第65回平成26年1月19日


下村為山「子規庵句会」河東碧梧桐賛


 明治三十年頃より
 子規居士の傘下に集る
 同人一党日に日に新人を迎え
 例月根岸子規庵に於る句
 会の意気常に沖典天の慨を
 示せり
 牛伴画伯の写生図は
 恐らく明治三十二、三年頃の
 新年發会の光景なるべく
 鳴雪の被講各自採点の収
 約四十年を隔て当時を目賭
 せしむ真に珍中の珍といふべし
 画中の人既に故人となれる者
 子規居士と共に十名曰く
  内藤鳴雪 阪本四方太 石井露月
  梅沢墨水( )藤五城 大谷繞石
  吉野左エ門 諫早李坪 折井愚哉
 而して今日健在なる者も
 多く白頭霜鬢既に老境
 に入る当時を追想して
 多少の感慨
 なしとせんや
        碧梧桐識

上記のような賛であるが40年前の出来事とは思えないほど、細密に描かれている。23名の衣類や人々の格好、その表情がよみとれて面白い。高浜虚子やこの画をかいた下村為山も牛伴画伯という名で登場している。
(事務局記)