児童文学作家の安房直子さんのお話が気になり、数冊まとめて読んでみました。
まずは、『山のタンタラばあさん』と『みどりのスキップ』
です。
こちらの2冊は、大好きな出久根育さんが絵を描いていらっしゃるので、絵に見惚れながらお話を堪能いたしました。
相変わらず、出久根さんの絵はすごくて、お話以上の感動をもたらしてくれますから、大満足〜でした。
『山のタンタラばあさん』は誰でも好きになっちゃう、魔法をつかうおばあさんです。
動物たちとの交流や、おばあさんのお茶目な様子がとっても素敵で、ほっこりと楽しいお話でした。
『みどりのスキップ』は、季節の変わり目がお話になったものです。
それは「トット トット トット トット」とやってきます。
季節の変わり目をこんな風にお話にするのって・・・、思わずうぅ〜んと唸ってしまいました。
コーヒーの淹れ方がおまけについてる、素敵な絵本です。
小さなお子さんにおすすめしたいものもありました。
『すずをならすのはだれ』と『くまの楽器店』です。
『すずをならすのはだれ』は、絵が葉祥明さんで、冬から春の訪れを描いたものです。
うさぎ、たぬき、ねずみ・・・動物たちが次々と森の中の一軒家へすずを鳴らして入って行きます。
中々出てこないのは、春の精のお仕事を手伝っていたからでした。。。
葉さんの絵がほんとに可愛いいです。
『くまの楽器店』は、こみねゆらさんが絵を描いていらっしゃいます。
楽器店に来るお客様に、くまが差し出すのは不思議な楽器ばかり。
優しくて可愛らしい絵と、ほんわかと幸せな気持ちが残るお話が4つ。
『さんしょっ子』と『だれも知らない時間』は、いもとようこさんが絵を描いています。
こちらの2冊は、可愛い〜、好き〜などと楽しんでばかりもいられない、せつない気持ちが残る絵本でした。
タイトルになっている「さんしょっ子」とは、さんしょうの木の精です。
三太郎とすずな、そしてさんしょっ子の3人が大人になって別れを経験していくお話。
ファンタジーと現実の世界が切なく交差して、なんとも言えない気持ちになりました。
『だれも知らない時間』には、時間を分けてくれるという不思議なカメが登場します。
ちょっぴり怖くて切なくて、だけどもうお話に釘付けです。
想像を超えるラストもよくって、読み応えがありました。
不思議な後味が残りました・・・。
『白樺のテーブル』は、味戸ケイコさんのイラストです。
引越し祝いに友人から贈られた、白樺でできたテーブルを前にぼくは白昼夢を見たのでしょうか・・・。
美しい大人の絵本でした。。。
色々なお話を紡ぎ出していらした安房直子さんですが、1993年に逝去されていました。(50歳の生涯でした。)
安房さんのエッセイなども読ませていただきましたが、誠実で奥ゆかしく、丁寧に日々を送っていらしたようです。
自然を愛し、夢は山の中で緑に囲まれて一年中暮らすこと。
ご自身の子どもの頃については、気弱で臆病だったそうで、学校を「外界の荒波」と表現されていました。
友達と騒ぐのが苦手なタイプだったようですが、内なる空想の世界は大切に育まれていらしたのでしょうね。
作家活動を忙しく続けながら、主婦の仕事にも喜びを見出し、楽しんでいらした安房さんは、とても素敵な方でした。
他の作品も、続けて読みたいと思っています。