私が妊娠していることに自信が持てないのは、化学流産というものの存在を知っているからである。

検査薬で反応が出ても、実際に病院に行くまでは本当に妊娠しているのかを確定することはできない。

しかし、5週の今、病院に行ったところで心拍も取れないだろうし、こう言ってはなんだが、大してわかることもないだろう、というのが私の考えだった。

 

妊娠は自費診療だから病院に行けば行くほど高くつくし。

 

そうなると、やっぱり、妊娠を確かめるために使えるものは、妊娠検査薬しかないわけだ。

 

考えてみると前回の妊娠検査薬は私が駅のトイレで勝手に検査したものを夫に見せただけだったので、

(しかも使用済みの検査薬に用はなかったので、なんの躊躇いもなく速攻で捨てた)

 

今回はちゃんと、家のトイレで、夫に「今から使ってくるね」と予告した上で!使おうと思った。

そうすることでさらに強く妊娠している感を演出できるのではないかと!!

 

時はお正月休みの途中。

夫は当然家にいる。私も一緒に家にいる。

 

夕方になってから私は作戦を決行することにした。

夫の元へ行き妊娠検査薬を掲げた。

 

「今から妊娠検査薬使ってくるから!!」

「おう!行ってこい」

 

謎のノリの良さで夫は返事をした。

これがその時の検査薬である。

 

 


 

流石に検査薬を掲げた後、目の前でトイレに向かい、反応済み検査薬を見せると、

 

「ほんとだ!妊娠してる!!」

 

と目を丸くして出来立てホヤホヤの検査薬を見つめていた。

 

「けいホントに妊娠してたんだね」

 

ちょっと感動しているようだ。

 

「何度もそう言っておる」

「そうだねー。じゃあ食べるものにも気をつけなきゃな」

 

と、妊婦が食べてもいいものについて検索を始めた。

我が家ではご飯を作るのは夫の役目なのだ。

 

「来週あたりは病院に行ったほうがいいかな、と思ってる。産院探さなきゃね」

「うん、明日あたり探して見ようか」

 

良かった、一人で探すのは嫌だったのだ。

二人のことなのに、どうして私だけで探さなならんのだと私は思っていた。

 

というわけで、妊娠検査薬作戦は成功したのだった。