-アレクサンドリア城-
レイアスは自分の部屋で悩んでいた。
「う~ん、どうするか・・・」
実は1週間前、レイアスの友人セイルがレイアスの家族に会ってみたいと言い出したのだ。
まさかアレクサンドリア国王のジタンと女王のガーネットが両親であると言えるはずもなく、それで悩んでいたのだった。
そこで翌日、レイアスは唯一彼の秘密を知るルミカに相談することにした。
「セイルがレイアスの両親に会ってみたい?」
「そうなんだよ。それでどうしようって思ってさ。まさかアレクサンドリアの国王夫婦がオレの両親なんて言えるはずがないだろ?」
「そうね・・・でもいずれは話すつもりなんでしょ?」
「ああ。でも、今話すべきなのかを悩んでるんだ」
「国王と女王には相談してみたの?」
「いや、まだだけど」
「私より先に2人に相談しなきゃダメじゃない!」
「・・・そうだよな」
アイシャもまた、アレクサンドリア城内にある自分の部屋で悩んでいた。
「どうしよう・・・・・・」
アイシャは幼なじみであるロドリーが好きである。
そして今度ジタンの仲間たちがリンドブルムで集まる時にそれを言うつもりでいた。
しかし、それを言う勇気がアイシャにはなかったのだった。
そこでアイシャは母であるベアトリクスに相談してみることにした。
「アイシャ、どうかしたの?」
「お母さん、実は私・・・・・・好きな人がいるの」
「好きな人?」
「うん。実は・・・・・・ロドリーが好きなの」
「ロドリーが?」
「ダメなのかな?」
「そんなことはないわ。私とスタイナーの娘であるアイシャとサラマンダーとフライヤの息子であるロドリーが恋人になってはいけない、って決まりはないのだから」
「お母さん・・・」
「アイシャ、自分に自信を持ちなさい。例え思いが伝わらなくても、言うことに価値があるのだから」
「ありがとう、お母さん」
そしてアイシャは自分の部屋に戻った。
「私・・・・・・頑張れるよね。ちゃんと伝えられるよね」
アイシャが部屋に戻った後、ベアトリクスの元にスタイナーが来た。
「ベアトリクス、どうしたのだ?」
「アイシャの相談を聞いていたのよ。ロドリーが好きだって」
「アイシャがロドリーを?!」
「あらスタイナー、いけないと言うのですか?アイシャだっていずれは誰かに恋をするのですよ?」
「それはそうなのだが・・・・・・」
「私たちはただ見守っているしかありませんよ」
同じ頃、ブルメシアにあるロドリーの家で、ロドリーは考え事をしていた。
「やっぱり、そろそろ言わなきゃダメだよな・・・・・・」
ロドリーもまた、幼なじみのアイシャが好きである。
今度ジタンの仲間たちが集まる時にそれを伝えるつもりでいるのだが、その勇気がロドリーにもなかったのだった。
「でも・・・もしアイシャに恋人ができたら・・・・・・そ、それは困るな」
そこに妹のメリィがやってきた。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「・・・・・・メリィか。お前、もし俺とアイシャが付き合うことになったらどうする?」
「お兄ちゃんとアイシャお姉ちゃんが?あたしは別にいいよ。お母さんだって、反対はしないと思う」
「そうだよな、父さんはそういうことに興味がなさそうだしな・・・ベアトリクスさんも反対はしないだろうし・・・・・・問題はスタイナーさんか」
そしてレイアスはついにジタンとガーネットに相談をすることにした。
「あのさ、話があるんだけど」
「どうしたんだ?」
「オレの友達でセイルって言うんだけどさ、セイルが父さんたちに会いたいって言ったんだ。でも、それはオレが王子だってことをばらすのと同じことだから、それで・・・・・・」
「でも、レイアスはいずれそのことを話すつもりでいたんでしょ?だったら今話しても、後で話しても同じことよ」
「それに、もうルミカちゃんにはばれてるじゃないか」
「それは・・・」
「じゃあ1週間後に連れてきて。ルミカちゃんも連れてくれば問題はないと思うわ」
「・・・・・・分かった」
翌日、レイアスはセイルに1週間後にアレクサンドリア城に来るように伝えた。
「分かった、来週にアレクサンドリア城だな?」
「城の前で待ってるよ。オレの母さん、きれいだからびっくりするぜ」
「へぇ~、早く会ってみたいな」
「楽しみにしてろよな」
そしてレイアスはルミカにもこのことを話した。
「私も行っていいの?」
「当たり前だろ?それにルミカが来ないと話がややこしくなるかもしれないからさ」
「うん、分かった」
「なるべくセイルと一緒に来てくれ」
1週間後、ルミカとセイルはアレクサンドリア城へ向かう船着場にいた。
少しして、船着場に1隻の小舟がやってきた。
そこにはレイアスが乗っていた。
「おっす!」
「よく来たな、2人とも。この船に乗ってくれよ」
ルミカとセイルは小舟に乗り込んだ。
「じゃあ、城まで頼むぜ」
「分かりました」
5分ほどして、小舟はアレクサンドリア城に着いた。
「2人とも、ここで少し待っててくれ。両親を連れてくるからさ」
そう言ってレイアスは城の中に入っていった。
城に入ったレイアスは自分の部屋に向かい、正装に着替え始めた。
そして幼稚園から帰っていた妹のセリカにも正装に着替えるように言った。
「どうして?」
「オレが王子だってことをばらそうと思ってさ!」
「いいの?今までずっと隠してきたのに」
「もういいんだ。それにルミカにはもうばれてるしな」
その後、正装に着替えたレイアスは両親の部屋に向かった。
ジタンもガーネットもすでに正装に着替えていた。
「父さん、母さん、ルミカとセイルが来たよ」
「そう。セリカは?セリカはちゃんと着替えているの?」
「ああ、もうそろそろ出てくると思うよ」
「じゃあ、オレたちも行くか」
レイアスを待っているルミカとセイルの前にドレスを着た女性としっぽの生えた男性が現れた。
「あ、あ、あ・・・・・・アレクサンドリア国王と女王?!」
「こんにちは」
「あの、レイアスはまだですか?」
「もうそろそろ出てくると思うけど」
「・・・・・・?」
とその時、城からレイアスとセリカが現れた。2人とも正装である。
「よ、待たせたな!」
「・・・・・・レイアス?!こりゃどういうことだ?!」
「今まで黙ってたんだけどさ、オレはレイアス・トライバルじゃない。オレの本当の名前はレイアス・リザ・アレクサンドロス18世。このアレクサンドリアの王子なんだ」
「アレクサンドリアの王子?!あのレイアス王子は、レイアスだったのか?!に、似てるとは思ってたけど、まさかレイアス王子が、オレの知ってるレイアスだったなんてさ!ル、ルミカは知ってたのか?!」
「うん。でも、レイアスに他の人には黙っててくれって言われたからずっと黙ってたのよ」
「それから、隣にいるのがオレの妹でセリカ・ネル・アレクサンドロス19世。幼稚園に行ってるんだけど、幼稚園ではオレみたいにセリカ・トライバルって名乗ってるんだ」
「お前、偽名なんか使ってたのか?」
「偽名っていうか・・・トライバルは父さんの旧姓だよ。父さんの昔の名前はジタン・トライバル。ほら、昔リンドブルムで有名な劇団、タンタラス団があっただろ?父さんはそのタンタラス団に所属してた。でも、タンタラス団の本当の姿は盗賊団なんだ。父さんはある作戦でアレクサンドリアに向かった際に母さんに会った。それがこの世界を救うための旅になったわけだ」
「なんつーか、お前・・・学校じゃ普通の人と全然変わらないから王子には見えなかったぜ」
「そりゃあ、オレには元は一般人だった父さんの血が流れてるからな。それにセイル、オレにはしっぽが生えてるんだ。そこからオレが王子だって気づかなかったのか?オレがレイアス王子と同じ名前で、しかも同じようにしっぽが生えてる。ルミカはそこからオレがレイアス王子だって気づいたんだよ」
「私はセイルと違って鈍くないもん」
「なんだと?!」
「レイアス、こんなところでいつまでも話をしていないで広間に行きましょう」
「あ、そうだな」
「さ、おいしい料理が待ってるぜ。それからレイアス、料理はクイナが作ってくれたんだ」
「クイナが?!そりゃあ楽しみだぜ!」
「クイナ?誰だそりゃ?」
「両親の冒険仲間だよ。料理がうまいんだ」
「へぇ~」
そして一同は広間に行った。
広間にはたくさんの料理が並んでいた。
「クイナ!久しぶりだな!」
「レイアスも元気そうアルな!」
「へへっ、まあな!」
「そこにいるのがレイアスの友達アルか?」
「ああ、ルミカとセイルだ。ルミカは前にも会っただろ?」
「そうだったアルな」
一同は食事を食べる。
「レイアス、お前いつもこんなうまいもん食べてたのか?」
「いや、クイナがアレクサンドリアに来るのは週に3回。後の3日はリンドブルム城で料理人をしてて、1週間に1日は休みをもらって世界中のうまいもんを食べまわってるんだ」
「リンドブルムでも働いてるのか」
「それでセイル、オレがアレクサンドリアの王子だってことは・・・」
「秘密にしときゃいいんだろ?」
「いや、みんなにはもう話すつもりでいたんだ。ルミカにばれた時点でみんなには話すつもりだったから、ちょうどよかったんだ。まあ、もう少し隠しててもよかったんだけどさ」
「みんなきっと驚くわよ。だって、学校でのレイアスはとてもじゃないけど王子には見えないもん」
「オレの性格は父さん譲りだからな」
それから2週間後、ジタンとその仲間たちがリンドブルム城に集まった。
実はこの集まり、エーコの結婚祝いのパーティーも兼ねているのだ。
「エーコお姉ちゃん、結婚おめでとう!」
「・・・・・・ありがと」
「これ、私と両親からのお祝いです」
アイシャがエーコになにかを渡した。
それはサファイアのペンダントだった。
サファイアはエーコがジタンたちと初めて会った時にエーコが持っていた宝石だった。
そのことを両親から聞いたアイシャはエーコにサファイアのペンダントをプレゼントしようと考えたのだ。
「これはわたしとジタン、それにレイアスとセリカからのお祝いよ」
ガーネットがエーコに紙袋を渡した。
紙袋の中にはドレスが入っていた。
「うわ~、きれいなドレス」
「エーコ、これは私とサラマンダー、それにロドリーとメリィからの祝いじゃ」
フライヤがエーコに渡したのは木でできたオルゴールだった。
「すご~い!これ、どうしたの?」
「デザインは私とメリィで考えて、サラマンダーとロドリーで作ったのじゃ」
「けっこう苦労したがな」
その後アイシャはロドリーにこっそり声をかけた。
「・・・・・・ロドリー、話があるんだけど、いい?」
「ああ、ちょうど俺もお前に話があったんだ」
2人は城を出て劇場街に向かった。
「なんだよ、話って」
「・・・・・・ロドリーが先に言ってよ」
「実は俺・・・好きな人がいるんだ」
「好きな人?」
「そいつは俺のすぐ近くにいる奴でさ、気は強いけどいつも目標に向かって頑張ってるんだ。そんな彼女を俺は好きになった」
「実は私にも好きな人がいるの」
「アイシャも?」
「その子は私のすぐ近くにいる人で、昔はそうでもなかったけど、今はかっこいいって思ってる」
「そんな奴、アイシャの近くにいたっけ?」
「分からないの?ロドリーのことよ」
「・・・俺?」
「私、昔からずっとロドリーが好きだったの」
「・・・・・・まさか先に言われるなんてな」
「え?」
「俺も、昔からアイシャが好きだった。いや、もちろん今も好きだけどさ」
「ロドリー・・・・・・」
そして2人は抱き合い、キスをした。
レイアスは気づいていた。
アイシャとロドリーが実は両思いであることを。
以前ジタンとガーネットからその話を聞いたからというわけではなくレイアス自身が気づいたのだが。
そしてその翌日、レイアスはクラスメートに自分がアレクサンドリアの王子であることを話した。
それを聞いたクラスメートたちが驚いたのは、言うまでもない。
FF9キャラクター(レイアスたちの場合) End