今年はアカヤシオの当たり年らしい
雪山の夢中になっていて、すでに春が過ぎようとしている低山の残った春を満喫する山行の予定だった
この先、とてもシリアスな内容で、文字数も多いけど、是非読んでいただきたい
最初に書いてしまうが、今回の山行はヒヤリハットでもインシデントでもなく、アクシデントだったと思う。
蕨山でのランチ休憩の後、集合写真タイム…集合写真は掲載しないけど、あたしとインちゃんの写真は載せちゃう
インちゃんが三脚を持ってきてくれていたから、あたしが立って場所決めをしたんだ。
その時にふたりで撮った写真ね
この時だけが平和だったな~~
ランチ休憩の後、蕨山を経由して藤棚山にやってきた
途中の岩場では、THさんがなかなか降りられなくて大変だった
先導するあたしは、お尻から3点支持で降りてと見本をみせた。
降りてくるTHさんを下でサポートした。
初心者のあたしがやることじゃないかもだけど、前へ進まなきゃだから、自然とそんな行動をとっていた。
そういえば、その時はロープは出してもらってなかったな。
「その先も、岩場がまだあるのか?」とTHさんは何度か聞いた。
あたしは、蕨山からのこのルートは初めてなので、わからないんだ。
だから、それらしき様子があると先に進んで確認して、「あそこまで降りればあとは平だから頑張りましょう。」と言った。
時に、「お尻を向けて降りて。足元良く見て。」などと言ったり、足を置く岩を指し示したり、お尻を押さえて落っこちないように支えたりと、なかなか初心者にしてはレアな体験を重ねることとなったわ
それでも、THさんが持ちこたえられなくて滑落したら、一緒に巻き込まれたかもしれない
実は、藤棚山で決めなきゃならないことがあったんだ。
でも、後発隊のBグループがなかなか来ない。
三角点を見つけたのでタッチ
なかなか前に進めないTHさんを、ここで長く休ませるより、どうせいつか追いついてくるのだから、先に進むもうとインちゃんに言った。
前へ歩かないと、バス停には到着しないんだ。
もうすでに予定のコースタイムより1時間半も遅れている。
追いついてきたBグループ…AB合わせて10人が団子状態✚あたし
この時、すでにTHさんはザックも他の人に担いでもらっている
先に進んでいた為か、ランチタイムの時にインちゃんたちが「藤棚山でどうするか決めよう。」が決められないでいた。
何を決めるかと言うと、「THさんと、本さんと、インちゃんはこのまま進み、他の人は最終バスに間に合わなくなるかもしれないので先に下山する。」という案だ。
あたしは、何もできないかもしれないけど、一緒に残ろうと思っていた。
でも、途中で藤さんが「みんなで一緒に降りることで合意がとれた。」と言ったんだ
あたしは確認されていないけど、それが良いと思った。
パーティーをこういう理由で分けるのは違うと思うんだ。
また、そう習ったしね。
もし、2つに分けるのなら、降りたグループが救助を要請するときだと思う。
何度も何度も休憩するTHさん。
薬を飲み忘れていたというので、みんなで手伝って飲ませる。
割と早い時期から、藤さんはTHさんに「血液サラサラにするお薬とか飲んでない?」と確認していた。
万が一転倒した時、血が止まらない可能性もあるからだ。
そして、何度か救急要請の話しもしたが、THさんは自分で歩くと言うんだ。
そんな中でもお山はきれいだ
わかりにくいかもだけど、お山のところどころが薄いピンクや濃いめのピンクに染まっているんだよ
あの辺りは棒ノ折かな
やっと、大ヨケの頭…2時間遅れている
THさんは途中でバス停はないのかとか、あとどれぐらいなのかと何度も聞く。
普通なら、自分で調べろって思うけど、この状態なんだから仕方なく、バス停は下山するまでないことや、山頂から歩いてきた倍ぐらいの距離があることなどを伝えた。
あたしたちは、この分だと最終バスには間に合わないかもしれないと思っていた
落ち葉の道。
お山の16時は、もうここにいてはいけない時刻だ
休憩するときには声掛けてって言っているのに、いきなり止まって休憩を始めるTHさん
あたしは、すぐに気がついて戻る
落ち葉から1時間歩いて、ようやく神社跡地へ。
先を急がなければならない。
あたしはアミノ酸を自分のザックから出して、飲むというTHさんに渡した。
少しでも快適に歩いて欲しかった。
水のキャップすら、周りが開けて与えなければできない状況になっていた。
きているのは、足だけではないようだ
鳥居が見えた
THさんは、藤さんに促されてお〇っこタイム。
何度も、足元に気を付けてとか、ここは根っこが階段になっているから大丈夫よ~とか声を掛けながら歩く。
危ないところでは、手を差し伸べて差し出した手を取る。
何度もその場で崩れるようになった。
藤さんの提案で、本さんと山さんが両脇から抱えて歩く
いきなりスピードアップして、あたしも慌てた
その後、道幅が狭い場所にさし掛ったために両脇から抱えられなくなった
片方だけ抱えて、ポールをついて歩いてもらうことも提案したが、もうそれすら無理な状況だった
本さんが背負うと言い出した…
57キロのTHさん。
男性にしては軽いとはいえ、歩荷だって背負うのは30キロぐらい。
本さんの身体が心配だ。
本さんのザックは女性が背負った。
まもなく、山さんが交代して背負った。
もうひとりの男性は、山さんのザックを受け取るとインちゃんに渡した
最低なヤツだ
あたしは、目を丸くしたよ。。
藤さんの指示で早めにヘッデンを点けた
ひとりだけ、装備表に入っているヘッデンを持ってこなかった人がいた
ありえない話だ。
本さんが、予備を持っていてそれを貸していた。
18時20分…約3時間遅れで、どうにかバス停に到着し、トイレに行く人は行けたよ。
ホント、ホッとしたよ
無事にバスに乗れたわ。
バスがやって来た時、すごく嬉しかったし、心底ホッとしたわ。
9時間半もかかった…
そして、あたしの消費カロリーは驚きの3043kcalだった
精神的にも消耗した山行だった
さて、このTHさんについて…ご本人が小出しにしゃべった情報。
入会は奥様とご一緒で、この日は仕事の関係で一人で参加。
朝、10分のところを30分かかってしまい、乗る電車が遅くなってしまったが、飯能駅には予定通り到着した。
最初、この意味がわからなかったのだけど、朝から足が痛くて駅までの時間が通常よりかかってしまったんだと思う。
そんな身体でなぜ参加したのかはわからない。
奥様は50代前半、THさんは60代後半。
奥様が山が好きで、知り合ってからTHさんは山を始めたそうで、本人はそんなに山が好きではないらしい。
この夏、奥様がどっかのアルプスを歩きたいと言っているそう。
昔、どっかの小屋番をしていて、朝起きたら様子が変だった…軽度の脳梗塞。一年半ほど前のことらしい。
背負ってきた赤いザックは奥様のもので、ご本人は70Lしか持っていないそう←70L担がされていたんだ。
直近の登山は昨年10月の筑波山。それもケーブルカーを降りたところの石段で膝がぐきっとなってそれっきり。
どっかのがんを罹患。
極めつけは、「免疫抑制剤を飲んでいる。」←腎臓移植した
もう、街中だって歩くのは心配な身体なのに、なぜ痛い脚(多分、少し麻痺がありそう)で参加したのか謎でしかない。
それに、そんな夫を見送る奥様が信じられない。
アルプスを歩きたい奥様が、訓練のためにTHさんを山行に参加させたんじゃないかと思う。
歩けなかったら奥様に叱られちゃうのかもしれない。
インちゃんが、最寄りの駅まで送るというので、奥様に駅まで迎えに来てもらうように言った。
奥様に引き渡したインちゃんは、うわべだけの言葉にすごく冷たさと違和感を感じてTHさんがかわいそうになったという。
THさん、皆さんの山行をぶち壊しにしてしまって申し訳ないと言っていた。
でもね、「殿様みたい。」って言われてまんざらでもなさそうだった。
ザックを預かっている仲間が、水だのレインだの、チョコだのって出してあげてたし…あたしが「奥女中たちが至れり尽くせり。」って言うと、にこ~って笑って嬉しそうだった。
藤さんに言わせると、自分が置かれている状況が理解できていないというけど、その通りだと思った。
何度も、救急要請の話もしたが、それは嫌がった。
そして、歩くというの。
でも、歩けない。。。
あたしたちは、本人の意思を尊重して最終バスに乗れないことも覚悟したわ。
陽が落ちた登山道を、ヘッデンで歩くあたしたちが、2次遭難になることがあるかもしれないこともTHさんは理解していなかったと思う。
あたしは、途中で「生きて帰りましょう。そうしないと2度と山には来られないのだから。ご自身の身体はご自身が一番分かると思います。救急要請しましょうか?」と聞いたけど、今は大丈夫だから歩くという答えだった。
ガチな救助搬出となった。
幸い全員無事に帰れたからいいようなもんだけど、この先、こう言う人が入会してしまうことを阻止する術を考えなければいけないと思う。
そして、このご夫妻にはぜひ退会して欲しいと思う。
THさんは、一生涯山を歩ける身体じゃないよ。
そして、奥様は一番そばでそれを知っていながら、自分が歩きたいからと死に至るようなことを夫にさせる人。
こんな人と一緒に山行はできない。
この夫婦は、お山の会にいる意味がない。
ちなみに、その後ご本人や奥様からお礼やお詫びは入っていないらしい。
人としてどうなのかと、疑問だわ。
今回のことは事故として、早急に運営委員会やリーダー部会で対策が練られると思う。
教訓だけど、今回大きな事故にならなかったから良かったようなもんで、不幸中の幸いケースだと思う。
やっぱり、迷った時には救急要請すべきだと思った。
また、朝の段階で足を引きずるような様子や、舗装道路すらまともに歩けないなら、その場で帰ってもらうように言わなければならないと思った。
それは、そういう人を入会させてしまっているのだから、誰もが口にしにくいことだと思う。
その対策も練らなけれいけない。
何度も言うが、今回は遭難事故だ。
2次遭難にならなかったのが不幸中の幸いだった。
でもね、お山の会の仲間が温かいことがよくわかったよ
お山をやっている人は、「山岳遭難は自分ごと」であることを忘れてはいけないと思う。
身近で貴重な体験をすることとなった1日だった。
因みに、1日では済まず、毎日のように何時間もこのことでインちゃんと電話で話している。
近々に、この日の主要メンバーでこの案件について討議することを求められている。
ZOOM会議をすることになり、事故報告書を提出することになる。
個人山行であれ、会山行であれ、どんなに対策をしていても事故は起こるかもしれない。
その時に最善を尽くせるように議論していきたいと思う。
miliちゃん、暑いとつぐらベッドから出てきてねんねするの
まるで、モデルさんみたいだ~~←ネコ親バカ丸出し
ベッドカバーはパタパタと払えば良いから、かあちゃんは大歓迎だよ