よしもとばななのロールケーキ | 日々のダダ漏れ

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グレーテルのかまど (11月21日放送)
よしもとばななのロールケーキ



小さな子から、お年寄りまで、みんな大好き、ロール
ケーキ。人生のターニングポイントで、このお菓子に
出会ったのが、作家・よしもとばなな。



(よしもとばなな)
一生忘れられないぐらい美味しかったです。


ロールケーキを食べながら書いた小説は、
ひときわ、思い出深い作品に。



ロールケーキと、よしもとさん親子3世代を繋ぐ、
特別なスイーツの物語に、迫ります。

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作家、よしもとばなな。1987年、23歳の時、「キッチン」
でデビュー。以来、ベストセラーを次々と発表。45もの
作品が、出版されています。



世界中に愛読者を持つ、日本を代表する作家です。



ラーメンにハンバーグ、かき氷。よしもとさんの作品で
は、おなじみの食べ物が、大切な役割を持っています。







ロールケーキがなくてはならない存在として、
描かれているのが、小説、「幽霊の家」です。

物語の舞台は、夫婦の幽霊が出るという、取り壊しの
決まった、古いアパート。ここに住んでいるのが、主人
公の恋のお相手、岩倉君。老舗ロールケーキ屋の跡
取り息子です。2人はここで、一緒にロールケーキを
食べながら、語り合い、距離を縮めていくのですが…。
物語の重要人物が、なぜ、ロールケーキ屋の息子だ
ったのでしょうか?

(よしもとばなな)
若い時に色々考えて、もんもんとしたりとか、色んな
時期がある時でも、ロールケーキが背景にある感じ
っていうか。そういうのをイメージしたかもしれないで
すね。


岩倉君は、ロールケーキ屋の跡を継ぐ事に疑問を抱
き、フランスへと旅立ちます。しかし、8年の修行の末、
実家に戻った岩倉君。父親の作るロールケーキが、
独自の技術と工夫の賜物であることに気づくのです。

おやじはまさに職人だから、
焼きあがったときに触ると
熱くはないけどジュッとする感じがするだとか、
混ぜるときの様子は毎日違うけど、
その判断は気候でも温度でもない、
もはや言葉にできないとかって言うんだよ。


Q,ロールケーキのイメージは?

(よしもとばなな)
地味で、とっても地味で、でもなんか飽きない感じ?
色々な人生の大きな思い出に結びついている感じ。


ロールケーキ作りの、地道で奥深い世界に気づいた
岩倉君。これを、一生の仕事にする決意を固めるの
です。

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小説「幽霊の家」を書いていた時、ばななさん自身も、
人生のターニングポイントを迎えていました。



38歳にして、妊娠。

(よしもとばなな)
どんな風になっちゃうんだろうと思って。自分を別の
生き物になるんじゃないかぐらいの、意気込みで、
臨んだんですけれど。どうなっていくのか全く予想が
できなかったです。


その頃、突然はまってしまったのが、
ロールケーキでした。

(よしもとばなな)
私結構、つわりがすごかったので、もう何も食べられ
ないっていう感じだったんですけど。ロールケーキっ
て割とフワッとしているから、そういう具合悪い時でも、
ちょっと食べられるなみたいな。全体的にかちっとし
たロールケーキを、それを何か、友達が買ってきてく
れて。それが、もう一生忘れられないぐらい美味しか
ったです。


何と、陣痛の始まる直前も、ロールケーキを食べて
いたというばななさん。無事、男の子が生まれます。



出産直前まで、書き続けた小説には、一つの、
覚悟が込められていました。

(よしもとばなな)
絶対なんとしてでも書き上げなくてはと思って。産む
前に書いとかなきゃって実行したんですけど。子供が
産まれたら、暗い話とか、重い話とか、人が死ぬ話と
か、きっと書けなくなっちゃうだろうと思ってたんです。


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よしもとばななさんの父は、戦後思想界の巨人、と
呼ばれた…文芸評論家・詩人の、吉本隆明さん。



隆明さんは、体の弱かった母に代わり、しばしば
料理をしていました。しかし、それは、一風変わっ
たものだったとか。

(よしもとばなな)
おでんに、フルーツヨーグルトが入っていた事があり
ました。奇妙な酸味とキウイの種みたいな。バターと
醤油とご飯ののり巻き。びっくりする感じでした、でも。
なぜ巻く?と思って。


食材にあまり手を加えず、ユニークな発想で
組み合わせた料理。当時は、いやいや食べ
ていたそうですが…。

(よしもとばなな)
今になったらちょっと食べたいですね。マネできない
ですね。懐かしい、あれ作ってみようと思って、もう
ほとんど同じに作ろうとするんだけど…とっても自分
だと加工してしまうんで。一段階、どうしてもやってし
まうので。


そんなお父さんの好物だったのが…
お好み焼きの生地で、あんこを巻いた、あんこ巻き。



東京下町育ちのお父さんには、
たまらないおやつだったそう。
ひょっとして、ばななさんのお父さんは、
巻物がお好きだったんですかねえ?

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「幽霊の家」の執筆中、ロールケーキを食べ
続けた、ばななさんのお腹の中で育った息子。





やっぱり、ロールケーキ好きに成長?
ばななさん、息子が描いた理想の
ロールケーキの絵を披露してくれました。



チョコレート生地に、
思いつく限りのフルーツを詰め込んだ、
カラフルなロールケーキ。
一体どんなお味なんでしょうか?

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ちょっと一息Tea Break!
ロールケーキの進化を見ていきましょう。

日本で、ロールケーキが一般に広まったのは、昭和
30年代。日本の街角で、洋菓子専門店がおなじみに
なったこの時期、ロールケーキも店頭の人気者に。

2000年代に入ると、いよいよロールケーキブームが
到来! 専門店も続々出現! 素材や具材のバリエ
ーションが一気に急増~! 



こんな人気キャラクターまでロールケーキに
なっちゃったんです!



更に更に、ロールケーキがタワーとなって登場!



色とりどりのミニロールを積み重ねて出来ているん
です。かわいい~! 一つ一つが小ぶりだから、手
でつまんで食べられる、パーティの、人気アイテム
なんですよ!

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よしもと家の、親子ロールケーキ。
こんがり滑らかに焼けたスポンジに、
大きな栗の存在感たっぷり。



お隣のミニロールは、
色とりどりのフルーツが、目に鮮やか。

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独創的なロールケーキを考えてくれた、
ばななさんの息子さん。

晩年体調を崩した、祖父・隆明さんに、特製の栄養
ドリンクを作ってあげたそうです。それは、プロポリ
ス、お酢、オリゴ糖、はちみつなど、体にいい素材を、
独自の配合でブレンドした、甘~い飲み物。これを
飲んだ隆明さんが、ばななさんにこんな事を言った
そうです。



(よしもとばなな)
あそこまで自由にはなかなか作れないから、ああいう
ところを大切にしてあげ手欲しいみたいなことを言っ
てましたね。あの、禁止しないでって。それをすごく大
切に思っています。今でも、ちょっとしたことでなんか、
型にはめたくなる時があるんですけど。いやでも、や
っぱりあれを信じてみようって思います。


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デビュー作「キッチン」からず~っと大好きな作家・よ
しもとばななさんと、これまた大好きなロールケーキ。

ばななさんの作風というか、彼女が描こうとしてきた
世界が好きなのだけれど、子供が生まれたら、それ
が書けなくなると思っていたことが、意外というか…。
(いや、考えてみれば意外なことでもないのですが)
妊娠して、自分がどうなっちゃうんだろうと思う気持
ちは、何となくわかるし、自分ももし妊娠したら、そん
な風に思っただろうなあって思う。だって、赤ちゃんっ
て、圧倒的に、「死」よりも「生」を感じさせるものだし、
この、あふれんばかりの未来への可能性のかたまり
を前にしたら、なるべく祝福の言葉を口にしたいと思
うだろうし、不吉な言葉は聞かせたくないだろうし…。
少なくても、自分で歩き出すまでは、善きものに囲ま
れた世界を守ってあげたいと思うだろうなあと。まあ、
自分で書いておいてなんですが、「善きもの」とは何
ぞや?と聞かれたら、明確には答えられませんが。

そして、ばななさんの父親、吉本隆明さんのエピソー
ドがなかなか興味深く。おでんにフルーツヨーグルト
を入れたとか。サワークリームみたいな感覚だった
のかな~?と想像してみたりw 当時は嫌々でも、な
んとなく懐かしいというか、食べたくなる気持ちもわ
かるような、わからないような…。でも、再現しようと
して、どうしてもひと手間加えてしまう気持ちは分か
る。それにきっと、メチャクチャな料理でも、そこには
父親の愛情と言うスパイスが入っていたはずだし…
そういうものはやっぱり、再現できないものなのかも。

子供の自由な発想をそのままに、禁止しないでと言
ったお父さんの言葉を信じて、子供を型にはめない
ようにしようと思っているというばななさんの言葉が
印象的でした。今週末のデザートタイムには、きっと
かなりの高確率でロールケーキが出てくる気が…w


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