インヒビンの値がどうにも気になる。
いやまあ、他の血清濃度の値もよくないんだけども、明らかインヒビンはひどい。通常の5倍は高すぎる。
検索ワードを取っ替え引っ替え、ネットの海を泳ぎ続けた結果、一つの解答らしきものに私は行きあたった。
それは“妊娠高血圧症候群”である。
妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降、分娩後12週までの間に高血圧になってしまうことをいう。高血圧が重症化すると、臓器障害が起こり、さまざまな症状をきたすようになる。
妊婦は血圧上昇、蛋白尿に加えてけいれん発作、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害、肝機能障害に溶血と血小板減少を伴うHELLP症候群などを引き起こす。
さらに胎児側にも、胎児発育不全、常位胎盤早期剥離(出産前に胎盤が剥がれてしまうこと)、胎児機能不全、などが起こる。場合によっては死亡してしまうこともある。
ちなみに胎盤が剥がれれば、大量出血してしまうため、妊婦も出血多量で死んでしまうことがある。
妊娠高血圧症候群は結構怖い症状なのだ。
ちなみに高血圧は無痛分娩の医学的適応になる。
私の友人には、妊娠高血圧症候群を発症し、無痛分娩となった子が2人いる。
そのうち一人は無痛分娩が原因か、肥満が原因か定かではないが、微弱陣痛となり、さらに血圧も上がり危険だったため、緊急帝王切開での出産となった。
いわゆるフルコースと言われる分娩である。
フルコースと言われるだけあって、最も辛い。
陣痛の痛みは感じるし、帝王切開後の後陣痛の辛さも体験することになる。
すでに無痛分娩用の麻酔を使っているため、切開用の麻酔を打つことなく、切開となる。しかし、あくまで無痛分娩用の麻酔のため、切られるのは普通に痛いらしい。
さらに緊急であるため、傷が残らないように……なんて気遣いしている場合でもなく、ガッツリ縦に切られることも多い。
彼女が横に切られたのか、縦に切られたのか、私は知らないけれど、壮絶なお産だったことは想像にかたくない。
ちなみになぜ無痛分娩の適応になるかというと、陣痛によっても血圧が上昇するからである。血圧が限界突破してしまうかもしれないからである。
インヒビンの値が高い妊婦は妊娠高血圧症候群になる可能性が高い。
これが私がたどり着いた結論だった。
私の現在の血圧は高めだ。
バセドウ治療で飲んでいる薬の副作用だとは思うけれども、妊婦健診時、1回目の血圧測定は大抵上が130を超えている。仕方なしに測り直して、なんとか120
の測定結果を提出しているような状況だ。
頭を整理するために、私は親に電話をかけた。
「もしかしたら妊娠高血圧症候群になるかもしれない」
と話すと、親は参考になることを教えてくれた。
親自身が妹を妊娠しているとき、妊娠中毒症(昔の妊娠高血圧症候群の呼び名)になるリスクを医師から注意されたらしい。
初めて聞く話だった。妹を妊娠したとき、確か母親はバセドウ病を患っていたはずだ。
「蛋白尿が出たんだったか、血圧が高かったのかわからないけど、妊娠中毒症になるかもしれないからって、塩を取らないように注意されたよ。塩を抜いて生活するのがダイエットより大変だったからよく覚えてるわ。あと、水をよく飲むように言われたよ」
バセドウ病と妊娠高血圧症候群に関連性はあるのか、私はすぐにネットで調べた。ビンゴだった。バセドウ病は妊娠高血圧症候群になるリスク要因だった。
治療を継続し、甲状腺機能が管理されていれば、そこまで大きなリスク要因ではないみたいだけれども……
妊娠高血圧症候群にならないためにできることはないか、私は検索を続けた。
予防のためにできることは、あまりないみたいだった。
やれたとして、減塩生活くらいだ。
珍しいものではカルシウム摂取がリスクの軽減に役立つとあった。
カルシウム摂取については、効果があったとする研究結果と効果がなかったとする研究結果どっちもあって、微妙だった。けれども、やらないよりはマシかもしれない。
妊娠高血圧症候群は妊婦が高血圧かどうかというより、胎盤機能の良し悪しで引き起こされている、という意見もある。インヒビンの値はそれを予告しているのだろうか……。
私はバセドウ病も患っているわけで……それがクワトロ検査の結果を悪くしてしまったのかどうかは定かではなかった。関係はありそうだけれど、そんなことを研究している人はいないだろう。
兎にも角にも、私にできることは
○減塩生活
○積極的なカルシウム摂取
(カルシウムは取りすぎてもよくないので、カルシウム専用のサプリは使用しないことにした。あくまで食事で取るようにする)
くらいしかなさそうなので、今日からやってみることにした。
私のおやつは煮干しだよ。
本日の体重
+1.4kg
(出産時目標 +10kg)