ここはアレクサンドリア城下町にある小学校。
「おっす、みんな!」
1人の少年が教室に入ってきた。
「おう、レイアス!」
「なあレイアス、宿題やってきたか?」
「ああ、もちろんやってきたぜ」
「でも、お前の家族ってアレクサンドリア城に住み込みで働いてるんだろ?あんな城の中でよく勉強できるよな」
「ま、まあな」


オレの名前はレイアス・トライバル。
このアレクサンドリア城下町にある小学校に通ってるんだ。
オレの特徴はしっぽが生えてることかな?これは父さんに似たんだな、きっと。
学校の奴らは誰も知らないけど、実はオレ、アレクサンドリアの王子レイアス・リザ・アレクサンドロス18世なんだ。
なんでオレが庶民の学校に通ってるのかというと、オレの両親が「たくさんの世界を知ってほしいから」って考えを持ってるからさ。
ま、とにかくオレがアレクサンドリアの王子だってバレないように学校に行く時は父さんの姓を名乗ってるわけさ。
「あ、おはようレイアス」
「おっす、ルミカ!」
ルミカ・バーディ。
レイアスのクラスのクラス委員長で、みんなのアイドル的存在でもある。
そして――レイアスの秘密を知っている唯一の人物。
「レイアス、ちょっと来てくれる?」
「ああ、いいぜ」
レイアスとルミカは校門に向かった。
「なあ、どうしたんだ?」
「ねえ、リンドブルムの中学校にすごい女剣士がいるらしいの。知らない?確か名前は・・・アイシャ・スタイナーとか言ったかな?」
「それ、父さんの家来の娘だぜ」
「うそ!」
「本当だよ。オレも昔よく一緒に近くの草原なんかに冒険に出かけたりしたからな」
「冒険?あのアイシャさんが?」
「ああ。父さんも母さんも、「アイシャのおてんばなところはどちらにも似てない」ってよく言ってた。

今はだいぶ落ち着いたみたいだけどな」
「そりゃあ、アイシャさんはもう中学生なんだもの。当然でしょ?」
「ルミカ、今度の日曜日、開いてるか?」
「うん、開いてるけど。それがどうかしたの?」
「今度みんなが城に来ることになってるんだ。もちろんアイシャも来るぜ」
「え?行ってもいいの?」
「ルミカなら多分大丈夫だと思うぜ」
「やったぁ~!!ありがとうレイアス、楽しみにしてるね」
「ただし、このことは他の奴には内緒にしといてくれよな」
「分かってる」


リンドブルムの中学校で、1人の少女が教室を出て校庭に向かおうとしている。
彼女の背中には、少し大きめの剣がしょってある。
これはかつて彼女の父親であるアデルバート・スタイナーが使っていた剣だ。
「アイシャ!」
剣をしょった少女―アイシャ・スタイナーに1人の少年が声をかけた。
「なーんだ、ロドリーかあ」
アイシャに声をかけたのは、ロドリー・コーラル。
ジタンの冒険仲間だったサラマンダーとフライヤの息子で、中学2年生。赤い髪の毛が特徴だ。
「なんだとはなんだよ。また剣の修行か?」
「そうよ、悪い?ロドリーこそ修行なの?」
「ああ。父さんや母さんみたいに強くなりたいからな」
「それは私だって同じよ。アレクサンドリア国王と女王に最も信頼されている両親のようになりたいと思うのは当然のことでしょ?」
「・・・・・・まあな」
アイシャは中学に入学したばかりだが、両親譲りの強さと母親譲りのきれいな髪で今や学校でアイシャの名を知らない人はいないほどの人気者だ。
アイシャとロドリーは休み時間や放課後を利用して剣と格闘の修行をしている。
両親の血をしっかりと受け継いでいるのか、2人ともかなりの強さだ。
「ふう・・・」
「アイシャ、お前だいぶ強くなったな」
「そう?私の目標はお母さんが持ってる剣を扱えるぐらい強くなりたいんだ」
「ああ、あの剣か」
アイシャの母親・ベアトリクスが持っている剣、セイブ・ザ・クイーン。
アイシャは未熟なのか、まだその剣を扱うことはできない。
だが修行して強くなればいつか扱えるようになることを信じてアイシャはひたすら剣の修行を続けている。
ロドリーも、父・サラマンダーのような格闘家になることを目標にしている。
「いつか大人になったら、あの剣を持ってたくさんの人を守っていきたいんだ。もちろん、1番守らなきゃいけないのはレイアスとセリカなんだけどね」
セリカ―セリカ・ネル・アレクサンドロス19世はレイアスの妹で、アレクサンドリア城下町にある幼稚園に通っている。
もちろん幼稚園に行く時はセリカ・トライバルと名乗っている。
「そりゃあ、お前の両親はアレクサンドリア国王と女王の1番の家来だからな」
「あ、ロドリー。今度の日曜日、暇?」
「暇だけどどうかしたのか?」
「アレクサンドリアに行くことになってるのよ。国王様と女王様がぜひロドリーたちにも来てほしいって」
「分かった、父さんたちには帰ったら伝えるよ」
「よろしくね」


-ブルメシア-
1人の少女がブルメシアにできた小学校から家に帰ってきた。
少女の名はメリィ・コーラル。
「ただいま!」
「おお、お帰り」
「お兄ちゃんは?」
「ロドリーならまだ帰ってきておらぬぞ」
「また修行?」
「多分そうじゃろ。あやつは父親を目標にしておるからな」
そして夕方、ロドリーが帰ってきた。
「ただいま」
「お帰りなさい!」
「父さんは?」
「まだ帰ってきておらぬが・・・どうかしたのか?」
「アイシャからの伝言で、今度の日曜日にアレクサンドリアに来てほしいって言われたんだ」
「アレクサンドリア?それはまたなぜじゃ?」
「国王と女王がぜひ来てくれって言ったらしいんだ」
「そういうことか・・・・・・ジタンの奴が考えそうなことじゃな」
「お母さん、行くの?」
「そうじゃな・・・久々に行ってもいいじゃろ」
「やったぁ~!!」
「明日アイシャに行くって伝えとくよ」
「そうしてくれぬか?父さんには私から話しておく。メリィ、食事の準備をするぞ」
「はーい!」


―アレクサンドリア城―
レイアスはセリカの部屋のドアをノックした。
「セリカ、いるか?」
ガチャ
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
「お前、アイシャたちに会うの楽しみか?」
「うん。そう言えばアイシャお姉ちゃん、中学生になったんだよね?」
「ああ、そうだぜ」
「メリィも小学校に通ってるし・・・なんだかわたしだけ置いていかれたみたい」
「そんなことないって!セリカも来年には小学生になるんだぜ」
「そうだよね」
「そうだ、父さんたちに話しとかなきゃ」
「なにを?」
「ルミカがアイシャに会いたいんだって。だから今度の日曜日に城に来てもらおうと思ってさ」
「ふ~ん・・・」
レイアスは両親の部屋に向かった。
「あらレイアス、どうしたの?」
「今度の日曜日のことなんだけど・・・・・・」
「今度の日曜日が、どうかしたのか?」
「実は・・・ルミカがアイシャに会いたいって言ってるんだけどさ、呼んでもいいかな?」
「ルミカちゃんがアイシャに?ええ、かまわないわ」
「ルミカちゃん、喜ぶぞ」
「ま、学校の奴らにはバレないようにしないとダメだけどな・・・」
「そうね」
「今までずっと王子だってことを隠し続けてきたからな」
「ルミカになんとかこっそり来てもらう方法を考えないとな」


―日曜日―
アレクサンドリア城に大きな袋の入った箱が運ばれてきた。
門の前でスタイナーとベアトリクスが箱を受け取った。
「ご苦労である!」
「後は私たちに任せてください」
「分かりました!」
箱を運んできた兵士が去るとベアトリクスが袋の口を開いた。
そこに入っていたのは・・・・・・?
「ふぅ~、苦しかった!」
「ルミカ殿、よく来たのである!」
「さあ、こちらへどうぞ」
そう、袋の中に入っていたのはルミカだったのだ。
誰にも見つかる事なく城に入るため、袋の中に隠れていたのである。
スタイナーとベアトリクスの案内で城の広間に行くと、正装したレイアスとセリカの他にロドリー、メリィ、アイシャ、そしてそれぞれの両親がいた。
「ルミカ、よく来たな!」
「レイアスもこういう格好してると王子様って感じだね」
「ほんと、ルミカさんの言う通りね」
「おい、セリカ・・・」
「あらレイアス、ガールフレンドなんか連れてきちゃって」
「あの・・・・・・アイシャ・スタイナーさんですか?」
「ええ、そうだけど」
「初めまして、私、ルミカ・バーディと言います。以前リンドブルムに行った時にあなたの剣技を見てからずっと憧れてたんです」
「私の剣技を?やだ、恥ずかしいなぁ~。あんなのうちの両親に比べたらまだまだだよ」
「そうそう、お前の両親はかなり強いからな」
「もう、ロドリー!」
「ロドリーって・・・もしかして、ロドリー・コーラル?」
「ああ、そうだぜ。ルミカ、ロドリーのことも知ってるのか?」
「当たり前よ!ロドリー・コーラルって言ったら毎年リンドブルムで行われる格闘技大会で常に上位についてるんだから!私の親が格闘技好きで毎年見に行ってるから知ってるの」
「ルミカちゃんだったかな?ルミカちゃんは俺の父さんのことも知ってるのか?」
「ええ、知ってます」
「ルミカ、アイシャもロドリーも両親を目標にしてるんだ」
「そうだよね、2人とも偉大な両親を持ってるもんね。私も頑張らなくちゃ」
「レイアス、セリカ、アイシャ、ロドリー、エーコが来たぞ」
ジタンがレイアスたちを呼ぶ。
「あ、エーコお姉ちゃん!」
「あらアイシャ、ずいぶんきれいになったのね~。ロドリーもすっかりかっこよくなって」
「ねえレイアス、あの人・・・・・・もしかしてリンドブルムの王女様?」
「お前、そんなことまで知ってるんだな。でもこれは知らないだろ」
「なにを?」
「エーコお姉ちゃんは、リンドブルム国王の本当の娘じゃないんだ」
「そうなの?」
「ああ。お姉ちゃんが6歳の頃に引き取られたんだ。お姉ちゃんは元々マダイン・サリってところに住んでたんだよ」
「へえ~、そうなんだ。そう言えば、角が生えてるし・・・」
「レイアス、その子、誰?まさかレイアスの彼女?」
「いえ、クラスメートです。あ、私はルミカ・バーディって言います」
「レイアス、迷惑かけてない?」
「いえ、レイアスはクラスでも結構人気あるんですよ」
「へえ~、レイアスもやるじゃない」
「そういやお姉ちゃん、結婚するらしいな」
「結婚じゃなくて婚約!実は少しジタンに似てるのよ」
「エーコお姉ちゃん、父さんのこと好きだったもんな」
「昔の話はもういいの!」


レイアスとルミカは城の庭に出た。
「ねえレイアス、いつまで王子だってことを隠してるつもりなの?」
「さあ・・・分からない。けどいずれは話さなきゃならないだろうな。学校の奴らの驚く顔が見てみたいぜ」
「きっとびっくりすると思うよ。だって、学校でのレイアス・・・とてもじゃないけど王子には見えないもん」
「この性格は父さん譲りだからな。父さん、元は一般人だったんだし」
「そうだね」
一方、アイシャとロドリーもベランダで話をしていた。
「ロドリーって意外とモテるのね」
「え?」
「ルミカちゃんだっけ?あの子、ロドリーのこと知ってたみたいだし。それに・・・バレンタインのチョコレートだってすごい数じゃない」
「あのな、俺はちゃんといるよ」
「なにが?」
「・・・・・・好きな奴」
「へえ~、好きな人いるんだ。誰?」
「お前は知らなくてもいいんだよ」
「なんでよ?私はあんたの幼なじみなのよ。知りたいって思うのは当然でしょ?(だって私・・・・・・ロドリーのことがずっと前から気になって仕方ないんだもん)」
「(言えるわけないだろ・・・俺が好きなのは、今目の前にいるアイシャなんだから・・・・・・)ま、いずれ話すよ」
「ほんと?」
「ああ、約束だ」
「約束だからね!」
アイシャとロドリーは指切りをした。

メリィとセリカはその年の子供にふさわしくないと思われる話をしていた。
「セリカちゃん、私ね、お兄ちゃんはアイシャさんのことが好きだと思ってるんだけど・・・どう思う?」
「私もそう思う」
「やっぱりお前らもそう思うか?」
2人の話にジタンたちが割り込んできた。
「お父さんたちもそう思うの?」
「そうね・・・わたしはアイシャちゃんもロドリー君のことが好きなんじゃないかって思っているわ」
「女王様、それは本当であるか?!」
「スタイナー、落ち着いてください」
「おい、興奮しすぎだぞ。そう思っているだけだと言ってるじゃないか・・・・・・」
「確かに、ロドリーはチョコレートをよくもらっているがほとんど手をつけておらん。ただ、アイシャがくれた分だけはちゃんと食べておるようじゃ」


アイシャがロドリーに抱いている気持ち、そしてロドリーがアイシャに抱いている気持ち。
それは、好きという名の感情。
ただ、それを伝えるのはまだ先の話になりそうです。
レイアスやセリカ、そしてメリィもいずれ、恋をするだろう。
それがいつになるのかは分からないけれど。


                        第3章 End


あとがき
FF9メンバーの子供たちの話です。
いやあ、とっつぁん(スタイナー)の娘とサラ兄貴(サラマンダー)の息子が実は両思いだったとは・・・
最初はオリジナルキャラとの恋愛話にするつもりだったのですが、こんなのもありかな?と思い書いてみました。
ジタンとガーネットの息子レイアスもいずれ恋をするのでしょうな。今後の展開が楽しみですな。
次はユーリを中心としたFF10メンバーの子供たちの話です。


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