「これで・・・・・・私も殺しますか?」
-突然、銃を突き出したラクス。


「な、なにを言うんですか?!」
「あなたがキラを憎むのでしたら、私も憎まれるはずですわ。あなたがキラを殺すと言うなら・・・・・・私も殺しますか?」


その後ラクスはシンに銃を渡した。
銃を渡されたものの、シンは戸惑っていた。
確かにシンはフリーダム-キラを憎んでいる。
だが・・・ステラを助けるよう言ってくれたこと、ステラをかばってくれたこと。
そのことがシンをためらわせていた。


「あなたは簡単に人を殺せるような人ではありませんわ。敵であるステラさんを助けられる、心の優しい方ですわ」
「俺は・・・俺は・・・・・・!」
銃を持つ手が震えていた。
そして、シンは無意識のうちに引き金を引いてしまった。


パーン!!
「危ない!」
ステラがラクスをかばったため、幸い弾はラクスに当たらなかった。


そして、銃声を聞いたキラとアスランが駆けつけた。
「一体なにがあったんだ!」
その場には、銃を持ったまま震えているシンとラクスをかばったステラがいた。
「まさかシン、ラクスを殺そうとしたのか?!」
「・・・・・・違う」
「じゃあ、どうしてこんなことに?」
「・・・・・・私が言ったのです。シンがキラを憎んでいるなら、私も憎まれて当然だと」
「それに・・・シンは自分の意思で撃ったんじゃない」
「分かった、ラクスやステラがそう言うなら僕はシンを信じるよ」
「だが・・・・・・!」
「私は怪我ひとつしていませんわ。ですから、シンを責めるのはやめてください」
「・・・・・・分かった」


その後、気を失ったシンを医務室に連れていき、ステラはシンのそばにいることにした。
そこにラクスがやってきた。
「ステラさん」
「ラクス、さん・・・」
「シンは大丈夫ですわ」
「・・・・・・私、なにもできなかった。シンの・・・そばにいたのに」


そしてステラの目から、涙が流れた。
「泣かないでください。あなたが泣いているとシンは悲しみますわ」
「悲しむ・・・・・・?」
「シンはあなたに笑っていてほしいと願っているはずです。ですから、今は笑えなくてもいつか心の底から笑えるように・・・」


ラクスが医務室を出た少し後、シンが目を覚ました。
「ステラ・・・・・・?」
「・・・大丈夫?」
「・・・・・・うん。ラクスさんは?」
「大丈夫・・・怪我はしてない。」
「・・・・・・ステラ」
「なに?」
「俺・・・少しだけ、分かったような気がする。」
「・・・・・・え?」
「憎んでる人を殺しても、結局はなにも変わらないんだってことが」
「じゃあ、もう憎まないの?」
「・・・・・・分からない。でも、前ほどの憎しみはない」
「よかった・・・」


そして、ステラの目から涙が流れた。
「ステラ・・・どうしたんだ?」
「シンが・・・人を憎んでるのは、辛いから・・・・・・」
「ステラ・・・・・・」
「シンは2年間、憎しみを持って生きてきた。でも今のシンは違う・・・憎しみを、平和への希望に変えた」
「ステラ・・・・・・!」


シンは起き上がると、ステラを抱きしめた。
「シン・・・?」
「俺がそうしていられるのは、ステラのおかげだから・・・ありがとう、ステラ」
「私、お礼を言われるようなことはなにもしてない。シンが自分自身で気づいたの」
そして2人はキスをした。


その後、キラたちは出撃した。
シンたちも戦闘に慣れ、いろんな状況に対応できるようになった。
だが、シンたちは気づいていなかった。
戦っている相手がフリーダム-キラを狙っていることに。


そのことに最初に気づいたのはアスランだった。
しかし、助けようにも目の前にいる相手が多すぎて助けに行くことができなかった。
「くそっ・・・!」


同じ頃、キラもその事実に気づいていた。
自分が狙われているのは、自分が最高のコーディネイターだから。
そしてキラは、もしかしたら自分が倒されてしまうのではないかという危機感を感じていた。
「(このままじゃ、ダメか・・・・・・?!)」


そして、まさにキラが攻撃されようとしたその時だった。
一発の光線が、相手のMSを撃ち抜いた。
そこにいたのは、フリーダムと同じ、青と白のMS。
「・・・・・・シン!」
そう、MSを撃ち抜いたのはシンのインパルスだった。


「・・・・・・こんなところで死んじゃダメだ。俺はまだ・・・あんたになにも言ってない!!」
「シン・・・」
「俺にステラがいるように、あんたにもラクスさんがいる。だから・・・こんなところで死ぬわけにはいかないんだ!」


その直後、2人の中にある“種”がはじけた。
そしてシンはようやく、キラを仲間と思えるようになった。
「シン、こっちだ!」
「分かった!」


-シンのキラに対する憎しみ。
それが消えた今、シンはキラを信じて戦うことができる。
そして・・・・・・ステラが言ったように、“憎しみ”を平和への“希望”に変えたのだ。


戦いが終わり、キラたちはミネルバに戻った。
「キラ・・・!」
ミネルバに来ていたラクスがキラの元に駆けつける。
「・・・・・・ラクス」
「無事でよかったですわ」
「ラクスこそ、無事でよかった」


「シン・・・!」
同じように戦闘を終えて帰ってきたステラがシンの元に駆けつける。
「ステラ・・・無事だったんだな」
「うん・・・シンも、無事でよかった」
「・・・・・・ステラこそ」


「どうやら、全員無事みたいだな」
パイロット全員の姿を確認したアスランが言った。
「アスランさん」
「どうしたんだ?」
「アスハ代表・・・カガリさんは?」
「アークエンジェルにいる。カガリもストライクルージュで戦いたいと言ったが、2年前と違って今はオーブの首長だ。首長である以上、そんなわけにはいかない。それはシンも分かるだろう」
「・・・・・・はい」


そしてシンはキラの方を向いた。
「今まですみませんでした。ひどいこと、言ったと思います」
「そのことならもういいよ。僕だって2年前、なんで僕をコーディネイターにしたのって両親に聞こうかと考えたことがある」
「両親は・・・ナチュラルなんですか?」
「そうだよ。でも、今の両親は本当の両親じゃない。本当の両親はもう死んでる。ただ、僕には双子の兄弟がいることが2年前に分かったんだ」
「双子の兄弟?」
「カガリのことだよ」
「・・・・・・カガリさんが?!」
「僕もカガリも、最初は信じられなかった。でも2年前、カガリがそれらしい写真を渡されたんだ」


そこでキラはシン、ステラとともにアークエンジェルに向かった。
「キラ!それに、シンとステラも・・・」
「カガリ、ウズミさんにもらった写真は持ってる?」
「あ、ああ。これか?」
そう言ってカガリはポケットから1枚の写真を取り出しシンに渡した。
写真に写っていたのは、2人の赤ん坊を抱く女性。
「この写真が、どうかしたんですか?」
「写真の裏を見て」


写真の裏には「キラ、カガリ」と書かれてあった。
「これが双子だってこととどう関係が?」
「その写真を渡された時、お父様に言われたんだ。私は1人じゃない、兄弟もいるって」
「それと、ある研究所にもその写真と同じものがあった。その研究所にあったのは人工子宮。僕はその唯一の成功例・・・つまり、たった1人の最高のコーディネイターなんだ。」
「最高の・・・・・・コーディネイター?!」
「僕とカガリは双子だけど、生まれ方は違う・・・信じがたい話ではあるけど、これは本当のことなんだ」


「あ、そうだ」
「どうしたの?」
「俺・・・カガリさんに、謝らなきゃ」
「私に?」
「俺の家族はアスハに殺された、なんて言ったから・・・本当に、すみませんでした」
「そのことなら、もう気にしなくてもいい。そんな考えの人がいてもおかしくないからな」


「・・・・・・それに、シンにはもう守りたい人がいる。僕がラクスを、アスランがカガリを守りたいと思うように」
「シンが・・・守りたい人?」
「ステラのことだよ」
「・・・私?」
「ステラに再会した時、話した時に思ったんだ。ステラを死なせたくない、守ってやりたいって」
「・・・・・・ありがとう、シン」


その言葉と同時に、ステラの目から涙が流れた。
「・・・・・・ステラ?!」
「ごめんね、シン・・・泣くつもり、なかったのに・・・・・・」
「泣いてもいいんだよ。泣くということは、ステラが生きている証だから」
「大丈夫だよ、ステラ。俺が全部、受け止めるから」
そして2人は抱き合った。
それを見たキラとカガリはこっそり部屋を後にした。


長きに渡る戦争が終わり、キラたちは平和な生活を送っていた。
「・・・・・・結局、シンはステラと暮らし始めたのね」
レイはルナマリアとともにプラントに戻り、一緒に暮らし始めた。
「ルナマリア」
「なに?」
「こんな時に言うのもなんだが・・・これからも、一緒にいてくれ」
「・・・・・・なによ、急に。そんなの当たり前じゃない。私はレイと一緒にいるのが一番だって思ってるんだから」


「・・・・・・言葉の意味は分かっているのか?」
「え?」
「今の言葉の意味は分かっているのか?遠回しに言ったつもりだったんだが・・・・・・」
「わ、分かってるわよ。でも遠回しじゃない。プロポーズの言葉だって、すぐに分かったし」
「そうか・・・・・・それで、返事はどうなんだ?」


「・・・・・・決まってるじゃない。答えは・・・・・・」
そしてルナマリアはレイの耳元でなにかをささやいた。
「言っとくけど、もう言わないわよ。恥ずかしいから・・・・・・」


カガリはオーブに戻り、再び政治の世界に入った。
そして世界中を飛び回っている。
もちろん、そばにはアスランがいる。
あれから2人は結婚し、身体的にも精神的にも支え合っていた。


「・・・・・・だいぶ疲れてるみたいだな」
「仕方がないさ、平和になったとはいえやらなきゃならないことはたくさんあるからな」
「・・・・・・確かに、そうだな」


「アスラン」
「ん?」
「こんな私を支えてくれて・・・・・・ありがとう」
「急にどうしたんだ?」
「あ、いや、その・・・私1人じゃ、ここまではできなかったと思うから」
「そんなことはないさ。カガリだからこそ、今のオーブがあるんじゃないのか?」
「そうだとしても、私はアスランのおかげだって思ってる」


そう言ってカガリは左手を差し出した。
その薬指には、アスランが渡した指輪がはまっている。
そして2人は思わず笑ってしまった。


「キラ、お茶が入りましたわ」
「ありがとう」


キラとラクスもオーブに戻り、一緒に暮らしていた。
そしてキラとラクスも結婚し、ラクスの左手薬指にはキラが渡した指輪がはまっていた。


「あ、言い忘れてましたわ」
「どうしたの?」
「つい先程、シンから手紙が届いていましたわ」
「シンから?」


2人はシンからの手紙を一緒に読んだ。
「シンとステラはオーブで暮らすことに決めたんだね」
「家族を失った悲しみを乗り越えたのですね」


戦争が終わった後、シンはキラ、ステラとともに家族の墓を訪れていた。
「本当に・・・・・・申し訳ありませんでした」
「そんな、キラさんが謝る必要ないですよ。悪かったのは当時の地球軍なんですから」


この時、シンはようやく自分の家族を殺したのがキラではなかったことを知った。
それと同時に、シンの家族を殺したのは地球軍のMSだということも判明した。


その事実を知ったシンはキラに何度も謝った。
「本当に、すみませんでした!」
「もういいよ、シン。僕は気にしてないから」
「でも・・・」
「僕だってたくさんの人を殺した。親友をアスランに殺された。そのことでアスランを憎んだこともあった。僕だってアスランの仲間を殺した。そのことで、きっとアスランに憎まれてる。なのに、一緒に戦うことになった時・・・・・・そのことについては、お互いなにも言わなかったんだ。シンも同じだよね?」
「俺も・・・同じ?」
「ステラはかつてシンの敵だった。一度会ったことも知らずに戦ってた。でもシンはステラを殺さなかった。それはどうして?」
「・・・・・・俺、ステラが死んだら、きっと辛いと思う。だから、ステラを死なせたくない・・・守ってやりたいって思ったんだ」
「私も・・・シンを死なせたくない、って思った。私が今の私でいられるのは、シンのおかげだから・・・」


その後、3人は墓前に手を合わせた。
「父さん、母さん、マユ・・・俺、もうオーブを憎んでない。だから、父さんも母さんもマユもオーブを憎まないでほしいんだ、それに・・・・・・俺には守りたい人がいる。ステラって言うんだ」
「は、初めまして・・・」
ステラは軽くおじぎをする。
「だから、これからは父さんや母さん、マユの分まで生きるし、ステラと一緒に生きていく」


その後シンはかつて自分が住んでいた家があった場所で暮らすことを決めた。
幸い、そこにはすでに家が建っていて、しかもまだ誰も住んでいなかった。
そしてシンとステラはその家に住むことにした。


「・・・・・・それに僕たちだって。プラントでラクスを名乗ってた、ミーアって子。戦争が終わる前、

僕たちは偶然あの子に会った」
「そうでしたわね」


-キラとラクスはふとしたことからミーアに出会っていた。
「あなた、まさか・・・ラクス、さん?」
「はい。あなただったのですね、プラントで私の代わりに平和の歌を歌っていたのは」
「・・・・・・はい」
「平和の歌を歌ってくださって、ありがとうございます」
「あたし、そんなことを言われる立場じゃない。だって・・・あなたのこと、殺そうとしたから・・・・・・」
「私は今後もプラントに戻るつもりはありません。ですから、私の代わりにプラントで歌を歌い続けてく

ださい」
「・・・・・・ありがとうございます」


「もしラクスが生きてる、オーブにいると分かればきっとプラントに戻るように言われると思う。でも、ラクスは戻るつもりはなかった。それはどうして?」
「それは・・・キラのそばを、離れたくありませんでしたから・・・・・・」
「僕も、ラクスを離したくない。だから、これからもずっとそばにいて」
「はい」


シンは本を読みながらふと考えた。
「(そろそろ、晩ご飯の買い物に行こうかな・・・・・・)」


シンは立ち上がり、熱帯魚を見ているステラに声をかけた。
「ステラ」
「なに?」
「晩ご飯の買い物に行ってくるよ。すぐに戻るから」


そう言ってシンが部屋を出ようとしたその時だった。
「・・・・・・ないで・・・・・・」
「え?」
「私を・・・1人に、しないで・・・・・・」
「ステラ・・・・・・?」
「1人は・・・もう、嫌だから・・・・・・」
「・・・・・・ごめん、ステラ。じゃあ一緒に行こう」
「うん」


2人は手をつなぎ、買い物に出かけた。
「ステラはなにが食べたい?」
「え?」
「晩ご飯、なにが食べたい?」
「・・・・・・シンが作るものなら、なんでもいい」
「なんでもか・・・そう言われると困るな・・・・・・」
「シンの料理、おいしいから・・・・・・」
「それじゃあ、とびきりうまいの、作ってやるからな」
「うん」


買い物を終えた後、ステラはシンの腕をつかんだ。
「シン・・・」
「どうしたんだ?」
「キス・・・して」
「ここで?」
「・・・うん」
「いきなりどうしたんだ?」
「シンに触れて・・・私は生きてる、って感じたいから」
「分かった」


そして2人はキスをした。
長い、長いキス。


キスが終わると、シンはステラの手を取りこう言った。
「行こうか」
「・・・・・・うん」
2人はそのまま手をつなぎ、来た道を戻っていった。


「どう?」
作った料理を前に、シンが不安そうに聞く。
「・・・・・・おいしい」
「よかったぁー・・・」

ステラにおいしいと言われて、シンは胸をなでおろす。
「なんで・・・そんな顔、するの?」
「不安だからかな」
「不安・・・?」
「おいしいって言ってもらえないと不安ってわけじゃないけど、やっぱり作るからにはおいしいって言ってもらいたいからさ」
「そう、なの?」
「うーん・・・まあ、俺としてはステラにおいしいものを食べさせてやりたいから、かな」
「・・・・・・ありがとう」
「こんな料理でよければ、いくらでも作るから」
「うん」

「でも・・・」
「ん?」
「こんな料理なんて、言わないで」
「え?」
「私はシンも、シンの作る料理も好きだから・・・」
「・・・・・・ありがとう」


その赤い瞳は、かつて憎しみを宿していた。
だが、今はそうではない。
愛する人に出会い、平和への希望を願い、戦ってきた。


そして平和になった今、シンはステラとともに生きていくことを決めた。
もう二度と、戦争が起こらないことを願いながら。


           The End


あとがき
4話だけが異常に長くなってしまいましたね・・・・・・ 汗
なんとなくキララク、アスカガ、シンステ、レイルナ的な話を書いてみたかったのです。
で、この小説においてラクスを暗殺しようと企んでいたのはミーア、という設定になっています。
しかしミーアの性格がいまいちつかめていません 苦笑
今度出す時は、もう少し努力します・・・・・・


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