日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「日々のダダ漏れ」は、感動したもの、面白いもの、美味しいも
の、私が好きなもの等を、勝手気ままに綴るお気楽ブログです♪

ドラマの記事につきましては、期待しているドラマの初回の紹介、
ドラマの中で私が好きなセリフ、シーンを記憶に残すために書い
ています。基本的に、面白いと思ったものを、お勧めのドラマに
ついて、自由気ままに書いていますので、面白いと思った回だけ
を単発で書いたりすることもあります。記事のスタイルは、まだ
まだ模索中なので大きく変更する事も。ご了承下さい(*^。^*)

「ひまわり」 (再放送)

第3章 人は見かけによらぬもの?

(第25~30回)

 

 

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「日々のダダ漏れ」

 

 

第25回

 

のぞみ) 弟は何て言ってるんですか?

真鍋) 何も言いません。

あづさ) 何も?

真鍋) ええ…。ここへ来てからひと言も

 口をききません。どういうつもりなのか

 …何を聞いても黙ったっきりで…。

のぞみ) じゃ…じゃあ、盗んだと、

 認めたわけじゃないんですね?

真鍋) 今のところはね…。

のぞみ) そんな…

 そんな決めつけるような…。

真鍋) 決めつけちゃいませんよ。けどね…

 やってないんなら「やってない」って言うん

 じゃないでしょうかね。うちではどうなんで

 すか? ほとんど、家族とは顔も合わせな

 いって感じですか?

あづさ) いいえ…そりゃ、何でも話すって

 わけじゃありませんけど、一日に一度は、

 一緒に食事をとっています。

真鍋) いろいろ…

 問題あるみたいじゃないですか。

あづさ) はっ?

真鍋) いや、息子さんと言っても…。

あづさ) はあ…「養子だから」って

 おっしゃりたいんですか?

真鍋) いやまあ…それに…

 お父さんもねえ…。

あづさ) 養子であることについても、父親

 が失踪中であることについても、私たち

 の間に、わだかまりはありません。

真鍋) じゃあお母さん…信じられますか?

 心から息子さんのこと信じられますか?

 それほど息子さんのこと知ってますか?

 

あづさ) 言えなかったわ…。心から達也

 を信じるって、言えなかったわ。

のぞみ) お母さん…。

あづさ) あ~…知らなかったんだもの。

 お母さん…知ってるつもりで、何も達也

 のこと、知らなかったんだもの。

のぞみ) 「何も」ってことないじゃない。

あづさ) 「何も」よ。

のぞみ) そんな…。

 知ってるじゃない。ほら、ウジウジ迷って

 ばっかりで、すぐいじけて、おまけにいい

 かげんなやつだって、知ってるじゃない。

あづさ) 知らないのよ…。

 あの子…何迷ってるの?

 何いじけてるの?

 お母さん、分かんないのよ。

 何も知らないの。

のぞみ) 誰も知らないわよ。

 家族だからって、心の中、全部話すわけ

 じゃないもの。お母さん、探してみようよ。

 知らなかったんなら、探してみよう。落ち

 込んでないで、達也がどんなやつだった

 のか、探してみようよ。

あづさ) のぞみ…。

 

**********

 

第26回

 

のぞみ) お母さんはどうなの?

 お母さんはどう思ってるの?

あづさ) お母さん…正直言うと分かんない。

のぞみ) えっ?

あづさ) もちろん、達也って人間は信じてるわ。

のぞみ) だったら…。

あづさ) でも、達也の方は、

 もうお母さんのこと、信じてないと思う。

のぞみ) お父さんのこと、隠してたの言ってるの?

 やめてよ。達也そんなやつじゃない。うちで何か

 あったからって、外でヤケ起こすような、そんな

 弱いやつじゃない! どうしたのよお母さん。そう

 いうこと、今まで言ったことなかったじゃない。

 何があっても、いつも強くて、たくましくて、笑い

 飛ばしてきたじゃない。

あづさ) よして! そんなにいつも強さ求められ

 たら、やってられないわよ。泣き言の一つぐらい

 言わしてよ。お母さんね、本当はものすごく弱

 いの! だからいつも平気な顔してるんじゃない。

 泣きだしたら止まんなくなるから、いつも、笑っ

 てきたんじゃない。24年も一緒に住んで、そん

 なことも分かんないの?

薫乃) 言いなさい。泣き言言って。

あづさ) お義母さん…。

薫乃) 聞きたいわよ。あづささんの泣き言。

優) そうだよ。言えよ、義姉さん。

あづさ) そんなふうに言われたら…言えないわ。

のぞみ) 言ってよ。

うらら) 言ったらいいべ。

桃子) 言っちゃって言っちゃって。

あづさ) 今度、言うわ。達也のことが

 はっきりしたら、言わせてもらいます。

のぞみ) お母さん…。

あづさ) のぞみに言われてハッとした。

のぞみ) えっ?

あづさ) そうね。達也、ヤケを起こしたり、当て

 つけしたりするような、弱いやつじゃないわ。

のぞみ) うん。

あづさ) もうとにかく信じる! せめて、達也の

 口から「やった」って聞くまでは、信じる。

 ごめんなさい。

 


**********


第27回

 

あづさ) 「園芸」って?

優) ああ…サボテンを、栽培してる

 農家らしいんだ。

あづさ) 農家? あの人が農業やってるの?

優) ああ。

あづさ) はあ…何よそれ…。

優) えっ?

あづさ) あの人…私と福島の父に挨拶に

 行った時、「臭い臭い」って、干し草一つ、

 触れなかったのよ。それが農業? 

 ハハッ。サボテン作り…。

優) その前までは、横浜で水商売やってた

 らしいんだけど、ふと、全然違うことがやり

 たくなったらしいんだ。

あづさ) 「ふと」ってのが好きな人ね…。

 

のぞみ) 私はね、そう簡単に

 男の人信用しないの!

純一郎) へえ~。

 結構疑り深い性格なんですね。

のぞみ) そうよ。ウジウジしてるの!

純一郎) そりゃ知らなかった。少々抜けて

 たって、スコ~ンと楽天的なのが唯一い

 いとこだと思ってましたよ。

のぞみ) 楽天的になんかなれるわけない

 でしょ。何よ! 人が苦しんでる時に…。

純一郎) 苦しんでんなら、何ですぐ言わ

 ないんだよ! こっちはお前のこと…

 いつでも守ってやろうと思ってんだぞ!

 「守ってもらって当然」って顔をされると

 腹立つけど…。やっぱり男って守りたい

 の。守りたいものなの。守れるほど強か

 ありませんけどね。

のぞみ) そんなことない。純ちゃん強いよ。

純一郎) 何だよ? 急に…。

 

のぞみ) でも…助けてやりたい。やって

 ても、やってなくても、助けてやりたい!
 

**********

 

第28回

 

のぞみ) う~ん…半分半分かな。盗った

 か盗らないかは別にして、達也の中にも、

 いろんな達也がいたんだなっていうのが

 正直な気持ち。

あづさ) ええ…。

のぞみ) お父さん…。

 お父さんもそうだったのよね。私から見ると、

 ただ家族を捨ててっただけの、卑怯な人だ

 けど、お母さんの中には、卑怯なだけじゃ

 ない、お父さんがいたんでしょ? ねえお父

 さんのどこが好きだった? ごめん。

 急に変なこと聞いちゃって…。

あづさ) あっいいの。

 びっくりしただけ。アハハ。

のぞみ) 私も困るだろうな。

あづさ) え~?

のぞみ) 純ちゃんのどこが好きって

 聞かれたら。

あづさ) そう?

のぞみ) うん…理由なんてないもんね。

 理由があって、人を好きになるわけじゃ

 ないもんね。ただ、何か一緒にいたいな

 あって、思うだけだもんね。

あづさ) ダサ~いって言われそうなこと、

 言ってもいい?

のぞみ) いいよ。言って言って。

あづさ) お母さんね、

 優しいから好きだったの。

のぞみ) 「優しい」って、お父さん?

あづさ) そう。すごく優しかった。

 大学も卒業できなくて、就職も決まらな

 くて、あげくの果てには、こんなことに

 なっちゃったけど…優しかった。

のぞみ) ふ~ん。

あづさ) ちょっとヤケッパチの

 とこあったのお母さん。

のぞみ) えっ?

あづさ) おじいちゃんに勘当されてあなた

 を産んだでしょ。ガチガチに肩に力入って、

 時々爆発起こしてた。

のぞみ) フフッ、何か分かるような気がする。

あづさ) そういう時、「そうかそうか」って

 お父さん、優しかったのよ。

 

のぞみ) でも、お父さんバカよね…。

 最後に全部帳消しにしちゃうことをやっ

 ちゃったんだもの。けど、変だなあ…。

あづさ) 何が?

のぞみ) 今まで、お父さんのことなんて考え

 たこともなかったの。いなくて寂しいって思

 うこともなかったし、コンプレックスに感じた

 こともなかったのね。

あづさ) そう…。

のぞみ) だから当然、「会いたい」とか、「帰っ

 てきてほしい」とか、思ったこともなかったし、

 別に、恨む気持ちもなかったの。つまり、覚え

 てないからどうでもいいわって感じだったの。

あづさ) ええ…。

のぞみ) それが…このごろ、お父さんってど

 んな人だったか、ちょっと知りたいって思うよ

 うになったの。何で出てったのか、何で帰っ

 てこないのか、考えたら、腹も立つようにな

 ってきたの。おかしいけど…こんな気持ちに

 なったの、この年になって初めて。達也の

 こととか、結婚の話とか、いろいろあったか

 らかな?

 

**********

 

第29回

 

あづさ) よかったわ、元気そうで。たった

 3日だけど、3か月ぐらい、会ってない

 ような気がしたわ。会って、あなたから

 直接聞かなきゃ…。どうしてこういうこ

 とになったのか、分からないもの。

 そうでしょう? 何で黙ってるの? 何か

 理由があるの? 達也…。何から逃げ

 てるの? 何…?言いたいことがあっ

 たら、何でも言いなさい。

 じゃあ…お母さんが聞くわ。

 あなた、本当にお金を盗ったの?

 答えてちょうだい。

 それだけ答えてちょうだい。

達也) (笑)

のぞみ) 達也!

達也) 今更聞くなよ。

あづさ) えっ?

達也) あんた判断したんだろ?

 俺がやったと考えたんだろ?

のぞみ) 何言ってるの?

達也) 帰れよ。やったと思ってるくせに、

 白々しいこと聞くなよ。

あづさ) 達也どうして? 

 お母さん…あなたがやったなんて、

 ひと言も言ってないじゃないの!

達也) 今更遅いんだよ。帰れ。

 

のぞみ) つまりね…薫乃ちゃんとうららち

 ゃんがお金を返したってことは、「達也の

 やったことは認めます。お金は弁償しま

 すので、これで勘弁してください」と言っ

 たのとおんなじなの。

 

**********


第30回
 

あづさ) 私、知らせないわ。

うらら) なして?

あづさ) 私、連れ戻したくないんです。

 確かに、「達也が警察に逮捕された」

 なんて言ったら、あの人ちかたなく、帰

 ってくるかもしれません。でも「しかたな

 く」だったら、私帰ってきてほしくない。

のぞみ) どういう意味)

あづさ) お母さん、戻ってきてほしいん

 じゃなくて、最初からお父さんとやり直

 したいの。何かあって無理やり連れ戻

 したんじゃ、過去に戻るだけ。

うらら) んだら・・お前、知らせねえって

 いうのかい? そだあづざ…徹さん

 だって、達也の父親なんだぞい。

 いくら出てったからって、

 父親は父親なんだぞい。

あづさ) 私…父親として帰ってきてほし

 くないんです。私あの人に、男として、

 私のもとに、帰ってきてほしいんです。

 自分から帰ってきてほしいんです。

のぞみ) でも、そんなきれい事言ってた

 ら、お父さん帰ってこないんじゃないの?

あづさ) もちろん、このままにする

 つもりないわ。

のぞみ) じゃあどうするの?

あづさ) 達也のことが解決したら、

 ゆっくり考えるつもり。本当にお父さ

 んとやり直せるのか、そのためには、

 どうしたらいいのか…。お願い。

 もう少し、時間ちょうだい。

 「居所が分かった。さあ迎えに行くぞ」

 ってふうに簡単になれないわ。

うらら) 何ゴチャゴチャ言ってんだい。

あづさ) 20年も待ったのよ。一つぐらい、

 私もわがまま言っていいでしょ。

うらら) いいかい? あづさ。徹さんは、

 あんたの亭主だけんども、薫乃さん

 の、息子でもあんだぞい。

薫乃) 私ならいいわ。

うらら) 薫乃さん…。

薫乃) あづささんの好きなようにして。

 それがいいのよ。それが私の、したい

 ことなの。

あづさ) すみません! 無理言って。

のぞみ) (涙)

 

 

**********

 

↓こちらは2022年時の感想となります。

 

失踪した夫を20年間待ち続け、夫の不倫相手と

の子供を育ててきたあづさ。なかなかハードな

設定なのだけれど…。その上お金を盗んだ容疑

で警察に拘留される達也。しかも謎の黙秘状態。

登場人物それぞれの気持ちが、会話によってよ

く分かるので、そんなにとんでもな話には感じ

ないのよね。いろんな立場で、いろんな気持ち

があって、全体的にバランスが取れているから。

 

父親のことをあまり覚えてなくて、それゆえに

無関心だったのぞみが、父親という存在に関心

を持つようになっていくのが興味深い。興味や

関心は、自分の経験や成長の度合いによるんだ

よね~ホント。ないと思っていたものが、実は

すぐそばにあったり。関心を持った途端に見え

てくるものってあるから。「ひまわり」を見てい

ると、会話の多いドラマが好きなんだなと思う。

しゃべらないとその人らしさは分からないしね。

会話することで理解が深まったり、新しい発想

も生まれてくるものだし。会話する家族、良き♪

 

 

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「風、薫る」第55

第11週「(凪)にそよぐ

 

 

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槇村の声) あれどうやってん 

 だろうな~。サイコロでも

 転がしてんのか?

安の声) え? サイコロですか?

(表に一人坐っている島田)

(出てくるりん)

りん) あ…。

島田) ああすいません。

 ちょっと、外の風に。

りん) すみません、うち狭くて…。

島田) ああいや。槇村を勝手に、

 連れてきてしまった。

りん) フフッ、いろんなtalkが

 聞けて、楽しかったです。

島田) Really?

りん) フフッ。Yes. 

島田) ハハ…。

りん) 看護実習に行くようにな

 って、ホントにいろんな患者さ

 んがいて、皆さんのお話を聞く

 のが楽しくて。

島田) どんどん先に

 のびていくなぁ…。

りん) ん? ああ、もうキン

 センカの季節ですね。

島田) すごいなあ、りんさんは。

 手を動かして、走って、汗かいて

 …。確実に目の前の人を救ってる。

りん) ん…。目の前の人も、まだ

 まだ…。あ…私には、社会とか、

 そういう大きなことは…。ただ、

 目の前に苦しんでる人がいたら、

 助けたくなって、それだけで動い

 て…。でも…シマケンさんは、も

 っと、大きな意味で、セツさんを

 助けようとしていたんですね。

島田) あ、いえ、そんなことは…。

りん) フフフッ…。

島田) ただ、助けたい。りんさん

 には、看護婦がぴったりだ。

りん) あ…できないことばっかり

 で。でも、看護は好きです。

島田) フフ…。

りん) あの時シマケンさんに背中

 を押してもらえてよかった。

島田) 僕にはもう、その背中がと

 ても頼もしくて、輝いて見えます。

りん) ウフフフフッ、何を言って

 るんですか。今回も、シマケンさ

 んに助けて頂いて…。本当に、

 ありがとうございました。

(島田も頭を下げる)

りん) 小説、読ませてもらうの

 楽しみにしてます。

島田) はい。

りん) フフフ…。

(戸が開く音)

安) お姉様。

りん) ん?

安) お母様が置いてあるテーブル

 使うって言ってっけど、いいの?

りん) えっ、駄目よ。

 瑞穂屋さんのだもの。

美津の声) だってこんなに人がい

 たら、何か台がないとお料理が…。

りん) あ、ちょっと待って~。

(戸が閉まる音)

(表で一人になる島田)

(槇村が出てくる)

槇村) おっ、少しはマシな顔にな

 ったな。それでも俺は、女郎の苦

 しみは、偽りなく書いてあったと

 思うよ。助けられてよかったじゃ

 ないか。

島田) 助けたかったんじゃない。

 助けられる自分でいたかった

 だけ。まだまだ小さな人間だ。

(家に入る島田)

槇村) 俺は、大きく勝負に出るぞ。

 

**********

 

安) 余計狭くなってない?

りん) うん。

安) どうする?

 立って食べるしか…。

美津) 立って…?

直美) あれ? あの…

 もう一人の方は?

島田) 槇村? あれ? さっき外に…。

りん) あっ。

(槇村が入って来る)

槇村) 安さん。

安) はい。

槇村) 私は…。

島田) 槇村。槇村…。

槇村) 私は安さんをお慕いして

 おります!初めて会った時から、

 安さんの笑顔が、私のheartを、

 つかんで離さないのです!

安) あの…槇村さん。槇村太一さん。

槇村) はい、太一です。弟の方です。

 もし、今少しでも心揺れたなら、

 どうか、私と生きる道を考えてく

 れませんか? 兄のことを思えば、

 心痛むのは分かります。でも…。

安) 私は…。

槇村) 今、答えを出さないでくだ

 さい!お願いします。今から毎日、

 少しずつ、僕のことを考える時間

 を増やしてくれませんか? きっと、

 振り向かせてみせます!

 失礼しました!

(出ていく槇村)

槇村の声) あ、いてっ!

直美) あっ、転んだ。

りん) ちょっと安。

(歩き去る足音) 

美津) どうするの? 安…。

安) どうって…。

マツ) ごめんくださ~い。

 ハハッ。今、そこで男の人が

 転んでたけど?

島田) あ、大丈夫です。

マツ) そう? さっき環ちゃんに

 宴会あるからどうぞってお呼ばれ

 して。おいで。取り込み中…?

美津) いえいえ、どうぞ。

マツ) あ…。

環) 宗ちゃん、こっちこっち。

宗太) うん!

りん) 宗太君、こんにちは。

宗太) こんにちは。

りん) あっ、こちら直美さん。私

 の病院の仲間で、寮で一緒に暮ら

 してる、家族みたいな人で…。

マツ) 直美さん。あら~えらいべ

 っぴんだこと。フフフッ。私すぐ

 そこの家のマツです。これが息子

 の宗太。

直美) こんにちは。

宗太) こんにちは。

 

**********

 

(ノック)

多田の声) どうぞ。

バーンズ) 失礼します。

 

**********

 

(院長室に入るハバーンズ)

バーンズ) 梶原校長から書類を預か

 ってきました。お読みください。

多田) 何でしょう?

バーンズ) さあ…中身までは。

(机の上の申請書に目をとめる)

多田) 養成所からの、来年の、受

 け入れ人数についてのようです。

渡辺) 漢字は、異国の人には

 難しいですよね。

バーンズ) はい、まだ、あまり読め

 ません。ただ…。おかげさまで、

 私、「帝都医科大学、付属病院看

 護科設立計画書」。その書類くら

 いは、読めるようになりました。

 どういうことですか?

多田) 当院に、看護科を新設する

 ことになりました。よって今後、

 梅岡看護婦養成所の実習生は、

 受け入れることができません。

バーンズ) 見習生が、優秀ならば、

 今後も継続して、受け入れるとい

 う話だったではありませんか?

多田) 見習生の皆さんが、あまり

 に優秀だからです。ならば、他行

 から見習生を受け入れるのではな

 く、当院にも看護科を作り、梅岡

 看護婦養成所の見習生のような、

 いい看護婦を養成するべきだとい

 う意見が、多々ありまして。

バーンズ) 話は分かりました。日を、

 改めて、梶原校長と話を…。

多田) これは、決定事項です。

 覆ることはありません。校長には

 私から今手紙で…。でなくても、

 バーンズ先生なら、日本語の伝言

 で、伝わりそうですね。

バーンズ) はい。

多田) いつから、そんなに日本語

 が? 教師が優秀だから、生徒も

 優秀なんですね。

バーンズ) お褒めにあずかり、

 恐悦至極にございます。

 

**********

 

<寮の食堂>

松井) お掛けください。

りん) ありがとうございます。

(席につく、りんたち6人)

松井) 校長先生から、

 お話があります。

梶原) 梅岡看護婦養成所は、

 今実習してる皆さんをもって、

 閉所することになりました。

直美) え?

多江) どうしてですか? 私たち

 何か問題がありましたか?

梶原) そうではありません。帝都

 医大病院に、今度新しく看護科が

 出来るため、実習ができなくなる

 のが理由です。先の見通しが立た

 ぬまま、これから先の生徒を預か

 るのは、無責任だと判断しました。

 私の力不足です。申し訳ありませ

 ん。あっ、皆さんは最後まで帝都

 医大病院で実習できるので、安心

 して実習を続けてください。心配

 ご無用。以前、私は看護のことは

 よく分からないと話しました。そ

 れは、帝都医大のお医者様といえ

 ど同じだったのではないでしょう

 か。それが、あなたたちの頑張り

 で思い知った。「これが看護婦と

 いうものか。だったらうちの大学

 でも育てよう」。「そうだそうだ」

 と。こんなに誇らしいことはあり

 ません。皆さん。梅岡看護婦養成

 所の第1期生として、バーンズ先

 生に従い、胸を張って、実習を全

 うしてください。

一同) はい…。はい。

 

**********

 

(居室に戻った6人)

多江)私たちに続く後輩たちのた

 めにも頑張ってきたのに、それ

 がいけなかったってこと?

(包みを取り出す喜代) 

トメ) 干し芋!

喜代) こんな時こそ、

 食べましょう。

しのぶ) じゃあ、私も。

トメ) おらも。

 

**********

 

(それぞれがお菓子を持ち寄る)

りん) わあ~。

 

**********

 

<食堂>

松井) それじゃあ、そのあとは?

梶原) 卒業後、あの子たちを

 帝都医大病院で勤務させる話

 はなかったことに。

松井) そんな…。

(一点を見つめているバーンズ)

 

*********

 

直美) 頂きます。

(お菓子を食べる6人)

 

続きはまた。

風の吹く朝に。

 

**********

 

槇村~! やっぱり安に惚れてたかw

そしてその自信はどこから来るんだ。

小説家らしく、妄想力が強すぎるの

か? でも、失恋したらしたで、小説

のネタにはなりそうでよかったね!

 

りんたち看護婦見習生が優秀すぎて、

それなら自分のところで養成すれば

いいんじゃね?と気づく帝都医科大。

まあそうなるよね。気持ちは分かる。

分かるけど…優秀なんだから雇って

くれてもいいんじゃない? ねえ~?

 

 

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「風、薫る」第54

第11週「(凪)にそよぐ

 

 

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(風の音)

(病室に権田)

セツ) いいんだ大家さん。

 私は戻るよ。

直美) え…?

権田) 頼む、戻ってこないでく

 れ。戻ってきたら、困るんだ。

 このまま消えてくれ。お前が…

 お前が店を辞めても構わないっ

 て言ってんだよ!

(風の音)

 

**********

 

権田) 2度目の新聞記事が出てか

 ら、「好きな男と添えなかった、

 夕顔がかわいそうだ。一緒に死ね

 ないんだったら、せめて、辞めさ

 せてやれ」って…いちゃもん言う

 やつが、山のように押しかけてき

 てな!どいつもこいつもな、あん

 なでたらめな話信じやがって…。

 おかげで、客足は、パッタリ途絶

 えちまった。お前を、こき使って

 る、あこぎな店に通うのは、粋じ

 ゃねえんだと。女郎通いしてるや

 つが何言ってんだ! しまいにゃ、

 知らねえやつが…闇討ちに遭って、

 あってこのざまだよ!新聞に、あ

 の記事載せるの、やめさせてくれ。

 それがお前を辞めさせる、条件だ。

 あの記事が止まんなきゃな、うち

 の店も評判落ちたままなんだよ。

 まあ、もう元は取れたから、あと

 は自由にしてやる。

りん) 分かりました。必ず、新聞

 の記事は止めてもらいます。

権田) 頼んだぞ。そのあとはもう、

 勝手にしろ。フンッ。

セツ) ちょっとお待ちくださいな、

 おやじ様。

権田) あ?

セツ) あたしはまだ、

 返事してないよ。

権田) ええ?

セツ) あたしからも、

 辞めてやる条件が一つある。

権田) ん…何だよ?

セツ) 昔、あたしとおんなじ「夕凪」

 って名の女郎がいたらしいね。もう

 20年前の話だけど、その夕凪ねえさ

 んのことを教えてくれたら、喜んで

 辞めてやるけどどうだい?

直美) セツさん…。

権田) 前の、夕凪な…。ろくでもな

 いやつだったな。男つくって、逃げ

 やがった。その後のことはこたぁ俺

 は何も知らねえ。どっかで、野たれ

 死んでんじゃねえのか?

セツ) もうちょっとちゃんと

 思い出しとくれよ!

権田) お前…辞めたくねえのか?

直美) セツさん。もういいです。

(出ていく権田)

(へたりこむセツ)

りん) あ…。

直美) 大丈夫ですか?

セツ) 大丈夫…力が抜けただけ…。

りん) よかったです。

 本当によかった。

直美) セツさん。

 好きに生きていいんです。

セツ) 好きにって…。

直美) フフッ、喜べばいいんです。

(セツを抱きしめる)

直美) これで、「夕凪」は終わり

 です。ヘヘヘッ…。

(涙の笑顔で、

直美を抱きしめ返すセツ)

セツ) ん…。

直美) フフフフ…。

 ヘヘヘヘヘ…。

(2人を見つめるりん)

 

**********

 

(風の音)

(夜の院長室に多田)

(一点を見つめ、動かない)

(風の音)

 

**********

 

(数日後)

(風に音)

(風呂敷包み一つ持って、

玄関に立つセツ)

セツ) お世話になりました。

直美) 退院おめでとうございます。

りん) おめでとうございます。

セツ) ハハッ、何だかうそみたいだ。

直美) お気をつけて。

セツ) あっ、そうだ。思い出したん

 だ。あたしが夕凪って名を付けられ

 たのは、昔うちの店にいた夕凪って

 女郎と、同郷だったからだって。富

 士の見える、伊豆の漁師町の、生ま

 れだから、同じ名を付けられた。あ

 たしが知ってんのはそんだけ。あ…

 フフッ、あとこれも。

(ヨシにもらった八朔)

セツ) 1人じゃ食いきれないからさ。

 直美さん、りんさん。本当に

 ありがとうございました。

(頭を下げる)

セツ) フフッ、急に好きにしろって

 言われても、どうしたもんか。

りん) あ…もし行く

 当てがなければ…。

直美) どこか…。

セツ) ううん。これ以上世話には。

 まずは…フラフラ好きに歩いてみ

 るよ。セツとして、東京の街を歩

 くのは初めてだ。

(背を向け、ひらりと手を振り、

去っていくセツ)

(お辞儀で見送る直美とりん)

 

**********

 

(裏庭に向かう二人)

(風の音)

直美) 何か分かったかもしれない。

りん) ん?

直美) 私の「助けたい」の正体。

りん) うん。

直美) 私が助けたいのは、つい味

 方したくなるのは、負けてる方、

 弱い方、不利な方なんだなって。

りん) うん。

直美) その中に、病気の人、ケガ

 をした人、患者さんが、入ってる

 のかも。うん…。人を助けたい。

 病気を回復させるだけじゃなくて。

 それに正直なこと言うと、どんな

 人にでも優しくなんて私にはでき

 ない。今回も…セツさんだったか

 ら。偉そうな患者には腹も立つし、

 金持ち、いい家の人は、初めっか

 ら苦手だから、愛想笑いでごまか

 してる。

りん) 私…最近直美さんの愛想

 笑い分かるようになってきた。

直美) え?

りん) そりゃずっと一緒にいる

 もの。フフッ、下手くそ。

(笑い声)

直美) ああ~何かすっきりした。

りん) え?

直美) 夕凪って名前だったの。

 私の母親。錦栄楼で働いてた。

りん) いつか、会えるといいね。

直美) ん…

 今はいいかな、会わなくて。

りん) どうして?

直美) 私を産んだってだけで、

 十分って思えたから。どこか

 で生きてくれていれば…。

 元気でいてくれれば、

 私はそれでいいや。

りん) うん。

直美) ありがとう。

りん) いや、私は、何にも…。

直美) あの、新聞の人にも、

 お礼言わないとね。

りん) うん…。

 

**********

 

<院長室>

渡辺) 院長、お出かけでしたか?

多田) すまない、待たせた。

(申請書を差し出す渡辺)

渡辺) こちらを。

(「帝都医科大学付属病院、

看護科設立計画書」)

渡辺) それにしても、一時はどう

 なるかと思いましたが、あの女郎

 を受け入れてよかったですねぇ。

 悲恋の女郎を救ったと、当院の、

 評判にもなりましたし。

多田) ああ、これでいいだろう。

渡辺) では、予定どおり、

 来年からの看護科新設で。

多田) 梅岡看護婦養成所に伝える

 のは、本決まりになってからでい

 いだろう。あちらには申し訳ない

 が、実習生の受け入れは、これで

 終わりにさせてもらう。

渡辺) 今いる実習生たちは、

 どうしますかねぇ?

多田)まあ、それは、おいおい。

 

**********

 

安) お帰り。

りん) ただいま。

安) あ、いらっしゃい直美さん。

直美) お邪魔します。

 環ちゃん、こんにちは。

環) こんにちは、直美さん。

 お帰りなさい! お母さん。

りん) うん、ただいま環。

(ギュ~っと抱きしめる)

りん) フフフッ。ん~。

 

**********

 

松原) えっ? 夕顔さん、

 退院したんですか?

 新聞には何にも…。

トメ) はい。

松原) せっかく花束

 持ってきたのに…。

トメ) あ、今日は

 りんさんもお休みで。

松原) えっ、何かあったんですか?

トメ) 新聞の人さお礼ば

 言いに行くって。

松原) シマケンさんかな…。

ヨシ) では、この花束は、私が

 お預かりしましょうかね~。

松原) えっ?

ヨシ) ヒッヒッヒッヒッヒ…。

松原) ちょっ…ちょ、えっ?

 

**********

 

美津) じゃあ夕顔さんは、

 本当に廃業できたのですね?

 よかった~。

りん) あ…夕顔というのは、

 本当は違うんだけれど…。

安) お母様、新聞を読んでから

 ず~っと心配していて…。

美津) 幼なじみの2人が、

 心中なんてふびんで…。

りん) 幼なじみ…。

美津) 2人は、雪深い村で共に

 生まれ育って、東京で再会した

 んでしょ?

安) 夕顔は、色白の儚げな人

 だって。そうだった?

直美) まあ、見ようによっては…。

りん) うん、見ようによっては…。

島田) ごめん、ください。

環) あっ、シマケンさん!

(戸を開けるりん)

島田) 今日はお招きいただいて…。

りん) あっ。

槇村) こんにちは。

 

**********

 

新聞記事の力というか、影響力は、

「ばけばけ」でも描かれていたけど、

今回はとりあえずめでたしめでたし

のまま終わってよかった。スバラシ。

 

セツにより、直美の母と思われる夕

凪の生まれは伊豆の漁師町というこ

とまでは判明。いずれ再会するのか

な? 母がどこかで生きていてくれれ

ばいいと思えるようになって何より。

 

 

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