最近知ったんだが、
上海に
金威という名前の、目の不自由な写真家がいる。
肉眼では、
空も地面もなにもかもボンヤリボンヤリしていて、
霞かなにかがかかっているようだが、
それをフィルムに収め、分厚いレンズを通して
写真を眺めると、
ああ、風が吹いた時の水面の波立ちはこんな風だったのか、
ああ、アスファルトのザラザラはこんな風だったのか、と
新しい「見る」という感覚に戦慄するのだそうだ。
蓮の水玉。
鶴岡八幡宮の雨の日の石畳。
鎌倉の商店街。
阿賀野川の夕暮れ。
周りには、きっと美しいものがあふれているのに、
見逃していることもおおいんだろうな。