「半分、青い」 第12回
第2週 「聞きたい!」
鈴愛の左側は、いつだって晴れやね
律) これは、ゾートロープという。
鈴愛) ミートソース?
律) 違う?
鈴愛) ナポリタンか?
律) うまく作れば、アニメみたいに
絵が動いて見える。
鈴愛) ふぎょぎょ!
律) 鈴愛、絵描いていいよ。
動かしたい絵。
鈴愛) あっ、鈴愛の左耳の、
こびとを動かしたい。
律) これ?
鈴愛) あ…
律のノートに描いたんだった。
律) これからは、
落書きは自分のノートに。
鈴愛) 了解致した。
律) これ、動かすの?
鈴愛) そいでお母ちゃんに
見せる。鈴愛の左耳は、
こんなに楽しいって見せる。
**********
<小学校>
豊島) 私、律君がふざけてるん
だと思ったんです。
(回想)
律) あっ! 先生の背中にヤモリ!
豊島) どこ、どこ!?
豊島) 鈴愛ちゃんが、バランスとれなく
なってるっていうのは、お母さんから
聞いてたんですけど、うっかりしてしま
って、配慮が、足りませんでした。
晴) いえ。そんな事が…。
豊島) 鈴愛ちゃん、小学校3年生です。
なんとか、学校でも、家でも、うまく助
けてあげて、こちらも、いじめなどない
ように…。
晴) いじめ…。
**********
<つくし食堂・昼休み>
(和子と晴にお茶を出す宇太郎)
晴) 私いらない。
宇太郎) うん。
和子) あの…。あの、晴さん。
しっかりして。笑顔でいよう。
お母さん、泣いたら、子どもは
元気でおれん。
宇太郎) あっ、和子さん。今、うちの、
ちょっと参ってるんで…。今日も、
学校、俺が行こうかっつったのに。
晴) いいの。続けて。和子さん。
和子) 病気を、起きてしまった事を、
悔やんだり、憎んだりしても、何の
解決にもならんと思う。受け入れて、
それと一緒に生きるんやと思う。
本人も、親も、家族も。
だって一人やないよ。
フーちゃんもおるし、ご家族もおるし、
私もいるし、律もいるし。頑張ろう?
晴) あの子、授業聞き取れないんや。
先生何言っとるのか分からんのや。
休み時間に大勢のお友達とおしゃべ
りするのも、音があっち行ったりこっ
ち行ったりして、苦痛なだけなんや。
あの子の左耳は、もう二度と戻らん!
律君の喘息は、治るかもしれんやな
い? 大人になったら治る事あるでね、
喘息。
宇太郎) 晴さん。
**********
<萩尾家・律の部屋>
(こびとの絵を描いている鈴愛)
鈴愛) こびとを16人描く。
少しずつ動かして。
律) そうそう。
(横でゾートロープの装置を作る律)
**********
<つくし食堂・厨房>
晴) 私、嫌な女だ。駄目な人間…。
和子さんは鈴愛を
心配してくれとるのに。
宇太郎) 嫌な女になる時も、
駄目な人間になる時も、
あっていいんやないの?
晴) ウーちゃん。
宇太郎) いつだっていい女で、正しい
人で、完璧なおかあちゃんやったら、
鈴愛だって息が詰まるやろ。
俺だって息が詰まるわ。
晴) ほうか。
宇太郎) 鈴愛は、
そんなおかあちゃんが大好きだ。
泣き虫なおかあちゃんが大好きだ。
そやけど、和子さんには、
早く謝った方がええぞ。
晴) うん。分かっとる…。
**********
<萩尾写真館>
和子) いらっしゃいませ。
(入口でおじぎをする晴)
**********
<萩尾家・リビング>
和子) 今日ね、主人は結婚式。
晴) あっ、ご親戚か何かの?
和子) 違う違う。撮る方。
晴) ああ…。あっ、あの、
和子さん、これ、お土産。
和子) あっ、うさぎや!
晴) 和子さん、
この間は、ごめんなさい!
ひがんだような事言っちゃって…。
どうかしとった。
和子) ううん。私たまに、先生
みたいな言い方するでしょ?
晴) 先生みたい?
和子) うん。律によく言われる。
ほ~らこれからいい話するぞっ
て感じあるんやと。鼻につくって。
説教くさいって。出来損ないの、
金八先生みたい。
晴) 金八先生。
和子) (金八先生のものまねで)
この、バカチンが。
晴) フフフツ…。
**********
<楡野家>
鈴愛) では、ジャジャ~ン!
この度、お日柄もよく…
おがらひ…お、お?
律) お日柄、合っとる。
鈴愛) 本日、お日柄もよく、こうして
皆様にお集り頂き…。
草太) 姉ちゃん、いいから早く。
鈴愛) (せきばらい)
私と、律が作ったものを、
皆様の前でご披露致しまする。
律) 誰なんだよ。
鈴愛) 律。
律) はい。
(部屋の灯を消す律)
(拍手)
鈴愛) やっていい?
律) 御意。
(手作りの幕を開ける鈴愛)
晴) あらま!
晴) あれあれ。
仙吉) あ~。
鈴愛) どう?
お母ちゃんすごいやろ?
これが鈴愛の左側の世界や。
耳ん中でこびごた踊る!
晴) (涙)すごいね。
こんなの作るなんて、すごい。
鈴愛の左側、楽しいね。
鈴愛) うん。
晴) 律君、ありがとね。
(照れる律)
**********
<夜>
晴) 今日は、どんな夢?
3本足のムーミンパパ、
追いかけてきたかね?
鈴愛) 今日は違った。空を見ると、
月が、1、2、3て、3つあった。
どこ来てまったかって、怖くなった。
(布団の中で、晴に抱きつく鈴愛)
鈴愛) こうすると怖いのがなくなる。
晴) そうか…。
鈴愛) お母ちゃん。
晴) ん?
鈴愛) 鈴愛、お母さんって言うの嫌だ。
お母ちゃんが遠くへ行ってまう
みたいや。お母ちゃんがいい。
晴) そうか。分かった。ええよ。
鈴愛) 痛い痛い痛い痛い…。
ギュ~ッ…。
晴) フフフフフフッ。
鈴愛・晴) ギュ~ッ!
晴) フフフッ。
鈴愛) ギュ~ッ!
**********
<楡野家・台所>
鈴愛) お母ちゃんのお握りは、
大きくてうまい!
晴) ヘッヘッヘッ。
手が大きいからね~。何にする?
鈴愛) う~ん、何にしようかな…梅。
晴) 梅?
宇太郎) 早いな。
遠足、雨天決行か?
晴) うん。
6時に花火あがらんかったやろ?
決行って事や。
宇太郎) ああ、遠足中止の花火。
あれ、近所迷惑やな。
晴) あ…あっ!
鈴愛) あっ!
(お握りを一つ食べてしまう宇太郎)
鈴愛) あ~。
宇太郎) ウーちゃん…。
**********
鈴愛) あっ、お母ちゃん!
面白い! 半分だけ雨降っとる!
右だけ雨降っとる!
晴) そうか。左、聞こえんもんねえ。
鈴愛の左側は、いつだって晴れやね。
鈴愛) うん。行ってきます!
晴) 行ってらっしゃい。
**********
<小学校・校庭>
龍之介) お~い!
律) こっち!
菜生) こっちこっち~!
龍之介) 鈴愛!
律) 鈴愛、雨やんでる!
(傘をたたみ、空を見る鈴愛)
鈴愛) 半分、青い。
**********
9年後
俺があいつより一足先に生まれたのは、
あいつを守るためだったかなあって。
鈴愛) 出来た。
菜生) お~。タイトルは?
鈴愛) 空飛ぶクジラ!
まだ名前もない頃に、出会った。
1971年7月7日、
同じ日に僕たちは生まれた。
僕が彼女より少しだけ早く。
男性) 律!
(バスケットボールを受け取る律)
(絵筆を止め、振り向く鈴愛)
**********
そして僕たちは、
高校最後の年を迎えた。
(バスケットボールのシュートを決める律)
**********
今日も、いろんな場面に泣けた。幸せな涙
だった。とても幸せな2週間を体験できた。
嫌なところ、駄目なところ、優しいところ、
正しいところ、いろんな面があるのが人間。
先生だって親だって、未熟なところはある。
みんな違って、みんないい。それが上手に
描かれている脚本だと思う。できる事、でき
ない事、余計な事、足りない事が、人それ
ぞれにあって、凸凹だから、人間は面白い。
和子さんの存在、立ち位置が、すごくいい。
基本善意の人で、明るくて、でも、出来損
ないの金八先生(律曰く)になってしまうと
ころがある自分を、ちゃんと認める事がで
きる。いいわ~出来過ぎちゃんで終わら
せないところ。てか…北川さんってば、原
田知世をいじりすぎ! 金八までやらせる
なんて…。なんてドSな脚本家…。健君も
いじり倒してくれそうで楽しみ~(え?)。
鈴愛の左側は楽しいところだと晴に伝える
ことができた鈴愛。笑顔になれたお母ちゃ
んの布団に入ることができた鈴愛。よかっ
た~。ギュ~ッし合う母娘がかわいくって。
本当は混ざりたいはずの宇太郎さんの寝
たフリ顔が優しくって…何だかホッとする。
手をつなぐ、ギュッとするって、大事だね。
宇太郎さんの中の人が、このドラマのおか
げで、実生活でも奥さんと手をつなげるよ
うになったと言ってた。うん、ドラマを見て
いると、手をつないだり、ハグしたくなる!
鈴愛の左側は、いつだって晴れやね。
鈴愛の左側の静けさを、いつだって晴れと
言えるようになった晴。大好きなお母ちゃん
が笑っていれば、鈴愛は、元気でいられる。
雨があがり、くもり空は…半分、青くなる。
そしてそれは、子ども時代にサヨナラの時。
ちび鈴愛もちび律も、龍之介も菜生ちゃん
も、み~んな大大大好きだよ~! 素敵な
時間をありがとう! 幸せな、2週間だった。
離れがたい寂しさに襲われながら…さすが
北川悦吏子! ナレーションに大人律を持っ
てくるなんて、分かってるわ~。憎いわ~。
ヒロインの声じゃないところがね、憎いっ!
俺があいつより一足先に生まれたのは、
あいつを守るためだったかなあって。
しかもこんな男前なセリフ…やられた。ノッ
クアウトされちゃったよ。クラ~ッときた!
まだ名前もない頃に、出会った。
1971年7月7日、
同じ日に僕たちは生まれた。
僕が彼女より少しだけ早く。
ヒロインの声だったら、まだちび鈴愛に心
が残ったままだったかもしれないけれど、
クールな大人律の声に、一気に持ってい
かれた。まんまと、引きこまれちゃったよ。
久々に、先が見たい、ワクワクする感じ…
来た~~!! うれしい。うれしすぎる~。
北川悦吏子渾身の、今までの脚本人生を
集大成したイケメンキャラ、萩尾律にいよ
いよ会える。萌えフィールド全開…の私w
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