注:クラウドが一時的に他の世界に行っている設定です。
今日、久しぶりにクラウドが帰ってくる。
今、クラウドはこことは違う別の世界に行っている。
その世界でクラウドはいろんな人たちと戦っているらしいけど、ここでの戦いとは全く違うものだと言っていた。
そしてクラウドは2週間に一度帰ってくる。
本当は1か月に一度ぐらいしか帰れないらしいけど、私のことが心配だからとその世界を作ったという人に頼んで2週間に一度帰れるようにしてもらったそうだ。
ただ、2週間に一度帰ってくるといっても、いられるのは2日ほどだけど。
前の日の晩、私はなかなか眠れなかった。
クラウドが帰ってくるのがうれしいからだろうか。
そんなことを考えていたら扉が開く音がしたのと同時にクラウドが入ってきた。
「お帰りなさい、クラウド」
「ただいま」
「今回はどのくらいいられるの?」
「ティファの誕生日の翌日までだ」
「いつもより少し長いのね」
「ティファの誕生日はちゃんと祝いたいからな」
「ありがとう」
しばらく話をした後、バレットとマリンが入ってきた。
「久しぶりだな、クラウド!」
「クラウド、おかえり!」
「ただいま」
「どうだ、あっちの世界は?」
「ああ、うまくやってる」
「クラウド、お友達できた?」
「・・・できたよ」
クラウドがこことは違う別の世界に行くと決まった際、バレットやティファといった仲間たちはクラウドがその世界にいる人たちとうまくやっていけるのかどうかを心配していた。
だが、クラウドの話を聞いている限り心配する必要はなさそうだった。
「他のみんなは?」
「明日には来てくれるわ」
「よし、さっそく準備するか」
「じゃあ私はマリンと外に行ってるね」
外に出たティファはマリンと遊びながら話をした。
「ティファ、すごくうれしそうだね」
「え?」
「だってクラウドが帰ってきたから」
「・・・そうね」
クラウドが“あっちの世界”に行ってから、ティファがさびしい思いをしていることはマリンにも分かっていた。
そしてマリンもティファ同様クラウドがいなくなってさびしいと思っている。
だから、クラウドが帰ってきた時はティファと同じようにうれしくなる。
「やっぱりクラウドがいないとさびしい?」
「うん」
「クラウドはいつまであっちの世界に行ってるの?」
「分からない」
「いつかずっと一緒にいられるようになるよね?」
「もちろん。あっちの世界でやることが終わったらずっと一緒よ」
その頃のクラウドとバレット
「ところでクラウド、いつまであっちの世界に行ってるんだ?」
「・・・分からない」
「分かってるだろうとは思うけど・・・ティファのやつ、お前がいなくなってからさびしそうにしてるんだ」
クラウドが帰ってくると、ティファは笑顔で「お帰りなさい」と言う。
そしてクラウドが再び“あっちの世界”に向かう時は「いってらっしゃい」と言って見送ってくれる。
ティファは笑って見送ってくれるが、本当はさびしい思いをしているだろうということはクラウドにも分かっていた。
だから、帰ってきた時はできるだけそばにいてやりたいと思う。
「俺だって、ティファと離れるのはさびしい。あっちの世界にいる時もティファのことを考えなかったことはない。それに、あっちの世界でやることが終われば、必ず帰るさ」
その日の晩、クラウドとティファは寝る準備をしながら話をした。
「バレットに言われたんだ。俺があっちの世界に行ってからティファがさびしそうにしてるって」
「・・・私もマリンに言われたわ。クラウドがいなくてさびしい?って。マリンだって本当はさびしいはずなのに、私に気をつかってるのね」
「すまない」
「どうして謝るの?」
「俺があっちの世界に行くことにならなかったら、ティファがさびしい思いをすることはなかったから」
「でも、クラウドはこうして帰ってきてくれるし、それにあっちの世界でやることが終わればずっと一緒にいられるでしょ?」
「ああ」
「だから私は大丈夫よ。マリンにはさびしい思いをさせるかもしれないけど・・・」
-5月3日 ティファの誕生日当日-
この日、仲間たちがやってきてティファの誕生日を盛大に祝った。
「ティファ、誕生日おめでとう!」
「ありがとう」
その後みんなで食事をしたり、いろいろと話をして誕生日会は大いに盛り上がった。
しばらくして仲間たちが帰った後、クラウドとティファは2人きりになった。
「改めて・・・ティファ、誕生日おめでとう」
「ありがとう」
「これは俺からのプレゼントだ」
そう言ってクラウドはティファに小さな箱を渡す。
ティファが箱を開けると、そこに入っていたのはティファが今しているものと同じ形のピアス。
だが、色は淡い水色をしていた。
「今行ってる世界で見つけたんだ。ティファなら絶対に似合うと思って」
「今つけてもいい?」
「ああ」
ティファは今つけているピアスを外し、もらったピアスをつける。
「どう?」
「すごく似合ってる」
その後しばらくの間、“2人の時間”を過ごした。
2日後、クラウドはティファに見送られて再びこことは違う別の世界へと向かう。
「それじゃあ、いってくる」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
正直、クラウドと離れているのはさびしい。
でも、大丈夫。
だってクラウドはちゃんと帰ってきてくれるし、それに・・・あっちの世界でやることが終われば私たちはずっと一緒だから。
The End
あとがき
ティファ誕生日記念小説。一応本編後の設定。
元の世界とは違う、他の世界に行っててもたまにティファのところに帰っていたらいいな・・・と思って書きました。
(わたしの中ではクラウドが行ってる他の世界=スマブラの世界なのですが、スマブラを知らない人でも読めるようにクラウドが行ってる世界がどこの世界なのかはここでは表記してません)
ティファ誕生日記念小説(スマブラ要素を含むものも含めて)を書くにあたって思い浮かんだのが「今は離れていても、2人なら大丈夫」というイメージでした。
そこから「離れていても大丈夫」という題名でスマブラ要素を含むものと含まないものを同時に書いていたのですが、クラウドのスマブラ参戦の影響が大きかったのかスマブラ要素を含むものが先にできてしまい、メインであるこっちの方が遅れてしまいました・・・
2016.5