね。
さあ、あと１日、一緒に見守りましょうね～♪
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