私は子供から逃げたかった
とにかく ひとりに
なりたかった

自分のことばかり考えていた
どうしたら楽になれる
一番考えていたことは
どうしたら
眠れる?
いつも聞いていた
私は いつ寝てる?

目を閉じていても
寒くて寒くて

何かを考えなくてはいけないのではないか
寝てはいけないのではないか
いつも不安だった
少し夢を見れば 悪夢
もうぐちゃぐちゃだった

そんな私に
あなたが母親なのだから
あなたが がんばらなければ
子供は生きていけないのだから
そんな母親なら要らないからどこにでも行きなさい

ずっと味方だと思っていた母に突き放された

そう 思ったら
パジャマで深夜 まだ産後一週間も経たない身体でとにかく外へ出ようと必死だった

母と父が羽交い締めで
止めようと

私は 助けてと死にたいを叫んでいた
どうか 病院へ放り込んで欲しいと

このままでは 死にたくないのに 死を選んでしまう

怖かった
今から一年と
半年前の出来事



今は ようやく訪れた穏やかで賑やかな家族三人の生活を送れています。
あたたかい あなた
ぎゅっとすると
笑いながら
きゃっきゃと
逃げる

心の奥が
くすぐったくなって
私もおかあさんに
なれたんだと
実感できる

もしかしたら
母になれないかもと
病院で言われた日
漠然と悲しかった
あの日

今は こんなにも
愛しい
今は こんなにも
嬉しい

いたずらをされて
にやりとされた今

さて 大量ティッシュを
片付けるかな
私に 寝なさいと
言わないで

そう 母に 言って
しばらくしたら

ごちゃごちゃと
耳障りな音が
聞こえてきた

どんどん ごちゃごちゃ
ガヤガヤ 騒がしくなる
日本語じゃない

身体が傾いていって
力が抜けて倒れた
目が開けられない

母の心配する声とは
逆に凄く穏やかな
安らぎ

だいじょうぶ、お母さん
今凄く楽
ずっと眠れなかった
お母さん 意識はあるけど目が開けられないんだ

深呼吸ができなくなる
息を吐いて吸う事を忘れかける

担架で運ばれる
看護師さんが
手を上げてという
上げたい気持ち
あるのに
上がらない

こんな状態なのに
心配ないんだって
死を意識したのは
これが初めてだった
ただ 怖かった
見上げる 空
吸い込まれそうな 青
ぼうっと してみる
天気いいなぁと
呟いてみる

きゃーと叫ぶ 息子
歩ける事が嬉しい息子
これからの初めてが
まだまだいっぱいの
息子

あなたが元気で
こんなにも泣ける
あなたが話しかけてきて
こんなにも笑顔になれる

1年前には 想像も
できなかった
おだやかな 日常
ここで こうして
書いていることで

繋がる 色々な 縁

名も知らぬ私を
こんなにもチカラ
づけてくれる
あなた

私がここにいることを
嬉しいと言ってくれる
あなた

塩味のつぶが
頬をったって心まで
届く

ありがとう
ひとりじゃない

みんな 色々なもの
抱えて
笑顔の裏に
隠して隠して
見つからないように

かけがえのない
あなた
大切に愛されて
生きてきたあなた

これからも ずっと
忘れちゃ いけないこと