※ここからはすべて振り返りになります。記憶が曖昧な箇所が多いです。
8時頃 夫を呼ぶ
子宮口が8センチまで開いた。あと2、3時間で出産かもしれない。
夫を呼ぶ許可が出たので、夫をLINEで呼んだ。
痛みの合間にLINE。いや、結構辛いんですけど……流石に病院は呼んでくれないのね……代わりに電話して欲しかった。
「いつ頃、出産になりますかね」
と聞くと、助産師さんは
「12時くらいですかねー」
と言った。私もこのペースならそれくらいだろう、と思っていた。この時は。
この感じなら、出産楽勝じゃね?!とすら思っていた。
そりゃ、陣痛は辛いけど……このレベルが続くだけなら、なんとか耐えられるし、話に聞くほどじゃねーな、私ってば安産ー♪と思っていた。
そうこの時は……
9時頃 夫到着
なんというか……朝5時に帰って、9時にきてもらうとなると、多分夫はほとんど寝てないな。
私も寝てないけど。
徹夜、してしまったが、実感はない。
それどころではないからだろうか。
先生が部屋に入ってきて、夫が部屋を出て行った。
処置中は夫は部屋にいられないらしかった。
11時25分 子宮口全開大
とうとう全開した。よっしゃいきんでいいんか!!と思ったが指示は出ない。
なんでやねん、12時まで耐え切ったし!子宮口開いたならもう出していいやろ!!辛いんだけど!!!
と思っていたら、頭が下がってきていないとかで、エコーを使ってお腹の中がどうなっているのか確認してみることになった。先生を呼びに行く、とかで助産師さんは部屋から出て行った。
まじか……見るなら早く見てくれ
30分後、先生がやって来て、エコーを確認した。
どうやら胎児の頭の向きが悪いとかで、うまく頭が下がってきていないらしかった。このままではいきめないらしい。
まじかいな、いや、そりゃ、なんとか耐え切ったけど、結構きついんだぜ。
はよ終わりたい。
「ちょっと動きましょうか」
と言われた。
四つん這いになって腰を振るように言われた。
振った。陣痛がきた。激痛。
今までの比ではなかった!!
動いてる時に、来ると、痛みを逃すどころではない。
「息を止めないで!」
と助産師さんの声。
なんとか息を吐こうとした。
顎があまりの痛みにカタカタと震えた。
息が、意思に関わらず、引き攣ったように細切れになった。
死ぬんじゃないかと思った。
「これ、陣痛の間もやらないといけないんですか?」
「やってください。そのほうが動くと思うので」
「……(まじか)」
過呼吸防止だろうか?酸素マスクなんだか袋なんだかよくわからないものを装着させられた。
少し息がしにくくなった、が、酸素も出てるらしいので、普通に息をするよりはマスクつけてた方が楽、なはず……だが実感はない……
腰を振り続けた。
息も絶え絶えに、まだか……まだか。と思った。
これくらいから記憶が曖昧になって、時系列をよく思い出せない。
どれくらい経ったか不明だが、助産師さんが、椅子を持ってきた。
ぐらぐら揺れる不思議な椅子だ。それに跨って、今度は体を揺らすように言われた。
やった。陣痛がきた。激痛。
四つん這いで腰を振っていた時よりも酷かった。
内臓が全部ねじ切れてしまいそうだった。
息も途切れる。
いっそ死んだ方が楽なのではないかと思うほどだった。
椅子は嫌だ、四つん這いで勘弁してくれ。と言った。
四つん這いを続けることになった。
12時30分頃 昼ごはんが来た。
冷やし中華だった。
麺類なんてこの状態で食べれるわけあるかい!!と思った。
助産師さんが夫が食べてもいい、と言ってくれたので、夫の昼ごはんになった。代わりに私にはかしわ飯で作った小さなおにぎりがやってきた。
「食べられますか?」と。
夫が私の口元におにぎりを持って来た。
正直、辛かったが、必死で食べた。
かぶりついて、噛み砕いて、飲み込んだ。
産むまで分娩台を降りることはできない。
勝利しか私には許されない。
勝利とはすなわち、産むということだ。
勝つためには、食べることが必要だった。
ドーナッツも食べた。口が乾いて飲み込みにくかった。
水で胃に流し込んだ。味はもうわからなくなっていた。