いよいよ勝負の日がやってきた。

 

朝、夫には

 

「喧嘩しちゃダメだからね、冷静に聞くんだよ」

 

とよくよく言い含められた。

 

「多分大丈夫」

 

と答えた。多分だ、多分。

基本的にこちらが弱い立場なので、ことを荒立てたくないと思っているけれど、あまりに酷かったら、耐えられないかもしれない。わからない。

 

家を出る前、“普通に聞けばいい”を自分に言い聞かせた。

妊婦検診はまず普通の検診から始まった。

 

今日は今までまだあったことがない女医さんが担当だった。

専門の先生ではないらしい。

専門の先生は胎盤の位置だけ確認するのだろうか。

 

エコー写真

横顔


 

成長曲線


 

成長は順調だ。

元気よくお腹の中で動いているカノープスに人の気も知らないで……と少し思う。

ただ何かと問題が起こりがちな私の妊娠だが、胎児の成長が順調なのは唯一の救いでもある。

 

経膣エコーを見ながら

 

「胎盤の位置は1.7センチですね。低置胎盤で変わりないですね」

 

と先生は言った。

子宮口から胎盤までの位置、伸びつつあると信じたい。

 

普段の妊婦健診が終わってから待つこと30分、再び経膣エコーを見る部屋へと呼ばれた。

次は専門の先生に見てもらう番だ。

先生は経膣エコーを見るなり言った。

 

「胎盤見えませんよ」

 

……はい?

 

「んーちょっと待ってくださいね…んー、やっぱり無いですね。これなら普通に下から産めます。……え?そうなの?」

 

途中から誰かから何か言われた声に先生が答えた。

奥の方で何やら話し込んでいるが、声がするだけでなんと言っているのかわからない。

少しして先生がこちら側に戻ってきた。

 

「念のためMRIを撮りましょう。空いている枠が……火曜しかないですね。来れますか?」

 

MRI!!そうそう、それだよ、そういう対応を待っていたのよ。

専門の先生が見て見えなかったと言うことは、いつからかわからないが、胎盤の位置は改善されていたのだろう。

けれども、この先生は専門といえども、他の先生が低置胎盤と診断したことを鑑みて、念のためMRIで確認することにしたのである。

そりゃ、私は下から産むのが希望だが、胎盤の位置が本当に低かった場合、下から産めば出血多量となり命に関わるわけで、ちゃんと見てくれるならばそれに越したことはない。

前置胎盤についてMRIで確認することが帝王切開の頻度を下げる、という論文はネット上で拾って読んだことがあった。

こういう丁寧なやり方を私は望んでいた。

 

専門の先生の方が謙虚とは……。専門なだけに診断の難しさを正確に理解しているのかもしれなかった。

 

はい、空いてます、と答えて、MRIの日程が決まった。

用意していた質問のほとんどはする必要がなくなった。

 

はい、と私は答えた。

 

MRI実施日を待つとしようじゃないか。

 

 

本日の体重

 +8.4kg 

(出産時目標 +10kg)