映画 「パーマネント野ばら」 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

映画 「パーマネント野ばら」

 

 

娘を連れて出戻ったなおこ(菅野美穂)と、

その母まさこ(夏木マリ)が営む町に一つ

の美容室「パーマネント野ばら」。町の女性

たちは日々店に集ってはおしゃべりに興じ、

恋にまつわるさまざまな悩みや人には言え

ない小さなうそを告白していた。一方、なお

こは高校時代の恩師カシマ(江口洋介)と

恋をしていたが、その恋にもある秘密が隠

されていた……。

 

**********

 

なおこ) うち…あんたのこと

  もうよう分からん。
  いつも黙って話、聞いてくれるやろ。
  そばにおってくれて、

  やさしゅうしてくれるやろ。
  けんど、もうようわからんき。
  うちのこと好きでおってくれる?
  うちと会うてないとき、うちのこと

  ちょっとでも考えてくれゆう?
  「会いたいねえ、

  どうしとるのやろいか」って。
  思ってくれゆう?
  うちはいっつもそうやき。
  いっつもそう。
  なんでうちこんなにさみしいが?
  なんでさみしゅうてさみしゅうて
  たまらんが? なんで?

 

**********

 

ニュー父) そんな男、

   選んだのが、自分やしよ。

なおこ) 正論やけど、

   なんでおんちゃんが言うの。

ニュー父) えい男つかまえて、幸せにやり

   ゆう女はようけおる。えい男がつかま

   らんがは、ひとえに、おまんらのせい

   や。はたから見ちょったら、金だらい

   に落ちた虫やき。ガシャガシャと、何

   やりゆうがじゃ。みっともない。

なおこ) うちも昔は、

   顔だけで男選んでた。

ニュー父) 顔のえい男は大抵アホや。

なおこ) わかってても

   引っかかってしまうの。

   引っかかってバカをみるのよ。

ニュー父) アホやなあ。

なおこ) 大丈夫。今は男前見ると、

   石ころに見える。フフッ…。

ニュー父) なおちゃん、幸せになり。

   赤の他人やけんど、おまんのこと

   娘のように思うちゅうき。

なおこ) お母ちゃんと離婚したら、もう

   お父ちゃんって呼んだらいかんの?

ニュー父) 1回もお父ちゃん言うて

   呼んだことないろうが。

なおこ) フフフッ…。お父ちゃん。

 

**********

 

ともちゃん) これで忘れられるがやね。

なおこ) 忘れんでもえいやん。

ともちゃん) 忘れてほんまに死ぬがよ。

    人は2度死ぬがやと。

なおこ) えっ?

ともちゃん) 1回目は、生きるのが

    やまってしまうとき。2回目は、

    人に忘れられてしまうときや。

    人の心の中におらんように

    なったら、いよいよ最後やと。

    今度こそ本当に死ぬ。

    二度と生き返らん。

(スロットのコインを埋めるともちゃん)

なおこ) 今まで、

   誰にも言わんかったけんど。

ともちゃん) 何?

なおこ) うち…カシマと付き合ってる。

   このこと、ともちゃんに話した?

ともちゃん) 何べんも聞いたよ。

    忘れんぼやな、なおちゃんは。

    えいき、何べんでも話して。

 

**********

 

なおこ) みっちゃん。

みっちゃん) ん?

なおこ) みっちゃん。私、くるってる?

みっちゃん) そんなんやったら、

    この町の女はみんなくるうちゅう。

    えいき、私らずっと世間様の注文

    してきた女やってきたんよ。

    これからは好きにさせてもらおう。

    フフッ…。

 

**********

 

カシマ) 何だよ。

なおこ) 何でもない。

   フフッ…ドキドキする。

 

**********

 

もも) お母さん。

 

**********

 

映画を観始めた時は、ヒロインが、菅野美

穂じゃ似合わないと思った。西原理恵子の
描く世界の人じゃない。西原ワールドに似

合うのは、小池栄子や池脇千鶴のような…

と思ったけれど、だからこそ、町に馴染めな

かったなおこなのだと、段々わかってきた。

いかにも西原ワールドの女に見えないとこ

ろがなおこをなおことして成立させるのだ。

西原理恵子の漫画を読んでいる人にはお

馴染み、男はどうしようもないクズばかり。

女はそんなクズとしか縁のない、男運のな

い女ばかり。それでもたくましく笑って生き

る、ハードな世界。なおこの友だち、みっち

ゃんもともちゃんも幸せそうには見えない。

町に漂う不幸なオーラは、半端なく濃厚だ。

 

そんな世界で、時折挿入されるなおことカ

シマのデートシーンは、不自然なほどにロ

マンティックで…。何だか美しすぎるのだ。

その理由は映画の最後の方で明かされる。

 

忘れてほんまに死ぬがよ。
人は2度死ぬがやと。

1回目は、

生きるのがやまってしまうとき。

2回目は、

人に忘れられてしまうときや。
人の心の中におらんようになったら、

いよいよ最後やと。
今度こそ本当に死ぬ。
二度と生き返らん。

 

ともちゃんの言葉が沁みる。誰かの心の

中にいるうちは生きていられるのかもね。

覚えていてくれる人の心の中では、生き

ていられるのかもしれない。確かに、とう

に亡くなってしまった人の存在は、今でも

忘れられないし、私の心の中で生きてる。

 

なんでうちこんなにさみしいが?
なんでさみしゅうてさみしゅうて
たまらんが? なんで?


さみしゅうて、さみしゅうてさみしゅうて。

さみしすぎて…気が…狂いそうになる。

もうすでに、狂っているのかもしれない。
忘れられない。いや…決して忘れない。
そうすれば、好きだった人は死なない。
いつまでも死なない。ずっとずっと生き

続ける。なおこの心の中で生き続ける。

さみしゅうて、切なくて、なんかもう、胸

が締め付けられる。いいも悪いもなくて。
ただただ切なくて、胸が…苦しくなった。

 

そんななおこを見守り、肯定するともち

ゃん、みっちゃん、町の人たちが優しい。

 

ラストシーンで、娘の呼ぶ声に振り向い

たなおこが、夢の世界からゆっくりと現

実の世界に戻って来る表情が秀逸だ。

なおこにはまだ、彼女を必要としてくれ

る確かな存在がある。本物のぬくもりが、

手を繋ぐことができる、温かい手がある。

最後にちょっとだけ、救われた気がする。

 

 

●映画の予告編はこちら↓

 

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