「ようやく今回のメンバーが全員そろったし、DLC新規メンバーの歓迎会をすることにしよう」
マスターハンドの提案により、DLCとして新たに参戦したリュウ、クラウド、カムイ(男・女)、ベヨネッタの歓迎会が行われることになった。
「歓迎会か・・・」
「俺たちのためにそこまでしてもらうのはなんだか悪い気がするな」
「ここに来られただけでもうれしいのに、歓迎会なんて・・・」
「あら、私たちのためにしてくれるって言うんだから、楽しみにしてましょう」
「そうですね」


さらにマスターハンドはある計画を考えていた。
「クラウドの誕生日会?」
翌日、元の世界に帰ることになっていたクラウドが元の世界に向かった後、マスターハンドはこの世界でクラウドの誕生日会を行いたいことをメンバーに言った。
「でも、クラウドは誕生日の前日から元の世界に帰るって言ってたよな」
「そこで、8月9日にリュウ、クラウド、カムイ、ベヨネッタの歓迎会とクラウドの誕生日会をやろうと思うんだが、どうだ?」
「さんせーい!!」
「カービィは食事が豪華になるのが楽しみなだけだろ?」
「う・・・」
「というわけだから、クラウドへの誕生日プレゼントを用意しておいてくれ」


「歓迎会か・・・確かミュウツーとリュカが来る前にも歓迎会をやったよね」
「そうだったな」
ミュウツーとリュカが来る前、今回新たに参戦したメンバーの歓迎会が行われており、その時はシュルクも歓迎される側だったことを思い出す。
「それに、クラウドさんへのプレゼントってなにをあげればいいんだろう」
「クラウドがここに来てからけっこうたったけど、どういうものが好きなのか、全然分からないな・・・」
「元の世界でもプレゼントをもらうと思うから、それとは違うものがいいんだろうけど・・・」
「じゃあ、この世界にしかないものをあげればいいんじゃないか?」
と言ってはみたものの、この世界にしかないものがどういうものなのか分からなかった。
「今度街に行った時に探してみようかな」


3日後、プレゼントを考えるため街へ出かけようとしたリンクはワリオに会った。
「おうリンク、お前1人なんて珍しいな」
「クラウドへのプレゼントを考えようと思って。ところで、ワリオはなにをあげるつもりなんだ?」
「俺か?もう決まってるぜ」
そう言ってワリオが取り出したのはにんにく。
ワリオの好物であり、最後の切りふだでワリオマンに変身する際にも食べている。
「にんにく・・・」
「これを食べればあいつも俺並みのパワーになるんじゃないか?」
「・・・クラウド、喜ぶといいな」


「さすがににんにくはないよな・・・」
そんなことを考えながらリンクは街に向かっていた。
「この世界にしかないもの・・・か」
リンクがまず思いつくのは、“シンプル”モードでマスターハンドとの戦いに勝って手に入るファイターのフィギュアだ。
このフィギュアや“オールスター”モードで手に入るEXフィギュアや最後の切りふだフィギュアはマスターハンドが作ったものなので、当然この世界にしかない。
ただ、リンクがマスターハンドに勝っても手に入るのはリンクのフィギュアだけなので、それをクラウドに渡してもクラウドは喜ばないだろう。
しばらくして、街に着いたリンクはある店で小さい子たちが集まっているのを見つけた。
「あ、リンク」
「なにしてるんだ?」
「これ作ってたんだ」
そう言ってトゥーンリンクはリンクにあるものを見せる。
「・・・これは?」
「キーホルダーっていうんだって」
トゥーンリンクが持っていたキーホルダーはトライフォースの形をしていて、それに鎖のようなものがついていた。
よく見ると、小さい子たちが集まっている机の上にいくつものキーホルダーが置かれている。
「これってもしかして・・・」
「僕たちのシンボルマークだよ」
シンボルマークとは、スマブラの世界におけるファイターをイメージしたマークのことで、例えばマリオやルイージはキノコのマーク、リンクやゼルダはトライフォースのマークだ。
「僕とリュカのマークは細かい部分が多くて苦労したよ」
「これ全部クラウドにあげるのか?」
「うん」
「ここでの生活が終わって元の世界に帰っても僕たちやクラウドさんがスマブラメンバーの一員だってことを忘れないでほしいなって思ったんです」
「それならみんなにも渡した方がいいかなって思うんだけど、数が多いからまずはクラウドさんに渡そうってことになって」
「クラウドの分はネスたちで作って、他のみんなの分はマスターハンドに頼んでもいいんじゃないか?」
「あ、それいい考え」
「じゃあ残りの分も頑張るでチュ」
そして小さい子たちは残りのキーホルダーを作り始めた。
「ところで、これってどうやって作るんだ?」
「この板にマークを書いて、その形に切ってもらって、切ったものを磨いてきれいにするんだ」
「それで、この丸い穴にこの鎖を通すんだよ」
「それと、このキーホルダーっていうのはなにに使うんだ?」
「かばんとか、普段使うものにつけるんだよ」
「かばんにつけるアクセサリーみたいなものでしゅ」
「へえー・・・」

しばらくして、小さい子たちと別れたリンクは宝石や石を売っている店の前で立ち止まった。
「これは・・・」
リンクが手に取ったのは丸い形をした石。
赤、青、緑、黄色の4色がマーブル模様になっていてとてもきれいだった。
「(この丸い感じ、クラウドの世界にあるマテリアみたいだな。それに・・・)」
「リンクー!」
そんな声がしたのと同時にシュルクがこちらに向かってやってきた。
「それ、どうしたの?」
「きれいだなって思って。それと、クラウドの世界にあるマテリアに似てないか?」
「ほんとだ。それにその色、まるで僕やリンクのイメージカラーみたいだね」
「・・・シュルクが赤、クラウドが青、俺が緑・・・確かにそうだな。じゃあ、黄色は?」
「僕たちの髪の色に近い色、かな」
「・・・決めた。クラウドへのプレゼントはこれにする」
「リンク・・・お金、足りる?」
「・・・あ」
リンクが手に取った石は、今リンクが持っているお金で買える値段ではなかった。
「僕もお金出すから、これは僕とリンクの2人からのプレゼントにしようよ」
「そうだな」
リンクとシュルクはお金を出し合って石を買い、プレゼント用にラッピングをしてもらった。
「ところで、シュルクはなにをあげるつもりだったんだ?」
「え?」
「俺が持ってるお金が足りなかったから2人からのプレゼントってことになったけど、もし俺1人で買えてたらどうしたんだろうなって思ったからさ」
「いろいろと見てたんだけど、これっていうのが見つからなくてどうしようって悩んでたらあの店でリンクを見かけたんだ」
「クラウド、喜んでくれるといいんだけどな」
「きっと喜んでくれるよ」


2人が共同寮に戻ると、ロゼッタの姿があった。
彼女はプレゼントらしきものを持っていた。
「それ、クラウドさんへのプレゼントですか?」
「ええ。リンクたちもプレゼント、見つかったんですね」
「クラウドが喜んでくれるかどうかは分からないけど・・・」
「大丈夫!喜んでくれるよ!」
そう言ったのはロゼッタのそばにいたチコ。
スマブラではロゼッタとともに戦っていて、ロゼッタにとっては子供のような存在らしい。
「そうだな、ありがとう」


-8月9日-
「リュウ、クラウド、カムイ、ベヨネッタの参戦を祝って、乾杯!」
「かんぱーい!!」
マスターハンドの言葉の後、全員が持っていた飲み物を飲む。
「どうぞ」
パルテナがクラウドの持っていたコップに飲み物を注ぐ。
「パルテナにこうしてもらうのは、変な感じがするな」
「ふふ、ピットも同じことを言っていました」
「ピットからすれば、「パルテナ様にこんなことをしてもらうなんて!」って感じなんだろうな」
「そうですね」
「ところで、ブラピはこの世界になじんでるのか?」
「他の人と話しているところはあまり見ませんけど、ここの環境には慣れてきたみたいですよ」
「後、たまにブラピって呼ぶと「ブラピって言うな!」って怒られるのは気のせいじゃない・・・よな?」
「ここではピットと区別をするために呼んでいるということで納得しているみたいですが、機嫌が悪い時に呼ぶと怒られることもあるようですね。私は怒られたことはありませんけど」
「(・・・ブラピもパルテナに対しては怒れないんだな)」
そしてスマブラメンバーは未成年のメンバーが多いため、大人(主におやじ)たちはここぞとばかりに酒を飲む。
「・・・歓迎会とか言っておきながら本当は酒が飲みたいだけじゃないのか?」
「クラウドもお酒、飲めるんだよな?」
「あまり飲みすぎないようにしてるけどな」
「今日ぐらいは思いっきり飲んでもいいんじゃない?」
そう言ってベヨネッタはクラウドに酒の入ったコップを渡す。
「・・・ずいぶん楽しんでるみたいだな」
「そうね、退屈はしてないわ」
「クラウドはどうなんだ?」
「そうだな・・・毎日いろんなことがあって飽きないな。おかげで元の世界に帰った時に話すことがありすぎて時間が足りないぐらいだ」
「そうだろうな」


1人黙々と食べていたリュウの元にマリオがやってきた。
「隣、いいか?」
「・・・ああ」
「どうだ?この世界は」
「この世界にはいろんなやつがいて、それぞれ戦い方が違うから参考になるな」
「参考にしにくい戦い方もあるけどな・・・」
「次に対戦で戦うことがあればその時はお互い全力で戦おう」
「もちろん」


「はい」
ロイがカムイたちに食事が盛られた皿を渡す。
「あ、ありがとうございます」
「この世界には慣れた?」
「はい」
「ここにいる人たちはみなさんいい人たちで、ここに来られてよかったです」
「それに、私たちの世界以外の世界の話を聞くのがすごく楽しいです」
「ところで、自分たちの世界のことでシュルクさんに質問されなかった?」
「そう言えば、ここに来たばかりの頃に・・・」
「やっぱり・・・」
「やっぱりってことは、ロイさんも?」
「マルスが言うにはここにいる全員に質問してるみたいだよ」
「ということは、リュウさんにもいっぱい質問してるんですか?」
「うん。リュウさんがここに来たばかりの頃に質問してるところを見たことがあるよ」
「シュルクさんの好奇心ってすごいんですね・・・」


ファイターたちが歓迎会を楽しむ中、マスターハンドが現れた。
「そろそろ次の準備を始めるぞ」
マスターハンドの言葉にクラウド以外のファイターたちは準備をするため食堂を後にし、クラウドは1人取り残された。
「・・・次の準備?」
しばらくして、ファイターたちが再び食堂に入ってきた。
ファイターたちはそれぞれプレゼントらしきものを持っていた。
「クラウド、誕生日おめでとう!!」
「・・・誕生日?」
「本当は11日にやるべきなんだが、当日は元の世界で祝ってもらうだろうと思って今日にDLC新規ファイターの歓迎会と一緒にやることにしたんだ」
「それに、いつ俺の誕生日を知ったんだ?」
「それはクラウドが参戦するにあたってちゃんと調べている」
どうやらマスターハンドは新たなファイターの参戦が決まるたびにそのファイターのことをできる限り調べているらしい。
「ということは、ここにいる全員のことも事前に調べてるのか・・・」
「もちろん」

そしてファイターたちはクラウドに次々とプレゼントを渡す。
「ありがとう」
「俺からはこれをプレゼントだ!」
そう言ってワリオはクラウドににんにくを渡す。
「にんにく・・・」
「これを食べればお前も俺並みのパワーになれるぞ」
「・・・ありがとう」
おそらくその場にいた(ワリオ以外の)全員が「なんでプレゼントがにんにくなんだよ・・・」と心の中でつっこんでいたに違いない(作者談)。
「これはオイラとアニキからだよ」
ドンキーとディディーからのプレゼントはバナナ。
最高のバナナを見つけるためにいろんな場所を探したという。
「こんなにたくさんだと1人じゃ食べきれないから元の世界で仲間たちと一緒に食べても大丈夫か?」
「大丈夫だ。そのためにいっぱい見つけてきたからな」
「ありがとう」
ドンキーたちもワリオと同じように食べ物をプレゼントしたはずなのに、なにか違う気がするのは気のせいだろうか・・・(作者談)
「これは僕たちからのプレゼント」
ネスはクラウドに紙袋を渡す。
「ずいぶん重いけど、開けてもいいか?」
「うん」
紙袋を開けると、そこにはたくさんのキーホルダーが入っていた。
「・・・キーホルダー?」
よく見ると、キーホルダーはそれぞれがファイターのシンボルマークの形をしていた。
「これ、もしかしてシンボルマークか?」
「ここでの生活が終わって元の世界に帰っても僕たちやクラウドさんがスマブラメンバーの一員だってことを忘れないでほしいって思って作ったんです」
どうやら小さい子たちで作ったもののようだ。
「ありがとう。大事にするよ」
「このキーホルダーはみんなの分もあるからね」
「みんなの分?どういうことだ?」
「クラウドの分は僕たちで作って、他のみんなの分はマスターハンドに頼んで作ってもらったんだ」
「ここにいるみんな、スマブラメンバーの一員だからね」
ロゼッタからのプレゼントは星の形をした砂が入った小瓶。
「クラウドさんは夜になるとよく星を見ることがあると言っていたのを聞いて、星が見たくなった時にいつでも見られるようにそれにしました」
「その話、誰に聞いたんだ?」
「リンクがそういう話をしていたとゼルダ姫から聞きました」
「リンクのやつ・・・」
「最後に、これは俺とシュルクから」
そう言ってリンクはクラウドに箱を渡す。
箱を開けると、中に丸い石が入っていた。
「俺とシュルクとクラウドのイメージカラーが混ざり合ってるのがきれいだなって思ったからそれにしたんだ。それに、クラウドの世界にあるマテリアに形が似てるしな」
「後、黄色は僕たちの髪の色に近い色かなって」
「・・・確かに、すごくきれいだな」


ファイター全員がプレゼントを渡した後、クラウドはファイターたちの前でお礼を言った。
「・・・みんな、ありがとう。まさかここで誕生日を祝ってもらえるって思ってなかったから驚いたけど・・・でも、うれしかった」
「クラウド、これからもよろしくな」
「ああ」


こうして、DLC新規ファイターの歓迎会とクラウドの誕生日会は無事終了した。


The End


あとがき

最初はクラウド誕生日記念小説として考えていたのですが、クラウド以外のDLC新規ファイターを出してみたいと思ったのでDLC新規ファイター参戦記念も兼ねた小説になりました。
後書いていて思ったのですが、ファイターのシンボルマークのキーホルダー(ストラップでも可)とかあったらほしいですね・・・


クラウド誕生日記念小説なのにかなり遅れてしまい申し訳ありません・・・


2016.9