~1964年・夏~
「第二夜」
村田) おめえ何してる?
島崎) こうしてると、空に身体を浮かせられる気がす
るんです。明日、僕は飛びますよ。あのカモメ
たちのように。
るんです。明日、僕は飛びますよ。あのカモメ
たちのように。
村田) 早く行くぞ! おら腹減った。
あんちゃん…死ぬなよ。
**********
ラジオ) なんと美しく澄み渡った青空でしょう。
オリンピック開催を祝福するかのように、
世界中の秋晴れを集めたかのような、
今日の東京の青空です。
村田) 東京ってのは、
お天道様まで味方につけるのかね。
島崎) いえ、この青空は、オリンピック工事で死んで
いった人々のために、晴れているんです。
僕らはそう信じましょう。
村田) そういえば、金頂戴してから、
どうするか、おらたち、考えてねえな。
島崎) 僕は剃髪して、僧侶に扮して秋田まで行脚し
ます。貧しい農家を回って、お金を配って歩き
ます。
村田) ええなあ! でも、おらはやらねえど。半分も
らって、博打やりながら、南さ行ぐ。もう寒いの
はまっぴらだあ。
**********
島崎) あなたは、本当にこれでいいと思ってるんです
か? 今の日本は…日本人は本当に幸福だと。
落合) 島崎。もうやめよう。
島崎) ダメですね、僕は。あの世で、兄貴に合わせる
顔がない。落合さん、最後に願いを一つだけ聞
いてもらえませんか? 須賀の親父や、お偉い
さんたちがふんぞりかえっているあの貴賓席に、
ドカンと、花火を打ち上げさせてください。
落合) ダメだ。島崎。おい! やめろ。島崎。
お前それをつけたら本当に終わりだ。
**********
島崎) 僕が死んだら…
落合) 何も言うな、島崎。何も言わなくていい。
救急隊員) あとはこちらでやりますから。
落合) 死なせるな。絶対に死なせるな。
落合) 絶対に死なせるなーーっ!
**********
昭和39年10月10日に始まった東京オリンピックは、
2週間にわたって開催され、
日本中の人々を熱狂させた。
それは、スポーツの祭典であると同時に、
敗戦後の日本が立ち直り、
先進国の仲間入りをするという、
国家的イベントであった。
しかし私は、日本の豊かさの陰に置き去りにされた、
人々の苦しさや悲しみを、一つの叫びに変えて訴えた、
島崎国男のことを・・・忘れることが出来ないだろう。
**********
面白かったです。島崎が最後まで淡々としているせい
か、大きな緊迫感はない故に、かえって彼は一体どう
するんだろう、どうなるんだろうと、気になって。最後も、
どうにでもとれる終わり方だったし。個人的には、島崎
に生きていてほしいけれども、小説はどうなのかが気
になります。黒木メイサが演じた恋人役は、小説には
登場しない人物ということなので、ドラマは小説とは別
ものと考えたほうがよさそうです。う~ん。ますます小
説が気になる~。前半は、時代背景、島崎の心情を
描き、後半は、落合VS島崎の攻防戦といった感じで。
竹野内豊、松山ケンイチと、2人のいい男の演技をた
っぷりと堪能できたドラマだと思います。オリンピック
を控えて、これから建設されるだろう建物の工事が安
全であってほしい、誰かが不当に無理をさせられたり
しないようにと、オリンピックの裏側の部分も考えたり。
そして、何より、このたくさんの人命が奪われたかもし
れない事件が、一切国民に知らされることなく国家に
よって隠されたという、これからもありそうな物語であ
るということ。それこそが、何よりも気に留めておかな
ければいけないのかもしれないと。特定秘密保護法
を強引に成立させてしまった政府が、今後何を隠そう
とするのか、オリンピックの身代金以上に、大きな身
代金を突きつけられていることを、私たち国民は隠さ
れ続けてしまうかもしれないということを、心の片隅に
深く刻んでおかなければと…タイムリーに思います。
●オリンピックの身代金「第一夜」**********
ラジオ) なんと美しく澄み渡った青空でしょう。
オリンピック開催を祝福するかのように、
世界中の秋晴れを集めたかのような、
今日の東京の青空です。
村田) 東京ってのは、
お天道様まで味方につけるのかね。
島崎) いえ、この青空は、オリンピック工事で死んで
いった人々のために、晴れているんです。
僕らはそう信じましょう。
村田) そういえば、金頂戴してから、
どうするか、おらたち、考えてねえな。
島崎) 僕は剃髪して、僧侶に扮して秋田まで行脚し
ます。貧しい農家を回って、お金を配って歩き
ます。
村田) ええなあ! でも、おらはやらねえど。半分も
らって、博打やりながら、南さ行ぐ。もう寒いの
はまっぴらだあ。
**********
島崎) あなたは、本当にこれでいいと思ってるんです
か? 今の日本は…日本人は本当に幸福だと。
落合) 島崎。もうやめよう。
島崎) ダメですね、僕は。あの世で、兄貴に合わせる
顔がない。落合さん、最後に願いを一つだけ聞
いてもらえませんか? 須賀の親父や、お偉い
さんたちがふんぞりかえっているあの貴賓席に、
ドカンと、花火を打ち上げさせてください。
落合) ダメだ。島崎。おい! やめろ。島崎。
お前それをつけたら本当に終わりだ。
**********
島崎) 僕が死んだら…
落合) 何も言うな、島崎。何も言わなくていい。
救急隊員) あとはこちらでやりますから。
落合) 死なせるな。絶対に死なせるな。
落合) 絶対に死なせるなーーっ!
**********
昭和39年10月10日に始まった東京オリンピックは、
2週間にわたって開催され、
日本中の人々を熱狂させた。
それは、スポーツの祭典であると同時に、
敗戦後の日本が立ち直り、
先進国の仲間入りをするという、
国家的イベントであった。
しかし私は、日本の豊かさの陰に置き去りにされた、
人々の苦しさや悲しみを、一つの叫びに変えて訴えた、
島崎国男のことを・・・忘れることが出来ないだろう。
**********
面白かったです。島崎が最後まで淡々としているせい
か、大きな緊迫感はない故に、かえって彼は一体どう
するんだろう、どうなるんだろうと、気になって。最後も、
どうにでもとれる終わり方だったし。個人的には、島崎
に生きていてほしいけれども、小説はどうなのかが気
になります。黒木メイサが演じた恋人役は、小説には
登場しない人物ということなので、ドラマは小説とは別
ものと考えたほうがよさそうです。う~ん。ますます小
説が気になる~。前半は、時代背景、島崎の心情を
描き、後半は、落合VS島崎の攻防戦といった感じで。
竹野内豊、松山ケンイチと、2人のいい男の演技をた
っぷりと堪能できたドラマだと思います。オリンピック
を控えて、これから建設されるだろう建物の工事が安
全であってほしい、誰かが不当に無理をさせられたり
しないようにと、オリンピックの裏側の部分も考えたり。
そして、何より、このたくさんの人命が奪われたかもし
れない事件が、一切国民に知らされることなく国家に
よって隠されたという、これからもありそうな物語であ
るということ。それこそが、何よりも気に留めておかな
ければいけないのかもしれないと。特定秘密保護法
を強引に成立させてしまった政府が、今後何を隠そう
とするのか、オリンピックの身代金以上に、大きな身
代金を突きつけられていることを、私たち国民は隠さ
れ続けてしまうかもしれないということを、心の片隅に
深く刻んでおかなければと…タイムリーに思います。
●オリンピックの身代金「第二夜」
●「オリンピックの身代金」HP
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