- 生物のなかの時間 (PHPサイエンス・ワールド新書)/西川 伸一
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三人対談の本ですが、他二人が人類学や進化論などと絡めて生物学を語りたがるのに対して、上田泰己先生は安易にそういう思想的なものを絡めず根本的な生命への関心や研究心を持っている感じがして、かなり好感です。思想などを語れるようになると、ある意味そこでもう気持ちよくなってしまって各個明らかにすべき事象への研究心が薄れてしまうような気がします。
人は精巣以外のほとんどすべての細胞に時間を感じ取る時計遺伝子があるそうです。地球の回転や一日と同期してるということですね。これを応用して、北欧などでよくみられる季節性のうつ病なんかも治療できるかもしれないようです。
読んでも原理はよくわからなかったのですがおそらくは、時計遺伝子によってガンが発生する時刻や、不眠治療にも使われるメラトニンという物質を分泌させる時刻があるていど決められているため、遺伝子をいじって発生する時刻を遅らせる(=発生させない)という手法なのだと思います。これらは遺伝子の発生を後天的に制御するエピジェネティクスという分野に入るよう。
この間上田先生の講演を聴く機会があったのですがそこでも、元々生存戦略として発達した冬眠(=季節性のうつ病)が現代では病気扱いになることのせつなさをやわらかく説明していましたが、こういった倫理的な面について先生個人はどのように考えているのか気になります。アメリカで問題になったプロザックと共通の問題点があると思います。
今はもう ヒトゲノムが解読されてそこで終わり、でなく、今度はそれでわかったものを使う=細胞を創る時代へとうつりかわりつつあるようです。まだずっと先かと思っていたような技術も、意外に早く実用化されていってるのかもしれません。上田先生をはじめとした若手によって生物学・医学のありかたも変わっていくのかなあ、と感じます。
メモ:
・クレイグ・ヴェンター - セレラ・ジェノミクス社
・原子 有機物が蓄積 - 海洋スープ - 脂質ミセル化 - 高分子コアセルベルトが集積 - 生命
・老化 - 情報を持つことの副作用? 原因は未だに謎
・獲得形質の遺伝 - 単細胞生物なら遺伝する
・ツバキ - 対冬 不凍たんぱく質つくる - 日照時間の変化を察知して