「義母と娘のブルース」第10話(最終回) | 日々のダダ漏れ

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「義母と娘のブルース」

 


第10話(最終回)

 

(麦田の回想)

麦田) 俺に一生お世話されてください!

亜希子) ありがとうございます、店長。

 私のような者を、そのように思っていただけ

 るなど、本当にありがたいお話と存じます。

 しかしながら、店長の手を見ても、思い出し

 てしまうのは、夫のことで。

 

(亜希子の回想)

良一) 手、つなぎませんか?

 

(麦田の回想)

亜希子) そのような状態で、店長のお世話

 になる事は、失礼かと存じます。

麦田) そっ、それって、ダメって事っすよね。

亜希子) 私は、満たされてしまって

 いるのだと思います。

麦田) 満たされてる?

亜希子) 生きる事を諦めていたあの人が、

 私と出会って、もう一度生きてみるって、

 闘ってくれたんです。それより何より、指

 輪も結婚式もなかったけれど、私は夫に、

 みゆきという宝物をいただき、その結果、

 私自身、素晴らしい年月を重ねることが

 できました。

麦田) まあ、何だ、その…。

 2人はちゃんと好き同士だったって事だ。

みゆき) えっ?

麦田) 父ちゃんと宮本さんな。始まりは

 ちょっと違ってたかもしんねえけど。

 でねえとフラれるわけねえだろこんな

 イケメンが。ハハハハッ。

みゆき) 店長、あの、私、

 いい加減なこと…。

大樹) いや、むしろ顔で負けたん

 じゃないですかね。

麦田) えっ?

大樹) みゆきの父ちゃん、

 ヤバいくらいイケメンだったんですよ。

麦田) カーッ、そこ! そこだったか!

大樹) そこっすよ。

麦田) そんなイケメンだったんか。

大樹) もうヤバかった。半端ないです。

麦田) お~っ、どんなだ?

大樹) 日だまりみたいな感じで。

 

**********

 

いつだって、

私の人生はブルースだった。

お別ればかりのブルース。

 

くそくらえだ。

そんなもの、いらない。

 

もう、ブルースなんていらない。

 

みゆき) お母さん! お母さん!

 

**********

 

亜希子) みゆきは自分が社会人になり、自立

 をしたら、私が麦田を辞め、大阪に行くことが

 できるとお考えくださったようですが。もし、何

 をしてでもコミットしたいオファーならば、私は

 自分でネゴします。人生の舵は自分で切りま

 すので、以後、このような気遣いはご遠慮くだ

 さい。以上です。
みゆき) じゃあ、じゃあお母さん、自分が白髪
 出てきてんの知ってる? 知らないでしょ。

 自分で舵切るとかカッコイイこと言ったってさ、

 お母さん今自分がどこいるか分かってないじ

 ゃん。人生なんて いつ終わるか分かんない

 じゃんって言ってんの。お母さんだって年も取

 るし いつかは死ぬ時が来るんだよ。これから

 時間はどんどん短くなるんだよ。だったら、や

 りた事やってほしいって思うじゃん。これ以上、

 私のためにばっか時間使わないでって思うじ

 ゃん。私、もうお母さんから時間取り上げたく

 ないんだよ。

亜希子) 時間を取り上げる、とは?
みゆき) お母さん仕事好きじゃん。

 大好きじゃん。なのにさ、私のために

 仕事も辞めて、出世だって諦めて。

亜希子) だからそれは誰に強制されたわけ

 でもありません。私が自分で選択…。

みゆき) そう言うよね。分かってるよ。

 お母さんそういう人だもん。だからこうしか

 できなかったんじゃん! こうしかできなか

 った私の気持ちも、少しは分かってよ!

亜希子) みゆきは、私が全てを捨てて、

 同情から自分を育ててくれたと思ってい

 る。それをみゆき自身、恩に感じている。
 そういう解釈でよろしいですか? では、

 もうキレイな言葉で語るのはよしましょう。

 

**********

 

亜希子) 私があなたを育てた理由は、単なる

 私のエゴイズムです。あなたにはずっと、私

 の両親は、私が25の時に亡くなったと言って

 きましたが、あれは嘘です。私が両親を亡く

 したのは、小学校3年の時、事故でした。私

 はその後、祖母に引き取られ、育てられる事

 になりました。祖母はいつも私にこう言って

 いました。「私はあんたよりきっと、随分先に

 亡くなる。だからあんたは、誰にも頼らず、自

 分一人で生きていけるようにならないといけ

 ないよ」と。けれど、そう言ってくれていた祖

 母も、中学生の頃には亡くなり、私は、施設

 に行く事になりました。幸い施設でも、私は

 大過なく過ごす事ができました。その中で私

 は、とにかく、自分一人で生きていけるよう

 になる事を目指し、ひたすら勉強しました。

 思わず弱音を吐きたくなったりする事もあり

 ましたが、周りは自分より小さい子だらけで、

 私の話相手をさせてよい方など、一人もい

 らっしゃいませんでした。そうして、何とか高

 校を卒業し、光友に拾ってもらう事ができま

 した。高卒の私はそれこそ、お茶くみ、コピ

 ーとりから、秀吉のごとく、なりふり構わず

 自分をアピールし続けました。ありがたいこ

 とに、そのパフォーマンスを認めて下さる方

 がいて、出世の階段を上っていくことができ

 るようになりました。嬉しかったです。嬉しか

 った私は、24時間、仕事の事しか考えない

 人間になっていきました。仕事は楽しかった

 です。私の人生はこれでいい。これで十分

 なのだ。これ以上望んだら罰が当たる、とも。

 でも、そんな風に過ごすうちに、いつの間に

 か、心にぽっかりと、穴が開いていたのです。

 そんな時、声をかけてくれたのが、良一さん

 でした。良一さんは、あなたの母親になる人

 が欲しくて、私は心の穴を埋める存在が欲

 しくて。だから、良一さんの提案に乗り、あな

 たと出会いました。生意気で、強がりで、か

 わいすぎて、はじめは娘だなんて思えませ

 んでしたが。良一さんに心配をかけまいと、

 我慢しているあなたを見て、思ったんです。

 この子は私なんだって。この子を安心させ

 てやりたいと思いました。思い切りわがまま

 を言える場所を与えてやりたい。私が欲し

 かったものを全部、この子にあげたい。そ

 のうちに、あなたが笑えば、私まで笑ってい

 るような気になりました。あなたが傷つけら

 れると、自分が傷つけられたかのような怒

 りを覚えました。あなたが褒められると、ま

 るで自分が褒められたかのように舞い上が

 り。私は、あなたと自分を、混同した状態に

 至りました。要するに、あなたを育てると、

 口では言いながら、私はその実、満たされ

 なかった自分を、哀れみ、育て直していた

 のです。あなたは私に利用されただけ。

 私はそんな女です。だから、恩に着る必要

 など、何一つないんです。

みゆき) (泣)

 お母さん、バカなんじゃないの?

 私が笑ったら、

 自分が笑った気になるってさ。

 私が傷つけられたら、

 自分の事みたいに怒るってさ。

 自分が欲しかったもの、

 全部あげたいってさ。

 そういうの、そういうのね、

 世間じゃ、愛っていうんだよ。

 やりたい事やってよお母さん。

 お母さんがすごいねって言われたら、

 私、きっと自分がすごいねって言わ

 れたような気になると思うんだよ。

 まだ分かんないけど、

 お母さんと同じ気持ちがね、

 私の中にも、ちゃんとあると思うんだよ。

(亜希子を抱きしめるみゆき)

亜希子) みゆき。(泣)

 私、自分で子どもを

 産まなくてよかったです。

 あなたみたいないい子は、

 絶対に私からは生まれてきません。

みゆき) んなことないよ。

(みゆきを抱きしめる亜希子)

 

**********

 

麦田) 宮本さん。

 今日をもってクビです!

 今度は間違ってないっすからね。

 岩本さんじゃなくて、宮本さんっすから。

亜希子) あの、なぜ急に?

麦田) 宮本さんが好きなのは物を売る

 って事で、うちのパンじゃないっしょ。

 俺、そういう人にキムタヤって、

 やっぱ無理だと思うんすよ。

 だってそれって、偽りのラブっすから。

 だから、キムタヤにする件は、

 俺がやります!

 宮本さんの輝ける場所は、

 もっと別にあるんじゃないっすかね。

亜希子) 店長、実は。

(「退職願」を出す亜希子)

麦田) マジっすか。

亜希子) はい。

麦田) カーッ。いやんなんなあ~。

 こんなときばっか気が合うって。

亜希子) 店長、私も、頑張ってきます。

麦田) はい。

(亜希子の腕を引っぱり、

 おでこにキスをする麦田)

亜希子) い…な…。

麦田) ヘヘヘヘッ。

 まあ、俺の退職金ってとこっすかね。

亜希子) はあっ?

麦田) ヘヘヘッ、宮本さん。

 短い間でしたが、お世話されました!

亜希子) おっ、お世話になりました。

 

**********

 

みゆき) そういえばさ、お母さんって

 何で歴史物好きなの?

亜希子) 何だか、大したことないと

 思えるではないですか。

 歴史上の方々に比べたら、

 私が今陥っている、苦難など、と。

みゆき) なるほど~。

 お母さんの推し武将って誰?

亜希子) 推し武将、とは?

みゆき) 応援したい武将ってこと。

亜希子) いかんせん、皆様、鬼籍に

 入られておいでですからね。

 そういえば、麦田にバイトの面接は

 行ったのですか?

みゆき) 行った行った。

 あ…店長名刺作ってくれるって。

(名刺を亜希子に差し出すみゆき)

みゆき) 私、このような者でございます。

 

(回想)

亜希子) 私、このような者でございます。

(小さいみゆきに名刺を差し出す亜希子)

 

みゆき) あっ、何か間違ってる?

亜希子) 軽く自己紹介をしながら、

 相手が読みやすいように、文字を

 向けて差し出すのがマナーです。

みゆき) ベーカリー麦田営業部、

 宮本みゆきと申します。

亜希子) ありがとうございます。

 では、頂戴します。

 「新米」。

みゆき) やっぱ変だよね。

亜希子) よろしいのではないでしょうか。

 パン屋なのに新米とは、これいかに? 

 と。営業トークの枕としても使えると

 思います。

みゆき) お母さん、これからもよろしくね。

 私、お母さんに聞きたいことあるから。

 まだまだいっぱいあるから。

 

**********

 

亜希子) では、みゆき。

 行ってらっしゃいませ。

 行ってらっしゃいませ。

みゆき) お母さんも。

 行ってらっしゃいませ。

亜希子・みゆき) では、行ってまいります。

 

**********

 

ポップス、ロック、クラシック。

ジャズ、民謡、演歌、オペラ。

地球は歌であふれてる。

もし、私の人生を歌にしたとすれば、

それはきっと、ブルースだ。

お別ればかりのブルース。

別れなんて来ない方がいいに決まってる。

だけど…

別れたからこそ、巡り会える人もいる。

曲がらなかったはずの曲がり角を曲がると、

歩かなかったはずの道がある。

そこにはなかったはずの明日がある。

その先には、出会わなかったはずの

小さな奇跡が。

 

**********

 

<みゆきのアパート>

亜希子) お帰りなさいませ。

みゆき) おっ、お母さん?

亜希子) 申し訳ございませんが、

 みゆきのバッグを見せて」 

 頂けませんでしょうか?

 チケットが見当たらないのです。

みゆき) えっ? あっ、はい。

 

それが、

義母が私に歌ってくれたブルースだ。

そのはずなのだけど。

 

(文庫本に挟まれたチケットを
 見つけるみゆき)

みゆき) あった!

亜希子) 何と!

 ありがとうございます。確認します。

亜希子 うん?

みゆき) うん?

(東京から東京行き表示の切符)

亜希子) 奇跡?

 

**********

 

原作の漫画の題名そのままなので、仕方がない

のだけれど、正直ドラマの題名としては、視聴を

ためらわせるものがあったと思うので、そこが残

念というか。題名のイメージでの食わず嫌いは

あっただろうなって。もったいないもったいない。

 

キャストに惹かれて見たのだけれど…回を追う

ごとに引き込まれ、大好きになったドラマだった。

途中原作が知りたくなって漫画も買って読んだ。

原作の良さを活かした上で、ふくらませたキャラ、

加えられた設定が秀逸。原作ものが得意な脚本

家だと再確認。時々、やりすぎもあるけどね…w

 

顔だけ男なのは一緒なのに、朝ドラの律よりず

っと、ぎぼむすの麦田のほうがいい男に見えた。

脚本家によってこんなにも見え方が違うのかと。

絵面はきれいでも中身がない男にしか見えない

律とは真逆で、バカなのに愛おしく見える麦田。

 

綾瀬はるかの安定感。この手の役をやらせたら

ピカイチ。コメディエンヌとして最高のパフォーマ

ンスを魅せてくれた。竹野内豊もよかった。彼の

おかげで、麦田になびかない亜希子さんに説得

力があった。そして、2人のみゆきの可愛さよ!

ちゃんとつながっているように見えたのが凄い。

 

義母と娘の初めての出会いから、今に至るまで

が丁寧に描かれてきたので、今回の2人の会話

で涙腺が決壊。もう嗚咽してしまうほど泣いてし

まった。「お母さん、バカなんじゃないの?」で…

もうもうもう~!(書いてるだけでも泣けてくる~)

 

私が笑ったら、
自分が笑った気になるってさ。
私が傷つけられたら、
自分の事みたいに怒るってさ。
自分が欲しかったもの、
全部あげたいってさ。
そういうの、そういうのね、
世間じゃ、愛っていうんだよ。

 

そう。世間じゃ、そういうの、愛っていうんだよ!

愛って…愛って…そういうことをいうんだよ~!

 

別れたからこそ、巡り会える人もいる。
曲がらなかったはずの曲がり角を曲がると、
歩かなかったはずの道がある。
そこにはなかったはずの明日がある。
その先には、出会わなかったはずの
小さな奇跡が。

 

小さな奇跡はどこにでもある。探せばきっとある。

その先にあるものを奇跡と思えるか思えないか、

それは、自分次第(どこかで聞いた事があるよう

な…半青とか半青とか…w)。愛あるドラマには、

力がある。明日も頑張ろうって、力が湧いてくる。

朝ドラで受けたダメージを、げんなりした気分を、

いつもやさしくデトックスしてくれたドラマだった。

 

私の娘はべらぼうに可愛いのです!

 

第2話の、亜希子さんのセリフが忘れられない。

朝ドラでも、そんな親子愛が見たかったのに…。

 

ぎぼむすは、べらぼうに面白いのです!

キャストが、べらぼうに素晴らしいのです!

 

奇跡を信じて、ドラマを見続けようと思えたよ~。

 

 

●「義母と娘のブルース」HP


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