先ごろ公開された映画の原作を読み終えました。
お恥ずかしい話ですが、医療小説というものは初めてでした。小説家がお医者さんであるということは、しばしばみうけられる事例です。やはり小説にして書きたくなるような経験をたくさんお持ちだからでしょうか。
あとがきにありますが、医療小説は「誰もがあるある」が良いのだそうです。私も「あるある!」でした。
父母の晩年や私自身のこと。また、ある日突然交通事故で寝たきりになってしまった人も知っています。(私はいわゆる『顧客』だったため、その後を存じ上げませんが、大変だろうなとは想像します。)
それらを思い返しながら読んだのですが、お医者さんの立場から見ると、こんな感じなのかと。
それにしても、冷静な視点と判断、緻密な指示・・・こりゃあ、国家資格が必要な筈だと考えさせられます。
うちも実は母が看護婦で、普通の家庭にはない事柄がけっこうありました。風邪で咳が出る時はルゴールという薬を含ませたガーゼで喉の奥をこする、怪我すると赤チンではなく黄色い『テラマイシン』軟膏が出てくる、予防接種はほとんど断って・・・そんな家庭環境でした。
小説を読んで、両親とも本当に「限界を超えた」んだなと改めて思います。きっと私のことも心配して精一杯頑張ってくれていたのでしょう。
最後の展開は「え・・・。」という印象ですが、文章は読みやすくて、またとても勉強になりました。確かに病院では患者を杓子定規に扱うようにも感じることがあり、果たして有意義な人生とは?を考えさせられます。