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わかんないことだらけ

 希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書)/古市 憲寿

¥903
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ースボートの世界一周に参加する若者の実体や心理を探った本。参加する若者をセカイ型、文化祭型、自分探し型、観光型の四つに分けていたのが面白いです。世界平和の推進を目的とする人、目的は何でもいいから盛り上がったり共同体に入りたい人、ただ観光がしたい人など、うなずける分け方がされていました。

 
 自分も旅が好きでけっこう旅行していたのですが、どこかで自分が好きでやっているのでなく、
やらされているだけ、第三次産業であるプライスレスな旅行を買わされているだけ、
物語にかりたてられているだけなんじゃないか、といった疑問が沸いてしまったタイプなので
シニカルな語り口の本ですが、そこまで抵抗は感じませんでした。

 著者の主張として、ブルデュ-の社会的老化、ゴフマンの冷却などを引き合いに出して、
世界平和などの大きな理想を掲げたピースボートには若者のそういった希望や熱気を逆に
放棄させる、折り合いをつけさせてふつうの社会に戻す機能もあるのではないか、というようなことが述べられていました。

 よく伝統社会などでは好き勝手にやりたいことをやれる「若衆」だか「若者衆」というものが
あるようですが、伝統が解体されつつある現代では、

無茶する、好き勝手やる、夢追いかける、盛り上がる、仲間ができる 
→ 迷惑かける、自分の限界感じる、肌に合わないと感じるようになる
→ 折り合いつけて社会の一員に戻る、社会に従順になる
→ 無茶したことが自分にとってのオアシスになるため、社会に入ってからもやっていける

という大人になるためのプロセスが、伝統ではなく旅行や夢、音楽といった物語的な第三次サービスに代替されて提供されているのではないかと思います。現代はこういう 好き勝手やる→大人になる というプロセスを第三次サービス・物語から自分で選ばなければならないため、あぶれてしまう人もいるのではないでしょうか。
 
 自分が夢中になってきた事が消費に搦め捕られているというどこか残念な気持ちは消えませんが、
それでも伝統や共同体が行ってきた冷却の機能を第三次産業が立派に果たしているなら、
そこまで悪いもんではないかな、とも思えます。



メモ:
・固定的な共同体ない → フェス、その場の熱狂へ
・承認の共同体は再配分・格差の問題を覆い隠すし、運動にもつながらない
・居場所を見つければ目的は消える → 若者の左傾化右傾化はこわくない
・お金なくても友達いれば → どれだけサステナブルか
・やればできるというクソゲー
・自分探し ー 自分のそれまでの外部評価をリセット
・夢がでかいだけに無力感もひとしお