「ひよっこ」第129回～時子VSさおり・・・頑張るしかないよね

「ひよっこ」 第129回
第22週「ツイッギーを探せ！」
時子VSさおり・・・頑張るしかないよね

時子）　こご。
みね子）　へぇ、こんなとごにあんだね。
時子）　うん。
（阿部米店に入る時子）
時子）　こんにちは～。
さおり）　いらしゃい…あ…。
時子）　え…？
三男）　ただいま戻りました！
　　おっ！？あれ？どうしたんだよ？
（動きが止まってしまったさおり）

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

客）　あの…お釣り…。

さおり）　あ…ごめんなさい。

　　　ありがとうございました。

三男）　ありがとうございます。

（さおりを見ている時子）

時子）　どういうこど？

みね子）　どうしたの？時子。

時子）　どういうこどですか？

さおり）　どういうって？

三男）　えっ、何が？えっ？

　　時子…さおりさん知ってんの？

時子）　知ってるもなにもさ、

　　ファンだって言ってこの前さ。

みね子）　えっ？

（回想）

さおり）　頑張って下さい。

　　　立派な女優に必ずなって下さい。

　　　心の底から応援しています。

　　　うまくいかなくても絶対に

　　　諦めないで下さい。諦めて、

　　　結婚とか考えちゃダメです！

三男）　えっ？どういうこどですか？

　　さおりさん。

さおり）　何が？

三男）　「何が？」って、んだがら…。

みね子）　時子のファンだったんですか？

さおり）　そんなわけないでしょ。

時子）　え…。

さおり）　私は…

　　　私は、三男君のことが好きなの！

　　　好きで好きでたまらないのよ！

時子）　それは知ってます。

さおり）　えっ？何で？

三男）　えっ？

　　何で時子そんなこと知ってんだ？

（回想）

さおり）　しょうがないでしょ！

　　　三男君のことが、好きなんだから。

三男）　さおりさん、一体、この俺の

　　どこが好きなんですか？

さおり）　何で？

みね子）　ひとまず、先に進めませんか？

　　　えっと、何で…。

時子）　あっ、分がった！

みね子）　何よ？

時子）　なるほどね。

みね子）　だから何？

三男）　あ～そういう…。　

さおり）　そうよ。

みね子）　えっ？えっ、えっ？

　　　ちょっとわがんない。私だけ？

　　　何、どういうこと？

時子）　絶対に女優として成功しろって、

　　何度も言ってたもんね。

（回想）

さおり）　あなたはなれる。女優になれる。

時子）　ねっ？

（回想）

さおり）　必ずなれる！

時子）　ねっ？

（回想）

さおり）　いや、なれ！なるんだ！

時子）　ね～？

さおり）　そうね。

時子）　なるほど。

みね子）　えっ？えっ？ちょっとやだ。

　　　お願い、置いてかないで。

　　　どういうこと？三男。

三男）　やだよ、俺言うの。

みね子）　え～？時子。

時子）　つまりこの人は、私が女優として

　　成功すれば、三男が私のこどを諦め

　　て、自分のものになると思って、だが

　　ら私に成功しろって言ってきたわげよ。

みね子）　え…？

さおり）　何か説明が感じ悪い！

時子）　どうやって感じよく説明しろ

　　っていうのよ！

みね子）　さおりさん。

　　　それは、あんましですよ。

さおり）　えっ？

みね子）　だって時子、嬉しそうでしたよ。

　　　いろいろ不安もありながら、悩みな

　　　がら、頑張ってたとぎに、「応援して

　　　ます」って言われで、すんごく嬉しそ

　　　うだったんですよ。

さおり）　ごめんなさい…。

　　　本当にそれは悪いと思ってます…。

　　　傷つけてごめんなさい。

（頭を下げるさおり）

時子）　うん。わがった。

三男）　時子、ごめん…。

時子）　何であんたが謝んのよ。

三男）　えっ？

さおり）　そっちにも

　　　問題あると思うけどな。

時子）　えっ？

さおり）　ずっと三男君の気持ち弄んでさ。

時子）　は？何、弄んでるって！

さおり）　だってそうじゃない。結ばれる

　　　つもりもないのにさ、楽しんでたん

　　　じゃないの？自分のことを好きだ

　　　って言ってる男が常にいてさ。そう

　　　いう状況を楽しんでたんじゃないの、

　　　違うの？

三男）　いやさおりさん、

　　時子はそういうんじゃ…。

さおり）　三男君は黙ってて。

時子）　そうよあんたは黙ってなさい！

三男）　え…？

さおり）　あぁもう…

　　　言わせてもらいますけどね！

　　　いいですか？

　　　言わせてもらって、言いたいこと。

時子）　どうぞ。

さおり）　大体ね、普通ね、普通さ、

　　　田舎から出て来た男の子と…ねっ？

　　　東京の女の子が、恋が始まったと

　　　するでしょ？そしたらさ、田舎の

　　　男の子にはさ、幼なじみみたいな

　　　女の子がいてさ。その子のことが

　　　昔から好きでさ。…みたいなさ、

　　　話はよくあるとしてよ。

三男）　いや、

　　恋はとぐに始まってないっつうが。

さおり）　黙ってろ。

時子）　そうよ、黙ってろ！で？

さおり）　だから、そういう場合、幼なじみ

　　　っていうのはさ、素材としては素朴

　　　でかわいいんだけど、芋っぽくて、

　　　田舎くさくて、どっか冴えない、

　　　でも、よく見ればかわいい、みたい

　　　な女の子なのよ。そうでしょ？

　　　そして、東京の彼女っていうのは、

　　　東京の彼女っていうのは、洗練され

　　　てて、都会的で、おしゃれで、スラッ

　　　としててさ。で、男の子は、都会に

　　　慣れてきてしまった自分が、どうも

　　　抑えきれなくて、幼なじみがどうして

　　　も田舎くさいのが、ちょっと恥ずかし

　　　いと思ってしまったりとかさ…。

　　　そうでしょ？普通そういう話でしょ？

　　　それなのにさ…何よ…。

　　　こんなスラッとしてるし、綺麗だし、

　　　かわいいし、おしゃれだし！

　　　おかしいでしょ、これって。

　　　勝負にならないじゃないの。

　　　そうでしょ？

みね子）　時子のせいじゃないんじゃ…。

さおり）　分かってるわよ、そんなのは。

みね子）　はい。

さおり）　どっちかっていうとね、普通、

　　　こっちじゃなくて、

　　　こっちの方よ、普通は。

　　　田舎の幼なじみは、こっち！

みね子）　はぁ？何よそれ！

　　　何で、流れ弾に当たったみだいに私

　　　が悪ぐ言われなきゃいげない訳！？

　　　冗談じゃない！

　　　人を田舎者代表みだいに！

　　　腹立づ！

三男）　みね子…。

みね子）　うるさい。

　　　黙ってなさい、あんたは。

さおり）　そんなに悪く言ってないわよ、

　　　私は。素朴でよく見ればかわいい

　　　って言ってるでしょ？

みね子）　何だ、よぐ見ればって…。

時子）　どごへ向かってんの？この話。

さおり）　つまり、東京生まれの東京育ち

　　　にもね、垢抜けない、冴えない女の

　　　子はいるってことよ！それを私は

　　　声を大にして伝えたい。分かった？

（時子を見上げ、にらみつけるさおり）

さおり）　何でこんな話になってんのよ…。

　　　あぁ、喉渇いた…。ジュース飲む？

みね子）　飲む。

時子）　飲む。

三男）　あ…。

さおり）　いい。私がやる。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

（ジュースを飲む４人）

みね子）　おいしい。

時子）　おいしい。

さおり）　おいしい。で？

時子）　「で？」って何よ？

さおり）　で？だから、何しに来たわけ？

時子）　あぁ、そっか…。

（三男にツイッギーそっくりコンテスト

のちらしを見せる時子）

時子）　私、これに出っから。

　　スターになっから。

三男）　えっ？

時子）　絶対優勝するつもりだから。

三男）　そうが、へえ…。

時子）　だからさ、三男。

　　今まで、ありがとう。

（頭を下げる時子）

三男）　えっ？

さおり）　あっ、私、ちょっと外す。

時子）　いなさいよ。

（さおりに頷くみね子）

時子）　今までありがとう。

　　本当にありがとう。

　　お互い頑張ろうね、これからも。

　　それを言いに来た。

三男）　おう。わがった。

時子）　うん…。じゃあ行くね。

みね子）　ごちそうさまでした。

時子）　ごちそうさま。

三男）　頑張れ、時子！

　　おめえ、絶対優勝しろよ。

時子）　するよ！

三男）　おう、しろや。

　　でないとおめえ…。

（回想）

三男）　俺は絶対おめえを

　　嫁さんにすっかんな！

　　絶対だ！絶対そうしてみせる！

時子）　何だそれ！

みね子）　三男！

三男）　やめとぐわ。

さおり）　私…。結構いい線いくと思う。

（時子を見るさおり）

さおり）　いくと思う…。

　　　優勝かどうかは知らないけど。

時子）　ありがとう。

みね子）　さおりさんも、素朴だげど、

　　　よ～ぐ見っとかわいいですよ。

さおり）　は？

みね子）　フフフ…。すみません。

　　　さっき言われだことがまだくすぶ

　　　ってたんで、復讐してみました。

さおり）　ハハハ…。

みね子）　ハハハ！

さおり）　そりゃどうも。

時子）　まぁでもあれだよね。

　　だからといって、三男がさおりさん

　　のものになるとは限らないよね。

　　それはまた、別の問題だよね。

三男）　あ…えっ？

さおり）　分かってる。そんなの…。

　　　分かってるけど、

　　　そういうの考えてたら、

　　　何もできないから…。

三男）　あっ、いや…。

さおり）　頑張るしかないから。

時子）　そっか。そうだよね…。

　　頑張るしかないよね。

さおり）　うん。

（回想）

３人）　♪ぼくら道はそれぞれ

　　別れても越えて歌おうこの歌を

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

＜あかね荘の廊下＞

早苗）　（鼻歌）

祐二）　楽しそうですちゃね。

啓輔）　おぉ、そうやねえ。

祐二）　ああ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

（部屋で、時子の衣装選びをする一同）

時子、気合い入ってます。

私も、頑張るしかないと思いました。

何を頑張っかは、わがんないけど。

時子）　どうですか？

みね子）　すてき！

時子）　ほんと？

みね子）　うん！

富）　かわいくもあり、美しくもある！

早苗）　でもさ、これも見てみたいな。

時子）　じゃ、着替えますね！

（窓のカーテンを閉めるみね子）

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

時子VSさおり…直接対決が面白かった～。

さおりが時子のファンを装っていたことが発

覚し、その意図を理解した時子と、まったく

話が見えていないみね子。時子に謝りつつ、

しっかり反撃するさおりの中の人が上手す

ぎてホント憎たらしいったらもう！でも、誰

よりも恋する女の子なのよね、さおりは…。

田舎の幼なじみらしからぬ時子へのコンプレ

ックスが大爆発。本来こうあるべき見本のよ

うなみね子に浴びせられた流れ弾が痛いｗ

素材としては素朴でかわいいんだけど、

芋っぽくて、田舎くさくて、

どっか冴えない、

でも、よく見ればかわいい

…みたいな女の子って、まさにみね子よね。

そして本来、三男のような男の子は、ヒロイ

ンのために存在するのが朝ドラ的なんだけ

どね。そこは軽く裏切って、ヒロインの親友

の相手にしてしまったのは正解だったのか、

間違いだったのか…。これはこれでいいと

は思うけど、ヒロインエピソードの萌えが減

ったのは確かというかマイナスだったかも。

つまり、東京生まれの東京育ちにもね、

垢抜けない、

冴えない女の子はいるってことよ！

それを私は声を大にして伝えたい。

さおりん…いや、米子ぉ～！東京生まれな

のに垢抜けなくて、冴えなくて、しかも名前

が「米子」だなんて！そりゃ、時子にとって

は理不尽でも、反則だって言いたくなるよ。

我に返って、みんなでおいしいジュースを

飲んで一息ついて、話はようやく本題に…。

今までありがとう。
本当にありがとう。
お互い頑張ろうね、これからも。
それを言いに来た。

おう。わがったと答える三男。うん、きっと

そう言うと思った。おうって、笑って言うと。

上を向いて、涙をこぼさないように、見せ

ないようにする三男に、キュンキュンした。

嫁さんにするぞという冗談も言えなくなっ

た三男が切なくて。みね子のささやかな

復讐に笑ったさおりの顔がかわいくて…。

頑張るしかないから。

うん、みんなそれぞれ…頑張るしかない。

頑張ったら…なるようになるから、きっと。

まさか、「高校三年生」の歌が、こんなに

心に染みてくるとは思わなかった。いい歌

だったんだな～と初めて思った私…（酷）

１．赤い夕陽が　校舎をそめて
　　ニレの木陰に　はずむ声
　　ああ　高校三年生　ぼくら
　　離れ離れに　なろうとも
　　クラス仲間は　いつまでも

２．泣いた日もある　怨んだことも
　　思い出すだろ　なつかしく
　　ああ　高校三年生　ぼくら
　　フォーク・ダンスの　手をとれば
　　甘く匂うよ　黒髪が

３．残り少ない　日数を胸に
　　夢がはばたく　遠い空
　　ああ　高校三年生　ぼくら
　　道はそれぞれ　別れても
　　越えて歌おう　この歌を