昨日は、この映画を観てきました。
 
映画「碁盤斬り」
古典落語を題材に、加藤正人氏が小説化した。
「碁盤斬り 柳田格之進異聞」加藤正人著
監督:白石和彌
脚本:加藤正人
出演:草彅剛 清原果耶 中川大志 市村正親
斎藤工 小泉今日子 國村隼人ほか
 

 
 
なんか、すごくいいものを観たという気分です。
 
この時代の「復讐を遂げる」とか価値観とか、よく分かりません。
だから、そりゃ違うだろと思う点もあるのですが、その時代に生きる人たちの側に立ってみれば、そういうことかと、いたく共感できる部分もあり。
 
いわれのないことで罪をかぶせられ、武士として生きる道を絶たれた男と娘の、覚悟の上の復讐。
娘が犠牲になって成り立つ、その行いを、今の私たちなら間違っているよと言える。
妻が、その男のせいで入水することになったと分かっても、今、生きている娘の犠牲の上に成り立つ正義なんてない!と言い切れる。
 
彼、柳田格之進(草彅)は、武士として清廉潔白に生きてきた。
誰に何と言われようと、正しく生きることが彼の生きる道だった。
その父を支えてきたのが娘のお絹(清原)。
父の生き方が、そのまま娘の生き方になっている。
 
江戸の貧乏長屋で暮らす父と娘は、その日に食べるものも満足に得られないような生活をしていた。
格之進は目利きであり、故郷の彦根藩にいたころ、お殿様に信頼の厚い男であった。
しかし、ある男(斉藤)の企みにより藩を追われてしまう。
あることが切っ掛けで、江戸の商人、萬屋源兵衛(國村)に気に入られ趣味の囲碁の相手をして暮らしていた。
そこで起きた「事件」。
一気に、格之進の復讐劇が始まる。
 
清廉潔白であることは、果たして正義であろうか。
右から見たら、それは正義。
でも左から見たら、それは間違いだということはないだろうか。
自分の主義のために巻き込まれる人がいたとしたら?
復讐を遂げる、その場所で、巻き込まれて絶命する人がいたら?
それは「正義」というのだろうか。
と、深読みしてしまった。
今、この世界で起きている戦いも、そういうことではないのか?
 
しかし、その時代、武士として誇り高く生きていた人たちがいる。
それは、何よりも清いことであったのだと思う。
 
映像が美しく、何よりも音楽が素晴らしい。
映画は2時間くらいだけど、ほぼ半分くらいは、穏やかに流れていく日常。
囲碁を通して人と人が心を通い合わせていく日常。
私は、囲碁が分からないけど、少しでも精通している方なら先読みができるのかも?
 
時代劇なのに、時代を感じさせないのは「音楽」のせいだね。
クラシックのようにもジャズのようにも、カンツォーネやシャンソンのメロディのようにも聞こえる卓越した音であった。
映画の中には音楽が妙に心に残るものがある。
セリフのごとくの役目をしているような音楽がある。
後半、音も一気に緊張感が高まるが、エンドクレジットで太鼓の音が聞こえてきて、もう脱帽してしまったのでした。
 
役者さんたちも、それぞれにいい。
誰がどうのと言うことはなく、どの人も適材適所であった。
草彅くんの朴訥な物言いも、後半、怖いくらいの緊張感が漂う。
役が彼に降りてくるタイプだと思うが、妙に納得できるものを見せてくれる人である。
お絹を演じた清原果耶という女優さんは、実は、私は好みじゃないのです。
上手いのは認めるところなんだけど。
だけど、このお絹に関しては、すごく良いです。
最近、成長著しい中川大志も、いいわよ~。
親心で観ちゃいましたね(笑)
源兵衛の國村さんも、いいのだわ。
斎藤工が、またまた変な役してる(笑)
彼は「Believe」での悪徳弁護士なの?(まだ不明だけど)的な役も、なかなか良いけどね。
キョンキョンがおばさんになっていい味が出てる。
吉原の女郎屋の女将なんだけど、ワタシ、この人好き~ってなったよねニコニコ
 
 
平日の朝早い時間だったけど、なかなかの客入り。
お時間ある方、おすすめ映画です。
音楽、いいよ~(しつこいあせる